ラジオコントロール飛行機物語。

ゆみすけ

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真空管の小型化だ。

使う電力を減らすのだ。

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 「しかし、乾電池では真空管のニクロム線のヒーターが赤熱しないぞ。」
「しかし、鉛蓄電池は危険が多いから、使えないぞ。」
 「そうは言っても、乾電池では・・・電力が少ないからな。」
そう、議論する斎藤・犬塚の両技師である。
 「そうだ、真空管のニクロム線を小さくすれば。」
「それだと、真空管が働かないぞ。」
 「いや、真空管を小さくするんだ。」
初期の真空管は巨大なナス管というヤツだった。
 それが、ST管、進歩してGT管、そしてMT菅、ミニチュア管と小型化の歴史だ。
最終的にはトランジスタと差がなくなるほど小型化になったのだ。
 欠点は振動に弱いことと、ヒーターなどに電力を喰うことだ。
「サイトウ君の電池の真空管より小型化するんだ。」
 「電極を基盤を失くして、ガラスから直接に電極の線をだせば。」と、アイデアが膨らむ。
「これなら、背中に背負うまでも無いぞ。」
 「電話の受話器風無線機だぞ。」と、斎藤君がラフなスケッチだ。
「大量生産すれば、小隊に1個の無線機が・・・」
 「そうなると、無双の日本軍になるぞ。」
夢は膨らむのだ。
 
 陸軍の通信課へ足を運ぶ、そして下話を振ってみる。
陸軍が採用を試験的でもいいからしてくれれば・・・軍から予算が出るのだ。
 陸軍は海軍と違い、その予算のほとんどが人件費だ。
そして、装備への予算はスズメの涙なのだ。
 海軍は戦艦を建造せねばならない。
それで軍事費は、うなぎ登りなのである。
 そのことを、陸軍幹部はニガニガしい思いだったのだ。
もとより、犬と猿の仲である。
 寄れば、ケンカである。
そのことを、斎藤君は利用したのである。
 「海軍は軍艦建造費が膨らんで、陸軍の予算を圧迫していると聞きましたが。」
「うむ、よく知ってるな。」「そうだんだよ、陸軍は大砲や歩兵銃くらいしか兵器が無いからな。」
 「しかし、我が社の飛行爆弾が・・・」「そうは言っても、ひとつだけだしな。」と、憂うる幹部だ。
「実は、無線機を歩兵が運べるようなモノを考えたんですが。」「なんだと、それは本当か。」
 詳細な説明を幹部へ・・・「ほう、真空管を小型にして、乾電池で使える無線機じゃと!」
「それは、本当か。」「今すぐに、見たいが。」と、意気込む幹部だ。
 「え、え、できるメドは経ったんですが・・・会社からの予算が・・・」
「なんじゃと、海軍は携帯無線機なんかいらんからな。」
 「しかし、陸軍は絶対に必要じゃ。」
「いま、大阪の陸軍工廠では戦車なる兵器をつくってるんじゃが・・・」
 「それに、装備できる無線機をさがしてたんじゃ。」
「予算は、必ずなんとかするから・・・試作品を頼んだぞ。」と、幹部がいう。
 「それは、いい話ですね。」「では、試作品を1ヶ月後には・・・」
「ぜひ、頼んだぞ。」
 
 こうして、陸軍の予備費から試作品を造る金を調達した斎藤君だ。
なかなかの策士である。
 陸軍のゴマをするには、海軍の悪口なのだ。
姑のゴマをするには、若嫁の悪口なのと同じなのだ。
 携帯無線機が軌道に乗れば・・・無線操縦飛行機も試作がつくることができるからだ。
そして、飛行爆弾には欠点がある。
 それは、速度が150キロから100キロ程度ということだ。
対空機銃でカンタンに撃ち落とされてしまうのだ。
 最低でも300キロ毎時から500キロ毎時でないと・・・対空機銃に狙われやすいのだ。
実際の兵器としての無線操縦飛行機は各国が研究していた。
 米軍はテレビカメラを付けて、爆撃機のアベンジャーから操縦して敵艦へブチ当てる無線操縦爆弾飛行機を完成させた。
 テレビ装置は1940年代には白黒TV装置なら完成していた。
確か、夢と終わった東京オリンピック(1940年)はテレビ中継が計画されていたほどだ。
 それで、無線操縦をテレビ画面で操縦するのだ。
しかし、速度が200キロ程度と遅く、我が海軍の機銃で撃ち落とされることが多々あったそうだ。
 まあ、10機飛ばして、3機くらいしか目標に命中しなかったから・・・
まあ、自転車会社やビリヤードの会社に造らせていたそうだが・・・
 写真を見ると、不格好でとても兵器なんて呼べる完成度ではない。
エンジンもショボイし、米軍としては最初から期待してなかったんだろう。
 しかし、その模型飛行機が速度500キロ毎時以上、そして敵の攻撃をかわして・・・250キロ爆弾を必中させるとなると、話は違ってくるのだ。
 一式陸上攻撃機に桜花という人間爆弾ロケット機を吊り下げて・・・
敵艦へ・・・途中で米軍に墜とされて・・・帰還機ゼロなんて話はゴメンなのだ。
 そうなのだ。
速度と操縦性能が十分なら無線操縦爆弾飛行機は無双なのである。
 米軍が先の大戦で造った、無線操縦無人飛行機はパット見カッコ悪いし・・・とても、兵器と呼べるモノではないのだ。
 生産性を高めるためか・・・空力特性を度外視した外見なのだ。
つまり、長方形の胴体へ長方形の翼と尾翼を付けただけなのだ。
 まあ、ビリヤードの台を造ってる会社だ。 そんなモノだろう。
しかし、著者は模型飛行機への冒涜としか思えないのだ。
 飛行機とは美しいモノであるべきなのだ。
まあ、白人の美意識と日本人のそれは違いがあるからね。

 

 
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