伊号式潜水艦。

ゆみすけ

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二式大型飛行艇の性能。

人命救助は嵐の中が多いのだ。

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 「ふむ、ふむ。」と、説明書を読む技師らである。
もちろん、英訳してある。(日本語を英語にしてある。)
 「なんだと、波の高さが3メートルでの着水方法だと・・・」と、驚く技師らだ。
「普通の海でも、船で旋回して波を静めるのだが・・・」
 「そして、3メートルの荒海での離水方法だと・・・」
もう、取説を読むのに夢中なのである。
 「速度を稼ぐために、補助ロケットだと・・・」
「なんと、すでにロケットも実用化してるんかい!」
 「信じられん。」と、主任技師がつぶやく。
「これは、検証する必要があるぞ。」と、主任だ。
 「どう、するんですか。」
「実際に荒天の海で離着水してみるのさ。」と・・・
 これには、巣月機長が・・・いかん、命がいくつあっても・・・
「あんた達、そう簡単じゃないんだぞ。」と、下手な英語でワメクが・・・
 何を言ってるか・・・不明な言語にしか聞こえないのだ。
巣月機長の努力も空しく・・・荒天の日に実演をやらされることに・・・
 コパイ(副操縦士)は英国人だが・・・当日は、体調不良だとか・・・
しかたなく、マツモト君が日本人のよしみで乗ってくれたのだが・・・
 「奥さんへは、お別れは・・・」と、巣月君が聞いた。
「えっ、いや、それほどのことじゃないでしょ。」と、マツモト君だ。
 「まあ、そうならいいですが・・・」
「とりあえず、ここいら辺は波が低いですから、離水しますよ。」「OKだ。」

 18気筒の空冷エンジンが吠える。
15分ほど暖気運転だ。
 その間に、飛べる場所へ移動する。
「なかなか揺れますね。」と、フナ酔いしそうなマツモト中尉だ。
 「潜水艦は潜れば揺れないですから。」と、マツモト君が参考意見だ。
「では、あがりますよ。」「了解だ。」
 「ゴーーーーーーーッ。」と、四発エンジンがハミングする。
2段高揚力フラップがあるから、100メートル程度で離水だ。
 「さあ、着水地点を目指しますか。」と、低気圧の中を飛ぶ。
やがて、観測船がいる海域へ・・・
 「いました、ここいらで降りるんですね。」と、機長がいう。
「うむ、そのようだが・・・かなり波が高いぞ。」
 「そうですね、3メートルかな・・・」と、海面を見るが波しぶきが・・・はっきり、わからないようだ。
「では、着水しますよ。」「あ、あ。」と、ベルトを締め直すマツモト君だ。
 コパイとして、計器を読むマツモト君である。(座ってるだけなのだ。)
「2段フラップ最大角。」「了解。」
 エンジンを絞る機長だ。
速度が時速80キロほどに下がる。
 普通の機体なら揚力がなくなり・・・着陸してる速度だ。
しかし、波が高いと飛行艇が・・・態勢を維持できないから・・・速度を落として、徐々に高度を下げるのだ。
 「いま、プロペラピッチ角ゼロ。」と、読み上げる。
プロペラの角度を調整して逆推進を得るためだ。
 これが、できるのは、この機体のプロペラぐらいだろう・・・
「揚力限界に近いです。」「失速まで、あと2秒。」
 「着水しました。」
「ふう。」と、巣月機長が・・・かなり疲れたようだ。
 でも、ここから離水しなければならないんだが・・・

 無線が入る。
「よくできました。」だってさ・・・ガキじゃあるまいし・・・
 まあ、これからが本番だからだが・・・
この荒天から機体を離水させられるか・・・だ。
 「しゃあないな、あれを使うか。」と、機長が・・・なんか、ヤルのかな・・・
「マツモト中尉、ロケットを。」「えっ、あれを使うんですか。」
 「そうだ、速度が荒天で波が高くて出せないからな。」
「わかりました、責任は?」「もちろん、オレだよ。」
 コパイ席を立って・・・胴体後部へ・・・もちろん、ヘッド・セットを付けてだ。
でないと、騒音が激しくて指示が聞こえないからだ。
 なんせ、マーガレット3号の機体ではないからね。(二式大型飛行艇の戦闘型だ、機銃があるヤツだ。)
機体の横からロケット推進の本体を出す作業をしなければならない。
 取説を読みながら作業するマツモト君だ。
「なになに、このレバーを倒すか・・・よし、倒してぞ。」
 「次は、よこのラバーを押しあげる・・・と、できたぞ。」
取説、見ながらの作業は・・・ある意味、波で翻弄される機内だ。
 潜水艦で揺れるのは慣れてるからできるのである。
潜水艦映画で艦内で爆雷を喰らって左右に揺れる場面は・・・よく、ある。
 
 「パチン。」と、レバーが倒れて・・・
機長が、「いいぞ、確認ランプが点いた。」「では、。戻りますよ。」「うむ。」
 しかし、この揺れは・・・3メートルかよ・・・もっと、あるんじゃないかな。
コパイ席へ座るマツモト君だ。
 前部窓の風防が波をかぶる。
ワイパーが盛んに動いている。
 英仏海峡も荒れるときは、あるものだ。
「うかうか、してると飛び立てなくなりかねない。」と、即断する機長だ。
 もちろん、エンジンはアイドル回転で停止させてはいないのだ。
「よし、スロット全開、いくぞ。」と、巣月機長だ。
 「プロペラピッチを戻せ。」「戻した。」
「スロット、四発ともだ。」
 座席の真ん中にある、4本のエンジン・スロットレバーを、一番前まで倒す。
窓から横を見ると、波をかぶりながらも、けなげにエンジンが最大回転してるようだ。
 なんせ、この波でも、飛行艇が前進を・・・始めたからだ。
「ロケット点火、用意。」と、機長だ。
 一気に、離水速度をかせぐつもりかな・・・
「いまだ、点火。」「パチン。」と、レバーを倒す。
 背後から、イヤフォン越しにロケットエンジンの音が・・・すごい、のだ。
「ド、ド、ド、ド、ド。」と、イヤフォン越しなのに・・・機体が爆発したかと、勘違いするくらいだ。
 やがて、かなりの加速度が襲った・・・座席に押されるのだ。

 「ふう。」と、イヤフォンから巣月機長の声が聞こえる。
「なんとか、できたぞ。」「えっ。」
 マツモト君は機体が、いつのまにか機体が飛んでることに気が付いたのだ。
まったく、わからなかったのだ。
 ロケットの推進音に気を取られていたようだ。
なんとか、面目を果たした巣月機長だ。
 やっと、そのころに無線が・・・
「こちら観測班だ、ごくろうだった・・・」としか、言えなかったようだ。
 観測班が撮影した35ミリ映画フィルムを後に見せてもらったんだが・・・
2段フラップで、最大揚力にロケット加速だ。
 離水に50メートルほど、いや45メートルかな・・・すごい、STOL能力の飛行艇だ。
翼の2段フラップでプロペラ推進力が海面の波を押さえて、ロケット推進であがったようだ。
 ちなみに、このロケットは使い捨てなのだそうだ。
予備は・・・あるのかは、知らないマツモト中尉である。

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