零式輸送機、満州の空を飛ぶ。

ゆみすけ

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空挺部隊の武器について。

短機関銃の欠点を?

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 満州派遣空挺部隊の武器は88式短機関銃と擲弾筒の2種類だ。
短機関銃は10発連射の弾倉交換タイプだ。
 なぜ、10発かって・・・それは10発以上で弾詰まりするからだ。
必ず弾詰まりするわけではないが・・・詰まるかもしれないからだ。
 武器が戦場で壊れたり使えなくなることは、即死につながりかねない。
それで、陸軍兵器工廠へ88式の改良が叫ばれてるのだ。
 今のところ、満州の紛争は小規模に納まっていて・・・日本軍が負けて撤退する場面はなかった。
しかし、ソ連軍は戦闘機まで投入してきたのだ。
 Tー2軽戦車がシベリア配備だが・・・いつ、新型を投入してくるやもしれない。
藤堂少佐は伊佐美隊長の戦闘機隊が九七式改としてソ連軍イー16の圧勝して、内地が戦勝気分がなくならない内に88式短機関銃を10発以上連射しても弾が詰まらないヤツに・・・してもらえないかと・・・画策するのだ。
 ソ連軍が戦車で負け、空戦でも敗退して・・・しばらくは侵攻がないだろう・・・と、予測した藤堂大佐は内地へ嘆願にやってきたのだった。
 大連港から内地へ帰投する陸軍の徴用船に便乗させてもらったのだ。
幹部とはいえ、給金で贅沢はできないから客船はダメなのだ。
 満州航路の満鉄丸(客船)豪華客船で少佐風情では・・・無理、無理なのだ。
軍隊は贅沢な旅行はご法度なのだ。
 野党から国会で突き上げられたら・・・予算が削られかねないからだ。
徴用船は貨物船だ。
 客室なんて無い。 船倉を改造した部屋でガマンするしかないのだ。
幹部兵卒でも、軍人だ。 贅沢はできない・・・

 新潟港で徴用船は停泊する。
港には陸軍工廠から技師が出迎えにきてくれていた。
 「藤堂少佐殿ですか。」「うむ。」
「工廠のエンドウといいます。」
 「工廠まで、ご案内します。」と、迎えのトラックへ・・・
荷台には満州からの兵器の修理部品が山積だ。
 現地の整備員が修理できないモノは内地の工場での修理となるからだ。
もちろん、費用は陸軍会計課が払うのだ。
 トラックの助手席へ乗り込む少佐だ。
エンドウ技師がハンドルを握り・・・山奥にある工廠の工場へ・・・案内する。
 軍事機密の兵器を扱う工場だ。
山奥の山の内部に造ってあるのだ。
 爆撃機から爆弾を堕とされても壊れない要塞のような造りの工場である。
もちろん、場所は著者も知らない・・・
 途中で警察の検問が2ケ所・・・あった。
「えらく、警備が厳重ですね。」と、藤堂少佐だ。
 「え、え、シナの女スパイが最近増えてきたんですよ。」
「外観からは判別できませんからね。」
 「満州では、どうですか?」
「そうですね、満州人はシナ人を毛嫌いしてますから・・・満州訛りが無いと警察沙汰ですよ。」と、少佐がいう。
 奉天では、シナのスパイ捕縛のウワサは良く聞くことだ。
まあ、それだけ多く潜入してるということだろう。
 「内地では、スパイは?」
「鬼より怖い憲兵隊がアカ(共産党員)をかなり捕縛しましたよ。」
 「まさか、ソ連の・・・」
「そう、ソ連のスパイですよ。」「もちろん、日本人ですが・・・アカに染まったヤツもいるようですよ。」
 「大変ですね。」
「え、え、共産党は日本の国体を滅ぼす悪ですからね。」と、エンドウ技師だ。
 「へえ~、日本人にもアカに染まるバカが居るんですね。」「まあ、ほんの少しですが。」
「本職はアカが大嫌いで、軍人になったんですよ。」
 「アカに染まるなんて・・・大和民族じゃないですよ。」
まあ、互いに愛国者かどうか探りを入れる両人のようだ。
 陸軍工廠の秘密工場の技師だ。
思想調査は憲兵隊の折り紙付きだ。
 かく言う、藤堂少佐は露スケが大嫌いで軍人になり、満州で露スケ相手の戦争をしてるのだ。
ドイツ帝国のハンスーウルリッヒ・ルーデル大佐と同じで、ソ連軍が大嫌いな男なのだ。
 そうなのだ、藤堂少佐は希望して満州派遣空挺部隊の隊長をやってるのだ。
自分がソ連軍陣地へ空挺部隊として殴り込みをかけたいほどなのである。
 共産主義がキライなのだ。(著者と同じだ。)
藤堂少佐はシナと朝鮮人がキライなのだが、もっとキライなのがソ連のコミンテルンなのだ。
 なぜかって・・・キライなモノはキライだ。
「オレはウソがキライだ、それと同じくアカも大キライだ。」と公言して、はばからないほどの反共産主義の軍人なのだ。
 なぜなら、共産主義は日本の日本たらしめる天皇陛下を認めてないからだ。
なんせ、労働者が天下を盗る思想だ。
 陛下は日本の皇帝であり・・・その地位は日本があるかぎり、あるのである。(国民の総意なのだ。)
不変なモノなのだ。
 それを脅かす・・・そんな思想はあってはならない。
トラックが山奥へ・・・林道がジャリ道へ・・・
 やがて、検問所があり、トンネルへ入る。
ここで、排ガスが出るトラックは降車だ。
 トンネル内の電気鉄道へ乗り換えるのだ。
地下、300メートルにある軍事工場へ電車は2名を運ぶのだ。
 降車すると・・・また、検問だ。
「これで、何回目ですか。」「もう、あと1回で終わりですよ。」
 「まだ、あるんかい。」と、突っ込む少佐だ。

 鉄のデカイトビラが電動で開く。
やがて、地下300メートルの巨大な空洞が・・・現れる。
 陸軍の軍事機密工場である。
近くの水力発電所から都市並みの電力が供給されてるとか・・・
 地下の割には照明が明るいのだ。
細かい字も判読できるほどだ。
 「ここが、工廠の秘密工場ですか。」と、少佐が驚く。
「いいですか、バレたらタダでは済まないですから・・・」
 「短機関銃の件で、仕方なく来てもらったのですから・・・」「わかっている。」
「他言は無用だ。」と、武士に二言はないと答える。

 「あの88式は38式を改造したモノです。」「それで、機関銃として無理があったんですよ。」
「いいですか、やっと89式突撃機関銃が試作段階へ入りました。」
 「それで、89式を見てもらうために、わざわざ来てもらったのです。」
「まさか、弾丸が替わるんですか。」と、少佐が聞く。
 弾丸が種類が多いと現場が混乱するからだ。
できるなら、弾の種類は1種類にしてほしいのだ。
 「いえ、現場が混乱しますから弾丸は38式と同じ、7ミリですよ。」
エンドウ技師は射場へ少佐を案内した。
 そこは、長いトンネルが掘られていて・・・弾道を精密に計測できる装置が備えてある。
89式突撃機関銃らしき短機関銃が・・・なんやら、銃把に短い銃身が出てるだけの、不格好な銃だ。
 「えらく、変な形なんですね。」と、感想を述べる少佐だ。
ベルギーのFN社のP90に似ている形だ。
 当、妄想ラノベにはP90は登場しない。
「これは、弾倉が40発装填できます。」「弾は?」
 「もちろん、詰まりません。」「40発すべて撃てますよ。」
「替えの弾倉も交換は短時間でできます。」
 「ただ、欠点は格好悪いことですよ。」「試験した狙撃兵らは・・・格好悪いから、使わないとか・・・」
「ちょっと持たせてください。」と、試験台から89式を外して・・・
 「以外に軽いじゃないですか。」
「これなら、降下中も射撃ができそうです。」
 「地面に降りる前に撃たれたら、元も子も無いですからね。」と、少佐がいう。
ここで、89式と描いてるが・・・自衛隊の89式小銃とは無関係ですから、間違えないように
 「突撃するときに邪魔にならないような形を考えたら、こうなったんですよ。」と、エンドウ君だ。
「空挺部隊なら外観に関わらず使ってもらえないかと思ったんですよ。」
 「そこで、活躍すれば他の軍でも使ってくれるかな、なんて。」と、言い訳するエンドウ君だ。
「しかし、これが40発の弾倉ですか。」「えらく、長いですね。」
 「え、え、60発入るヤツもありますよ。」
「えっ、ソ連軍のAKライフルは30発だそうですから・・・倍なら無双できますな。」と、少佐だ。
 機関銃は弾幕を張れる威力があるほど強いのだ。
弾倉交換のスキを尽いて攻撃できることのアドバンテージは大きいのだ。
 「作戦により、弾倉を選べますし・・・銃身交換も工具なしでOKですよ。」
「慣れれば、目隠して分解組み立てができますよ。」と、加えるエンドウ君だ。
 「えらく進めるんですね。」と、少佐が怪訝そうに・・・いう。
「すいません、なかなか使ってくれる隊が無くて・・・予算を使ってしまって、実は困ってるんです。」
 と、内情を明かすのだ。
「わかりました。」「この89式は空挺降下するに最適だと思います。」
 「60名隊員がいますから、予備をいれて・・・そうですね、120丁は大丈夫ですよ。」
「えっ、120ですか・・・ありがたいです。」「これで、夜逃げ・・・いえ、助かりました。」
 どうやら、エンドウ君の首はつながったようだ。

 半月ほどで、89式突撃銃が満州国の奉天市にある空挺降下部隊へ運ばれてきた。
皆の感想は、「格好悪い。」「やはり、88式が銃らしい。」と、評判はよくなかった。
 「まあ、使ってから考えてくれ。」と、藤堂隊長が慰める。
銃器点検室で各隊員が説明書を見ながら・・・分解や組み立てを繰り返す。
 そして、一通り慣れたら・・・試射場へ・・・
交代、交代で事故らないように試射を・・・
 「おい、意外だぞ。」「そうだな、集弾がめっぽういいぞ。」
「弾が詰まらないぞ。」「あ、あ、40発の連射がいけるぞ。」
 「ソ連軍のAK47なぞ・・・」
「そうだな、AKは30発だ、これは60発もOKだ。」
 「無双だぞ。」「おい、説明書には長弾倉で80発だってさ。」
「つまり、40、60、80と3種類あるのか。」「そのようだな。」
 「ソ連軍相手に使ってみたいな。」「露スケのアカ野郎に鉄槌を・・・だ。」
「それまで、訓練だぞ。」と、空挺隊員は訓練に明け暮れるのだ。
 なぜなら、戦いが無い時でも給料は支払われているからだ。
給料分の仕事はしなければならない。
 現在の自衛隊と同じようなものである。
災害や海外派遣以外は訓練だからだ。
 でないと、ソ連軍には勝てないからだ。
体力では熊のロシア兵には・・・まず、勝てない。
 それで、知恵と勇気と大和魂で戦うしかない。
個人の力は大したことは無い日本兵だが・・・
 集団行動となると、空気を読んで個人行動をしないから・・・
統合した戦力では、ソ連軍に負けることはないのだ。
 それに、格好で戦争には勝てない・・・




 
 
 
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