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FIRST MAGIC
第22話 無礼者の広告塔
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「おまえから姿を変えるよう命令しろ。こいつも主人のおまえの命令なら従う筈だ。」
そんなアレクの言葉に、知衣は首を振る。
「本人が嫌っていうことを命令で強制なんてしたくないです。」
アレクに逆らわないようにしようという心掛けは、あくまで自分のことであり、他人を巻き込むとなれば話は別だ。
報復が嫌だからといって、人の意志を歪めたり傷つけたり、変な干渉はしたくない。
アレクの報復は免れることができても、他から恨まれたりするのは御免である。
知衣の拒否に、アレクは忌々しげに舌打ちする。
「そういうおまえは耐えられるのか?」
「召使いがアレク様と同じ顔だってことに?」
確かにもう少し平凡で当たり障りのない容姿の持ち主である方が、知衣としても好ましい。それは否定しない。
けれども、クレア本人が望むなら仕方がないと諦めはつく。
そもそも容姿を変えられるという考え自体、知衣にはなかったのだ。
おそらくプライドの高い俺様アレク様にとっての、自分の姿をした使い魔が他人に仕えているという屈辱に比べれば、気に止めるにも及ばないようなレベルだろう。
「耐えられないのはアレク様の方なんじゃないですか?」
そう知衣が問えば、アレクは人の悪い笑みを浮かべた。
俺様なアレクらしい表情ではあるが、乙女の連想する白馬の王子様はけして浮かてはいけない種類の禍々しい笑みだ。
「そうとも言い切れんぞ。今はまだほとんど知れていないが、3日もすればこいつは歩く宣伝塔になる。」
「歩く宣伝塔?」
「ああ。おまえにとってはありがたくない宣伝塔にな。」
「どういうことですか?」
知衣の問いにアレクは笑みを深める。
「こいつは、あの家のオプションの使い魔でな。」
そう言ってアレクが指差したのは、知衣に与えられた小さな家。
「え?あの家のオプション?」
「ああ。あの家は俺が発案した新作の魔法の試作品なんだが、三日後、商品化され発売されることになっている。あの家には、家主に仕える忠実な使い魔を付加する機能があるんだ。本来有料のオプションだが、発売記念で一週間はあの家を買えばもれなくそいつと同じ仕様の使い魔がついてくる。」
「お、同じ仕様って…『最も腹立たしいと思う人物の姿』っていう?」
知衣の言葉に、アレクは尊大に頷く。
「ちなみにこの国の人間が見れば、あの家の使い魔だということは簡単にわかる。」
「そ、そうなんですか?」
それはちょっと――否、かなりまずいのではないだろうか。
つまりは仕様さえ知っていれば、クレアを見れば知衣がアレクを一番腹立たしい相手と思っている事が一目瞭然であるということ。
この国の王子様――それも時期国王に対し、そんなことを思っていると知れるのはいただけない。
追い討ちをかけるようにアレクは言う。
「今はこいつの仕様を知っているのは俺と魔法棟の連中だけからそれと知る奴は少ないが、発売されれば当然一目でクレアの仕様を見抜く連中が山ほど現れるだろう。どうやらおまえ、セフィーの奴に随分懐かれたみたいだが……果たしてそれもいつまで続くかな?」
セフィーは仕様を知らなかったのだという。
確かに兄を慕う弟としては、兄に対しそんな感情を抱いていると知れれば良くは思えないだろう。
この国に来て希少な癒して的存在であるセフィー王子に嫌われてしまうのは悲しいが、問題はもっと大事だ。
セフィーだけではない。クレアを見る人間全てが、それを知ってしまうのだ。
自分の国の時期国王をに対して抱く、この負の感情を。
「宣伝塔って……そういうこと。」
クレアを見ただけでそれとわかる。
クレアはまさに、知衣の無礼な思いを周囲に知らしめる『歩く広告塔』だ。
知ってしまえば、クレアの容姿を変えたい方に気持ちは傾く。
ちらりと覗うようにクレアへと視線を向ければ、縋るような瞳とぶつかった。
「うっ……」
嫌だと言葉では言ってこない。
確かに知衣が命令すれば従うのだろうが、その瞳は「嫌だ。」と雄弁に語っている。
「お、お願い。そんな目で見ないで。」
耐え切れずにそう言うと、クレアは「はい。」と肯き、今度は悲しそうな表情を浮かべ瞳を潤ませる。
やはり嫌だと言葉にはしないが、今度は知衣を見つめてボロボロと泣き出した。
律儀にも、知衣の願いに応じて縋るような目を変えたようだが、これはこれで手に負えない。
アレクと同じ容姿でボロボロと泣かれて、知衣はあたふたとする。
「く、クレア……あの、その……ご、ごめん。な、泣かないで?」
「はい。」
そう言って肯き、一度顔を俯かせたクレアが次ぎに顔を上げた時、その瞳に涙はなかった。
なんて律儀な――とも、ひょっとしてうそ泣き?――とも、考える猶予もない。
ほっとする間もなく――今度のクレアの表情と瞳に、知衣はぎくりと身体を強張らせた。
「チイ様……」
じっと知衣を見つめ、囁くようにその名を呼んだクレアの声はいつになく甘く、切なげに掠れている。
惜しげもなく色香を含んだ表情で、甘くとろけるような熱い視線を注ぐクレアに、知衣は固まるしかなかった。
色仕掛けをもってしてでも、姿を変えたくないってこと?
そう冷静に判断する自分が心の奥底でわずかに残っているが、強烈な色気を伴ったクレアの誘惑に、身体は硬直してしまいピクリとも動かない。
そんな知衣の様子を効果有りと見たのか、クレアが一歩、また一歩とこちらに近付く。
至近距離で見るその熱い眼差しに、美形は観賞用と割り切る知衣の顔にも流石に血がのぼった。
さらに顔へと伸ばされる手に、これ以上はヤバイと脳裏に警報が鳴り響くが、身体は未だに硬直して動かない。
「あ、ちょっ!まっ!」
声も言葉にならず、クレアを制止できない。
強烈な誘惑と伸ばされる手に抵抗できない知衣にかわり――
二人の頭上に強烈な拳が振り落とされた。
「おまえら。俺様を無視して俺様の顔で変なコントを繰り広げるな!」
怒り心頭らしいアレク様による、強烈な拳骨だった。
痛い。本当に痛い。
女性相手にも遠慮というものを感じさせないアレクに、少しはフェミニスト精神を育んでくれないものかと思う。
しかし、それで硬直から開放された知衣は、わずかではあるけれどアレクに感謝する。
見ればクレアも、いつも通りの表情に戻っていた。
知衣は、大きな溜息をつく。
こうなったら覚悟を決めてやろうじゃないの。
「安心して、クレア。姿を変えろなんて命令しない。どうせ私は、ここで一生を過ごすわけじゃないしね。」
そう。ここにいるのは、魔法案を3つ提供するまでの間だけなのだ。
そんな期間限定な自分の存在が、クレアの望みにどうやら大きく反するような命令をするのは、やはりよくないと思う。
この状況が嫌ならば、さくさく魔法案を提供すればいいのだ。
すぐには思いつかないと思いはするれど、そもそも自分は追い詰められた方が頑張るタイプだ。
学生時代、夏休みの宿題は最後の3日でやっていたし、試験勉強も前日の徹夜で乗り越えてきた。
面倒なので追い詰められたいとは望まないが、こうなったら自分を追い詰めて、問答無用で頑張るのが――元の世界へと帰る一番の近道なのかもしれない。
そうと決まれば、ここでの自分の在り方も決まる。
どうせクレアを見れば、ここの世界の人間は自分を無礼者と見るのだろう。
それならいっそ、――本当の無礼者になってしまおう。
「アレク様――いいえ、アレク。私は様付けも敬語もやめることにしたわ。どうせ私は無礼者だしね?」
怒るだろうと思いながらもそう宣言した知衣に、アレクは眉を顰める。
しかし、アレクは呆れ返った様に鼻を鳴らしただけだった。
「フン。今更だな。上っ面だけの敬意ほど馬鹿馬鹿しいものはない。」
羽柴知衣。24歳。
突然異世界に召喚され、こうして次期国王公認(?)無礼者となりました。
そんなアレクの言葉に、知衣は首を振る。
「本人が嫌っていうことを命令で強制なんてしたくないです。」
アレクに逆らわないようにしようという心掛けは、あくまで自分のことであり、他人を巻き込むとなれば話は別だ。
報復が嫌だからといって、人の意志を歪めたり傷つけたり、変な干渉はしたくない。
アレクの報復は免れることができても、他から恨まれたりするのは御免である。
知衣の拒否に、アレクは忌々しげに舌打ちする。
「そういうおまえは耐えられるのか?」
「召使いがアレク様と同じ顔だってことに?」
確かにもう少し平凡で当たり障りのない容姿の持ち主である方が、知衣としても好ましい。それは否定しない。
けれども、クレア本人が望むなら仕方がないと諦めはつく。
そもそも容姿を変えられるという考え自体、知衣にはなかったのだ。
おそらくプライドの高い俺様アレク様にとっての、自分の姿をした使い魔が他人に仕えているという屈辱に比べれば、気に止めるにも及ばないようなレベルだろう。
「耐えられないのはアレク様の方なんじゃないですか?」
そう知衣が問えば、アレクは人の悪い笑みを浮かべた。
俺様なアレクらしい表情ではあるが、乙女の連想する白馬の王子様はけして浮かてはいけない種類の禍々しい笑みだ。
「そうとも言い切れんぞ。今はまだほとんど知れていないが、3日もすればこいつは歩く宣伝塔になる。」
「歩く宣伝塔?」
「ああ。おまえにとってはありがたくない宣伝塔にな。」
「どういうことですか?」
知衣の問いにアレクは笑みを深める。
「こいつは、あの家のオプションの使い魔でな。」
そう言ってアレクが指差したのは、知衣に与えられた小さな家。
「え?あの家のオプション?」
「ああ。あの家は俺が発案した新作の魔法の試作品なんだが、三日後、商品化され発売されることになっている。あの家には、家主に仕える忠実な使い魔を付加する機能があるんだ。本来有料のオプションだが、発売記念で一週間はあの家を買えばもれなくそいつと同じ仕様の使い魔がついてくる。」
「お、同じ仕様って…『最も腹立たしいと思う人物の姿』っていう?」
知衣の言葉に、アレクは尊大に頷く。
「ちなみにこの国の人間が見れば、あの家の使い魔だということは簡単にわかる。」
「そ、そうなんですか?」
それはちょっと――否、かなりまずいのではないだろうか。
つまりは仕様さえ知っていれば、クレアを見れば知衣がアレクを一番腹立たしい相手と思っている事が一目瞭然であるということ。
この国の王子様――それも時期国王に対し、そんなことを思っていると知れるのはいただけない。
追い討ちをかけるようにアレクは言う。
「今はこいつの仕様を知っているのは俺と魔法棟の連中だけからそれと知る奴は少ないが、発売されれば当然一目でクレアの仕様を見抜く連中が山ほど現れるだろう。どうやらおまえ、セフィーの奴に随分懐かれたみたいだが……果たしてそれもいつまで続くかな?」
セフィーは仕様を知らなかったのだという。
確かに兄を慕う弟としては、兄に対しそんな感情を抱いていると知れれば良くは思えないだろう。
この国に来て希少な癒して的存在であるセフィー王子に嫌われてしまうのは悲しいが、問題はもっと大事だ。
セフィーだけではない。クレアを見る人間全てが、それを知ってしまうのだ。
自分の国の時期国王をに対して抱く、この負の感情を。
「宣伝塔って……そういうこと。」
クレアを見ただけでそれとわかる。
クレアはまさに、知衣の無礼な思いを周囲に知らしめる『歩く広告塔』だ。
知ってしまえば、クレアの容姿を変えたい方に気持ちは傾く。
ちらりと覗うようにクレアへと視線を向ければ、縋るような瞳とぶつかった。
「うっ……」
嫌だと言葉では言ってこない。
確かに知衣が命令すれば従うのだろうが、その瞳は「嫌だ。」と雄弁に語っている。
「お、お願い。そんな目で見ないで。」
耐え切れずにそう言うと、クレアは「はい。」と肯き、今度は悲しそうな表情を浮かべ瞳を潤ませる。
やはり嫌だと言葉にはしないが、今度は知衣を見つめてボロボロと泣き出した。
律儀にも、知衣の願いに応じて縋るような目を変えたようだが、これはこれで手に負えない。
アレクと同じ容姿でボロボロと泣かれて、知衣はあたふたとする。
「く、クレア……あの、その……ご、ごめん。な、泣かないで?」
「はい。」
そう言って肯き、一度顔を俯かせたクレアが次ぎに顔を上げた時、その瞳に涙はなかった。
なんて律儀な――とも、ひょっとしてうそ泣き?――とも、考える猶予もない。
ほっとする間もなく――今度のクレアの表情と瞳に、知衣はぎくりと身体を強張らせた。
「チイ様……」
じっと知衣を見つめ、囁くようにその名を呼んだクレアの声はいつになく甘く、切なげに掠れている。
惜しげもなく色香を含んだ表情で、甘くとろけるような熱い視線を注ぐクレアに、知衣は固まるしかなかった。
色仕掛けをもってしてでも、姿を変えたくないってこと?
そう冷静に判断する自分が心の奥底でわずかに残っているが、強烈な色気を伴ったクレアの誘惑に、身体は硬直してしまいピクリとも動かない。
そんな知衣の様子を効果有りと見たのか、クレアが一歩、また一歩とこちらに近付く。
至近距離で見るその熱い眼差しに、美形は観賞用と割り切る知衣の顔にも流石に血がのぼった。
さらに顔へと伸ばされる手に、これ以上はヤバイと脳裏に警報が鳴り響くが、身体は未だに硬直して動かない。
「あ、ちょっ!まっ!」
声も言葉にならず、クレアを制止できない。
強烈な誘惑と伸ばされる手に抵抗できない知衣にかわり――
二人の頭上に強烈な拳が振り落とされた。
「おまえら。俺様を無視して俺様の顔で変なコントを繰り広げるな!」
怒り心頭らしいアレク様による、強烈な拳骨だった。
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女性相手にも遠慮というものを感じさせないアレクに、少しはフェミニスト精神を育んでくれないものかと思う。
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そう。ここにいるのは、魔法案を3つ提供するまでの間だけなのだ。
そんな期間限定な自分の存在が、クレアの望みにどうやら大きく反するような命令をするのは、やはりよくないと思う。
この状況が嫌ならば、さくさく魔法案を提供すればいいのだ。
すぐには思いつかないと思いはするれど、そもそも自分は追い詰められた方が頑張るタイプだ。
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そうと決まれば、ここでの自分の在り方も決まる。
どうせクレアを見れば、ここの世界の人間は自分を無礼者と見るのだろう。
それならいっそ、――本当の無礼者になってしまおう。
「アレク様――いいえ、アレク。私は様付けも敬語もやめることにしたわ。どうせ私は無礼者だしね?」
怒るだろうと思いながらもそう宣言した知衣に、アレクは眉を顰める。
しかし、アレクは呆れ返った様に鼻を鳴らしただけだった。
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