初冬

杉山 実

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手掛かり

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  92-014
午後品川駅に到着して山手線で浜松町駅に向かう俊三。
モノレールに乗ると心臓が異常に早く動いている様に感じる。
多分国内線ターミナルに居るのだろう?と思っている俊三。
だが余りにも範囲が広い、どの様に探せば良いのだろう?
取り敢えず同じ会社の人に聞いてみる事にした。
「森田凛子さんって方なのですが、何処で働いているか判りますか?」
ひとりの女性職員に尋ねるが、全く判らないと言われてしまう。
結局夕方まで探し回ったが、森田凛子を知っている同僚は皆無で変な目で見られる俊三。
結局その日は空港の近くのビジネスホテルに宿泊した。
見込み違いか?森田と東京で働く?この言葉で羽田空港地上勤務と決めていた自分の大失敗だと思う。
翌朝、須藤課長に尋ね様と名刺の携帯にかけると、海外出張のメッセージが出る。
自分で探すしか術は無いが、国際線ターミナルの可能性も考えて向かった。

忙しく働く同じ会社の職員に「ここに森田凛子さんはいらっしゃいますか?」
「森田さんですか?今日から休まれていますよ!」
いきなり言われて言葉に詰まる俊三。
「こちらで働かれているのですか?そうですよ!ご親戚の方ですか?昨日実家に帰られました!お気の毒です!」女性職員はそう言って、その場から離れようとした。
「何か有りましたか?」
「お母さんが亡くなられた様ですよ!」
「そ、そうでしたか!」呆然とする俊三。
花巻のお母さんが亡くなられたのか?そう思いながら先日聞いた石崎の言葉を思い出す俊三。
「龍昇寺だ!」
叫ぶ様に呟くと、直ぐに羽田空港を後にして東京駅に向かった。
元旦那、子供、そして今度はお母さんが、、、、、、、、、、、、、不幸の連続に気が重く成る。
凛子の母親が寝たきりだった事を知らない俊三は、ただただ凛子の不幸を悲しんでいた。

俊三は石崎運転手に電話をして、宿の手配と花巻への到着時間を伝えた。
「二日程貸し切りで頼みます!先日の旅館に一緒に泊まりましょう」と誘った。
石崎は温泉に泊まって貸し切りなら勿体ないので、自分のマイカーで行きましょうと話した。
「それは助かりますよ!」
「今日はタクシーですよ!旅館に送り届けたら車変えて来ますよ!」嬉しそうに話した。
二人は結構馬が合う様で、メールでの挨拶も頻繁に行っている。

東京駅まで出た俊三は下りの新幹線に乗り込んだ。
新花巻に着くのは三時前に成るので、再び石崎にメールで連絡した。
(直ぐに薄暗く成りますね)
(一度龍昇寺を見に行って、今日葬儀が無いか調べて欲しい)
(森田家の葬儀ですね)
(そうだ!たのみます)
東北の冬は日暮れが早い、4時を過ぎると薄暗く成ってしまう。
早く行かないと葬儀も終わるかも知れない!気だけが焦る俊三。

メールが終わると早速石崎は龍昇寺に向かった。
境内は静かで誰も居ない様で、石崎はお寺の中に入って行く。
掃除をしている叔母さんに「今日か明日葬儀の予定は入っていますか?」
「昨日はございましたが、今日も明日も予定はございません!送迎ですか?」
石崎の服装を見て言った。
石崎からの連絡を受けた俊三は、唯一の手掛かりを諦めきれない。
新花巻駅の到着時間を石崎に伝えて、色々な事を考え始めた。
寺で森田家の住所を尋ねる!それなら実家に行ける。
石崎に香典袋を買って欲しいと頼み込む、何かを持って行かなければ恰好が付かない。

長い長い時間を過ごして、俊三が新花巻駅に到着した。
改札で石崎が待って居るので、羽田で買った手土産を右手に持って探した。
向こうで手を振る小柄な男を見つける俊三。
「すまなかったな!これ土産!」
「ありがとうございます!駅前駐車場に止めています!これから何方に行きますか?」
「もう一度龍昇寺に行こう!」
「葬儀はして居ませんよ!」
「家が判るかも知れない!」
「そうですか、行きましょう」

しばらくして寺に到着すると、住居の方に向かう二人。
先程の女性が出て来て用件を尋ねた。
俊三は森田凛子さんの住所を教えて頂きたいと頼んだ。
女性は住職の奥さんの様で「森田凛子さんでは判りませんね!何かございましたか?」
「母親が昨日位に亡くなられた様で、お悔やみに行きたいのですが住所を聞いていなかったので、、、、、」
「電話番号もご存じ無いのですか?」
「菩提寺がこちらだと聞きましたので、葬儀もここかと思い来たのですが、、、、」
「最近は小さな家族葬用の式場も沢山有りますからね!森田さんの当主のお名前でも判れば、、、、、」
「、、、、、、、、、、、、」しばらく考える俊三。
「弟さんに障害が有る様ですが?」
「どんな障害だね!」奥から住職らしき男性が出て来て尋ねた。
俊三はお辞儀をしながら「多分知的障害だと思います」
「もしかして、直の家の事かな?他に何か知っている事ないか?」
「綺麗なお姉さんが居てCAをされていると思いますが?」
「おおーやはり直だ!間違い無い!」
「なおとは?」俊三の声が変わった。
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