空蝉

杉山 実

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  84-048
「今日は何処に行くのですか?」
「兵庫県立歴史博物館に行こうかと思っています!お城の中に在るのですよ!」
郷土の歴史に関する県民の理解を深め、教育・学術及び文化の発展に寄与することを目的として、特別史跡・姫路城跡内の北東の位置に昭和58年4月に開館しました。
建物は昭和55年(1980)に文化勲章を受章した故丹下健三氏の基本設計です。
別名「白鷺城」とも呼ばれる姫路城をイメージし、壁は石垣を、空調用の換気口は狭間を表しています。
また、ティーラウンジのガラス面には天守の美しい姿が映るなど、随所に姫路城をモチーフにした設計がなされており、記念撮影のポイントとしても人気です。
「姫路城見物も一緒ですね!」
「時間も無いから、充分だと思いますよ!麻結さんと少しでも話せたら僕は、、、、」
「早速呼んで貰ったわ!」
「少し照れ臭いですがね!それよりお聞きしたい事が有るのですが?」
「何でしょう?難しい事ですか?」
「大阪金属の児玉さんってご存じなのですね!」
「えっ、児玉さん?」顔色が変わる麻結。
美咲が話したのに違いないと思ったが、何処まで話して居るのか判らないので迂闊な話が出来ない麻結。
「大阪金属って僕の会社の大きなお得意先なのですよ!児玉って営業の人が僕の事を、内の担当者の安藤さんに聞いた様なのです!」
「何を尋ねたのですか?」
「自分の付き合って居る女性が僕と知り合いだと話した様なのです!」
「それが私なの?」
「魚住に住んでいる女性で役所に勤めて居ると、、、、」
「それって私ですよね!でも私児玉さんとはお付き合いして居ませんよ!実は私の友人で木田美咲がお付き合いをしていると思うのですが?」
「間違えたのかな?」
「他に何か有りましたか?」
「いいえ、安藤さんからは、それしか、、、でも態々挨拶に来られましたよ!」
「そう、、、、なの?」
麻結は不安を感じていた。
元々は自分と交際希望で、三ノ宮のレストランに乱入した児玉。
その後も美咲とも付き合いながらも、麻結にモーションを、、、、、
長い綺麗な髪が魅力的だと交際を希望していたからだ。
美咲から武史の事を聞いている事は考えられる。
美咲も莉子も武史には一度も会っていない。
障害者で腰が曲がっている事は話した記憶が有る。

児玉は改めて武史と挨拶をして、この男と落合麻結さんが真剣交際をする筈が無い。
美咲の話は冗談半分で自分をからかっているのだと思った。
当初はどんな素晴らしい男だろう?ライバルに成るなら蹴落としてやろうと意気込んでいたが、鼻で笑って帰って行ったのだ。

「武史さんは児玉さんとは?」
「殆ど話はしませんよ!事務所に来られた時にお見かけする程度です!」
「会社に来られたら、児玉さんはどの様な感じですか?」
「一言で言えば威張っていますね!子会社の様な存在ですから、みんな気を使いますよ!」

その時、蕎麦定食が運ばれて来てテーブルに並べられた。
「丁度これ位が良いわ!」昨夜の懐石料理に比べると質素でお腹には丁度の様な気がした。
食べ始めると「丁度これ位の暖かさが美味しい季節ですね!」
「一年が早いですわ!直ぐにお婆さんに成りそうだわ!」
目の前で蕎麦を食べる麻結の胸が見えそうに成って、慌てて目を逸らす武史。
その仕草を見て「大丈夫よ!見えませんよ!上から覗いても見えませんわ!」そう言って笑う麻結。
「そうですか?でも色っぽいです!」
「母が買って来たのです!色仕掛けで迫る為でしょうか?」
「お母さんも必死ですね!」
「でももう終わりました!母の負けです!」麻結は安堵した様に話した。
もし妹さんの知り合いが助けてくれなければ、今頃はあの男の餌食に成っていたと思うと感謝の言葉では言えないと思った。

自宅に梅宮が訪れて「実は麻生祐樹さんが正式に見合いを申し込みたいとの申し出が御座いました!」と口上を述べていた。
智光と浅子は梅宮の訪れに驚いていた。
「麻生さんは他の二人の様に、機会を狙うのではなく正式にお見合いの場を、両親立ち合いで行いたいとの申し出でございます!」
「えっ、私達もですか?」
「はい!神戸のKSAの会場で正式なお見合いを希望されて居ます!勿論麻生家のご両親も出席されます」
「えっ、本格的ですね!」
「つきましてはお嬢様には振袖を着て頂きたいとの希望でございます!」
「着物を?見合いも受けるか心配ですのに、着物まで着ると、、、、、」
「色々と余計な出費に成ると思いますねで、費用の足しにして頂きたいとお預かりして参りました!」
封筒を差し出してテーブルに置いた梅宮。
「実はわたくしも着物で行く事に成って居ます!」
分厚い封筒を見て智光が50万は入っていると判った。
「お母さん!どうする?麻結が納得するだろうか?」
「実は先日見合いをさせたのですが、どうも彼の元の彼女が乱入した様なのです!」
「えー、それは大変でしたね!今回時間は充分考えると先方は言われて居ますので、私はお正月が良いと考えています!」
「正月に着物なら、変に思わないですね!」浅子が急に乗り気に成った。
「それではお正月にお見合いと云う段取りで話を進めましょう!湊川神社に初詣の付録で!」梅宮は話を纏めて上機嫌でコーヒーを飲み始めた。
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