空蝉

杉山 実

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祐樹の車

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   84-062
「あの観覧車が見える淡路サービスエリアで食事をしましょう!高速を走るとラブホが無いからな!」笑いながらいきなり言う祐樹。
「私、婚約までに関係を迫る方とは絶対に結婚はしませんわ!」
「おお―冗談が通じない!」
「ですから、身体の関係に成るのは婚約後ですよ!」怖い銚子で言う麻結。
「じゃあ、早く婚約をしなければいけませんね!」
「、、、、、、、、、、」何処迄冗談か本気か判らない祐樹の話。
でもカメラの話は本気の様で「あのサービスエリアからの写真は素晴しいですよ!明石大橋と神戸の夜景!」
話して居ると車はサービスエリアに滑り込む。
レストランに行くと「僕は淡路丸ごと玉ねぎ御膳にしますが、麻結さんはどれにされますか?」
「沢山食べられませんから、淡路どりの親子どんぶりにします!」
既に昼のピークは過ぎているので、客は少なく成っている。
外車に乗った背の高い男性と、髪の長い綺麗な女性のカップルは誰もが振り返る。
「綺麗な女ね!芸能人とマネージャー?」と陰口が聞こえる。
「俺、マネージャーなのか?」怒るが、笑っている。
「ここから撮影は?」
「何度も写したから、夜麻結さんをモデルに夜景を撮影したいと思っています」
「夜?」
「冬は日が暮れるのが早いので、それ程遅くは成りませんよ!」
麻結の心配を先走って答える祐樹。
しばらくして食事が運ばれて来て「豪華ですね!」祐樹の玉ねぎ御膳を見て言う麻結。
祐樹は多少打ち解けて来たと思う。
祐樹は麻結に何人位見合いをされたのか尋ねた。
一番気に成って居たのか聞き難い事を尋ねた。
「見合いは梅宮さんの紹介以外はひとりですよ!ですから正確に言えば5人目ですわ」
「もう直ぐ30歳なのに少ないですね!恋愛されていたのですか?」
「聞き難い事を次々聞かれますね!はい!12年程前に恋愛をしていました!でも彼亡くなったのです!」
「えっ、12年も操を守って、男性との付き合いが無かったのですか?去年から急に?」
「両親が口やかましく言うので、試しに見合いをして見ました!意外と良い方だったので、、、見合いを、、、、、、」
「その最初の方は?」
「家族に反対されて、、、、、、、」
「そうでしたか?その点私はご両親に気に要られて居ますので、安心ですよ!」
「はあ!」
「私はいつでも婚約OKですよ!その綺麗な黒髪を横に眠って見たい!」
「髪が好きなのですね!」
「好きなのは麻結さんの様な長い黒髪で美しい女ですよ!」
「お褒め頂いてありがとうございます!」
しばらくして食事が終わると祐樹は鳴門に向かって走り出した。
外車の加速は特別早く、高速を走ると前を走る車が次々と避けてくれる。
この優越感が好きで外車に乗っているのだと思う。
「軽四に乗られる事有りますか?」
「狭いので絶対に乗りませんよ!事故の時も危ないでしょう?」

昨日はその軽四で半日市内をうろうろして、最後に大分に一緒に行って欲しいと言った言葉をどの様に思ったのだろう?
簡単に良いですよ!って言ったけれど、男女の関係に成るって意味を理解されたのかな?
浅子の言う事が気に成る麻結は、別れるにしても思い出を残そうと考えた一言だった。
伸一の墓に報告に行く事、それは大森武史なのか麻生祐樹なのか?目の前に結婚の二文字が有る事だけは確かな事だった。
いつまでも自分の我が儘では暮らせない!家族に迷惑が及ぶと最近思い始めたのだ。

「何を考えているのですか?」
「あっ、すみません!昔の彼氏の家が引っ越しで無くなっていたのですよ!」
「12年前の彼氏ですか?」
「はい!バイクの事故で亡くなりました!」
「バイクは危ない!咄嗟に横転しますからね!何処で事故に?」
「伊豆半島です!」
「遠いですね!」
「大学が静岡だったので、友人とバイクで、、、、、」
「昔は流行って居ましたね!お気の毒です!もう忘れて僕と結婚しましょう!忘れさせてあげますよ!」
この男なら九州に墓参りに一緒に行くだろうか?
「麻結さんは彼の墓参りをされているのですか?」
「いいえ!一度も墓参りには行きませんでした!」
「当然ですよね!伊豆迄中々行けませんよね!」
私毎年命日に行くのですが?変ですか?心で叫ぶ。
「近くに在っても中々行きませんよね!伊豆なら泊に成りますね!あっ、そうか!泊なら一度は麻結さんと行きたいな!」急に言い出す。
「そうですね!婚約が決まれば考えましょう!」上手に逃げる。
この男は私の身体目当てなら、何処でも行く様だ!
こんな男性は一度身体を許すと、もう別の女性に目が移るタイプに違いない!
勝手に決めつける麻結。

車は百キロ以上のスピードで鳴門海峡を目指す。
「こんなに速度出して捕まりませんか?」
「怖いですか?」
「怖くは無いですが、警察が、、、、、」
「大丈夫ですよ!ミラーを見ていますから、、、、、」
そう言った矢先に減速する祐樹。
「この先取り締まりが多いのですよ!」
案の定、目の前に警察のパトカーが見えて来た。
何度もここを走っているので、よく知っていると呆れた。
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