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遠い旅の空
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84-066
それ程高級な部屋では無かったが、武史は新婚旅行みたいだと嬉しそうに言った。
「駄目よ!伸一の許可を貰う迄は、、、、、」そう口走った麻結。
明日墓参りに行けば?武史は急に結婚の二文字が頭に、、、、
そして、二人に変な沈黙の時間が流れた。
「食事に行きましょうか?」
「そ、そうですね!この部屋に居たら、船に乗っている気がしませんね!」
全く外の景色も見えない部屋で、時々波がぶつかる様な音が聞こえる程度で揺れる事も皆無。
レストランに行くと武史が「ここは僕が払いますね!」そう言ってバイキングの料理にした。
「テーブルの確保をして来るわ!」祐樹と居る時に比べてリラックスしている麻結。
常に神経を尖らせていた自分が今解放されている気分に成っている。
しばらくして適当に好きな物が盛られた皿を前に「頂きます!」と言いながら食べ始めると「雰囲気が違うと味も違いますね!」
いつの間にか麻結は髪をアップに纏めている。
どの様な雰囲気でも美しいと見とれて居ると「ぼんやりして、どうしたの?」
「麻結さんの様な美しい方とこの様な船で食事が出来るとは、思いもして居ませんでした!夢かな?」
「夢じゃないですよ!お酒飲んでも?」
「いいですよ!」
「武史さんも一杯付き合って!」
「じゃあ、ビール一杯!」
「買って来ます!」足取り軽くビールを買いに向かった麻結。
本当に?夢?武史はまだ現実を疑っていた。
ビールを飲むと二人は少し酔ったのか、饒舌に変わって「船上展望風呂に行きますか?」
「今日はお風呂は辞めますわ!」
「じゃあ、僕も辞めます!シャワーは寒いから風邪をひきそうですよね!」
「明日は湯布院の旅館ですから、一日位お風呂に入らなくても大丈夫ですよ!」
「えっ、明日は湯布院ですか?」
「伸一に報告が終われば、、、、、、、」意味有りげな雰囲気の麻結。
本当に武史さんは子供を作れるのか?目の前の姿を見ると少し不安が過る麻結。
駄目な時は、どの様に慰めるか?その心配まで次々と台詞が脳裏を掠める。
結局二人は二杯のビールを飲んでほろ酔い気分でレストランを後にした。
部屋に戻って眠ろうとする二人。
お互い同じで麻結は男性と同じ部屋で眠った事が無かった。
伸一と結ばれたのは伸一の家で昼間の出来事で眠る事は無かった。
武史は先日ソープで初めて女性を知ったので、同じ部屋で眠る事は皆無だった。
「まだ起きていますか?明日フェリー降りてから電車ですね!」
「は、はい!多分乗り換え迄時間は充分有りますよ!日田には10時に着きますから午前中にはお墓に行けます!」
ビールを飲んで眠れると思った二人の思惑は外れて、目が冴えて眠れない。
結局虚ろ虚ろで朝まで過ごす事に成ってしまった。
あの男ならとっくの昔に犯されていると、三人の男の顔が浮かんだ。
何故かその中に来週結納の麻生祐樹の顔も有った。
夜明け前大きな寝言「いゃーやめてー」声に目が覚める武史。
「だ、大丈夫ですか?」
「あっ、な何か言いましたか?」
「いやーやめてーって聞こえましたよ!」
「すみません!もう朝ですね!シャワーに行って来ます!」
「僕も行こうかな!」
二人共トレーナーの上下で寝ていたので、思わず服装で笑っていた。
しばらくして武史は展望露天風呂に向かった。
人が多い時は流石に大浴場に入るのを躊躇うが、今なら良いだろうと思って入ると既に大勢の人が居た。
日の出を見ながらの入浴を楽しむ人が多い。
殆どの人は武史の腰の方を気にしていない様に思えた。
女性の方も展望風呂に入る人は多いが、シャワーブースは少なく直ぐに使えた。
流石に髪を洗うには時間が無い様に思える。
朝食を食べると、いよいよ伸一の実家に向けて大分港から下船した。
「大分駅に行きましょう!特急ゆふ2号に乗るのよ!」
西大分駅に向かって歩く二人。
10分程で西大分駅に到着すると、真冬なのに汗を額に光らせる武史。
思わずハンカチを出して、汗を拭き取る麻結。
「ありがとう!」お礼を言うとホームに電車が到着した。
他人から見たら僕らはどの様に見えるのだろう?美人の麻結と少し腰の曲がった小さな男。
そんな事を思いながら電車に乗り込む二人。
しばらくすると特急ゆふ2号がホームに到着。
荷物は麻結が殆ど持って、武史は自分のバッグに杖だ。
「先方の方とは何年振りですか?」
「伸一の葬儀から一度も会ってないから、12年は過ぎているわね!顔を見ても判らないかも知れないわ!」
「日田からはタクシーですか?」
「武史さんの腰の事も有るから、戻るまで貸し切りにした方が良いわね!」
「タクシー代は僕が払います!他は全て麻結さんに出して貰ったから!」
「そう、それじゃあお願いしようかな!」麻結は逆らわなかった。
武史が気にするといけないので、譲った格好にした。
この墓参りは麻結が決めた事で、武史には何も関係の無い事だった。
思えば武史は腰が悪く成ってから、こんなに遠くに来た事が無かった。
麻結と全く同じで16年振りの遠くへの旅行だった。
それ程高級な部屋では無かったが、武史は新婚旅行みたいだと嬉しそうに言った。
「駄目よ!伸一の許可を貰う迄は、、、、、」そう口走った麻結。
明日墓参りに行けば?武史は急に結婚の二文字が頭に、、、、
そして、二人に変な沈黙の時間が流れた。
「食事に行きましょうか?」
「そ、そうですね!この部屋に居たら、船に乗っている気がしませんね!」
全く外の景色も見えない部屋で、時々波がぶつかる様な音が聞こえる程度で揺れる事も皆無。
レストランに行くと武史が「ここは僕が払いますね!」そう言ってバイキングの料理にした。
「テーブルの確保をして来るわ!」祐樹と居る時に比べてリラックスしている麻結。
常に神経を尖らせていた自分が今解放されている気分に成っている。
しばらくして適当に好きな物が盛られた皿を前に「頂きます!」と言いながら食べ始めると「雰囲気が違うと味も違いますね!」
いつの間にか麻結は髪をアップに纏めている。
どの様な雰囲気でも美しいと見とれて居ると「ぼんやりして、どうしたの?」
「麻結さんの様な美しい方とこの様な船で食事が出来るとは、思いもして居ませんでした!夢かな?」
「夢じゃないですよ!お酒飲んでも?」
「いいですよ!」
「武史さんも一杯付き合って!」
「じゃあ、ビール一杯!」
「買って来ます!」足取り軽くビールを買いに向かった麻結。
本当に?夢?武史はまだ現実を疑っていた。
ビールを飲むと二人は少し酔ったのか、饒舌に変わって「船上展望風呂に行きますか?」
「今日はお風呂は辞めますわ!」
「じゃあ、僕も辞めます!シャワーは寒いから風邪をひきそうですよね!」
「明日は湯布院の旅館ですから、一日位お風呂に入らなくても大丈夫ですよ!」
「えっ、明日は湯布院ですか?」
「伸一に報告が終われば、、、、、、、」意味有りげな雰囲気の麻結。
本当に武史さんは子供を作れるのか?目の前の姿を見ると少し不安が過る麻結。
駄目な時は、どの様に慰めるか?その心配まで次々と台詞が脳裏を掠める。
結局二人は二杯のビールを飲んでほろ酔い気分でレストランを後にした。
部屋に戻って眠ろうとする二人。
お互い同じで麻結は男性と同じ部屋で眠った事が無かった。
伸一と結ばれたのは伸一の家で昼間の出来事で眠る事は無かった。
武史は先日ソープで初めて女性を知ったので、同じ部屋で眠る事は皆無だった。
「まだ起きていますか?明日フェリー降りてから電車ですね!」
「は、はい!多分乗り換え迄時間は充分有りますよ!日田には10時に着きますから午前中にはお墓に行けます!」
ビールを飲んで眠れると思った二人の思惑は外れて、目が冴えて眠れない。
結局虚ろ虚ろで朝まで過ごす事に成ってしまった。
あの男ならとっくの昔に犯されていると、三人の男の顔が浮かんだ。
何故かその中に来週結納の麻生祐樹の顔も有った。
夜明け前大きな寝言「いゃーやめてー」声に目が覚める武史。
「だ、大丈夫ですか?」
「あっ、な何か言いましたか?」
「いやーやめてーって聞こえましたよ!」
「すみません!もう朝ですね!シャワーに行って来ます!」
「僕も行こうかな!」
二人共トレーナーの上下で寝ていたので、思わず服装で笑っていた。
しばらくして武史は展望露天風呂に向かった。
人が多い時は流石に大浴場に入るのを躊躇うが、今なら良いだろうと思って入ると既に大勢の人が居た。
日の出を見ながらの入浴を楽しむ人が多い。
殆どの人は武史の腰の方を気にしていない様に思えた。
女性の方も展望風呂に入る人は多いが、シャワーブースは少なく直ぐに使えた。
流石に髪を洗うには時間が無い様に思える。
朝食を食べると、いよいよ伸一の実家に向けて大分港から下船した。
「大分駅に行きましょう!特急ゆふ2号に乗るのよ!」
西大分駅に向かって歩く二人。
10分程で西大分駅に到着すると、真冬なのに汗を額に光らせる武史。
思わずハンカチを出して、汗を拭き取る麻結。
「ありがとう!」お礼を言うとホームに電車が到着した。
他人から見たら僕らはどの様に見えるのだろう?美人の麻結と少し腰の曲がった小さな男。
そんな事を思いながら電車に乗り込む二人。
しばらくすると特急ゆふ2号がホームに到着。
荷物は麻結が殆ど持って、武史は自分のバッグに杖だ。
「先方の方とは何年振りですか?」
「伸一の葬儀から一度も会ってないから、12年は過ぎているわね!顔を見ても判らないかも知れないわ!」
「日田からはタクシーですか?」
「武史さんの腰の事も有るから、戻るまで貸し切りにした方が良いわね!」
「タクシー代は僕が払います!他は全て麻結さんに出して貰ったから!」
「そう、それじゃあお願いしようかな!」麻結は逆らわなかった。
武史が気にするといけないので、譲った格好にした。
この墓参りは麻結が決めた事で、武史には何も関係の無い事だった。
思えば武史は腰が悪く成ってから、こんなに遠くに来た事が無かった。
麻結と全く同じで16年振りの遠くへの旅行だった。
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