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2話
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朝の通学路には、さわやかな風が吹いていた。まだ眠たそうに制服の襟を正しながら歩く生徒たち。
その中で、莉奈はどこか沈んだ表情で、とぼとぼと歩を進めていた。
(……昨日のこと、まだ気にしてる。ダメだな、私)
ほんのりと頬をふくらませながら、彼女がため息をつこうとした、その時だった。
――ブロロロ……
一台の黒塗りの高級車が、ぬるりと彼女の横に滑り寄ってきた。
「おっはよー、白崎莉奈ちゃーん♪」
開いた窓から顔を出したのは、黒スーツにサングラスという怪しさ満点の男。
その爽やかすぎる笑顔は、逆に不信感しか抱けないレベルで完成されていた。
「……誰ですか……?」
莉奈はガチ警戒モードで足を止めた。が、その男――久遠は、まったく動じる様子もなく車から降り立ち、シャキーンとポーズを決めた。
「どうもどうも!僕、“セクターG”の者です!」
「……は?どこですかそれ」
「ふっふっふ、それはね――」
サングラスをクイッと持ち上げ、キラリと光る目でウィンクを飛ばす。
「君の運命を変える、“スゴイとこ”さ」
(いや、完全に怪しいでしょコレ……)
内心ドン引きする莉奈だったが、相手のテンションがすごすぎて、なんとなく話を聞いてしまう。
「君、能力に目覚めただろ?そろそろ本格的な面談、必要だと思ってね」
「……いや、私そんな大した力なんて――」
「いやいやいやいや、あるある!センスの塊!スーパールーキー確定!」
久遠はグイグイと迫ってくる。やたら身振り手振りが大きい。
思わず後ずさる莉奈。そのときだった――
「ちょっと待ったああああああああああ!!」
とんでもない大声と共に、一台の自転車が突風のように突っ込んできた!
「おおっと、これは……?」
久遠がちらりと振り向いた瞬間、地面にタイヤを“ギギィィ”と滑らせて止まる自転車。
そして――
「莉奈ぁ!乗るな!そいつヤベーやつだ!!」
全力でペダルをこいできた少年、天城タイガが自転車から飛び降り、ズザァッと華麗なスライディング停止で久遠と莉奈の間に割り込む!
「なんだお前、ヒーローか」
久遠が笑いながら両手を挙げるが、タイガは完全にガチギレモードだった。
「テメェ、莉奈をどこに連れてこうとしてんだよ!!スーツのセンスが軽犯罪級だぞ!!」
「ひどいなぁ。こんな高級スーツなのに……」
「だまされるな莉奈!車に乗ったら帰ってこられねぇパターンのやつだ!!」
莉奈はあわあわしながら二人を見比べる。
「あ、あの……二人とも、ちょっと落ち着いて――」
が、その隙を突いて、久遠がサクッと莉奈を車内にIN!
「うぇええ!?ちょっ、今のずるっ!」
「それじゃ、また学校で会おうね~!」
パタンとドアが閉まり、車は滑らかに発進。
だが――その背後から、再びタイガの怒号が響いた!
「待てコラァァァァァァァァ!!!」
その中で、莉奈はどこか沈んだ表情で、とぼとぼと歩を進めていた。
(……昨日のこと、まだ気にしてる。ダメだな、私)
ほんのりと頬をふくらませながら、彼女がため息をつこうとした、その時だった。
――ブロロロ……
一台の黒塗りの高級車が、ぬるりと彼女の横に滑り寄ってきた。
「おっはよー、白崎莉奈ちゃーん♪」
開いた窓から顔を出したのは、黒スーツにサングラスという怪しさ満点の男。
その爽やかすぎる笑顔は、逆に不信感しか抱けないレベルで完成されていた。
「……誰ですか……?」
莉奈はガチ警戒モードで足を止めた。が、その男――久遠は、まったく動じる様子もなく車から降り立ち、シャキーンとポーズを決めた。
「どうもどうも!僕、“セクターG”の者です!」
「……は?どこですかそれ」
「ふっふっふ、それはね――」
サングラスをクイッと持ち上げ、キラリと光る目でウィンクを飛ばす。
「君の運命を変える、“スゴイとこ”さ」
(いや、完全に怪しいでしょコレ……)
内心ドン引きする莉奈だったが、相手のテンションがすごすぎて、なんとなく話を聞いてしまう。
「君、能力に目覚めただろ?そろそろ本格的な面談、必要だと思ってね」
「……いや、私そんな大した力なんて――」
「いやいやいやいや、あるある!センスの塊!スーパールーキー確定!」
久遠はグイグイと迫ってくる。やたら身振り手振りが大きい。
思わず後ずさる莉奈。そのときだった――
「ちょっと待ったああああああああああ!!」
とんでもない大声と共に、一台の自転車が突風のように突っ込んできた!
「おおっと、これは……?」
久遠がちらりと振り向いた瞬間、地面にタイヤを“ギギィィ”と滑らせて止まる自転車。
そして――
「莉奈ぁ!乗るな!そいつヤベーやつだ!!」
全力でペダルをこいできた少年、天城タイガが自転車から飛び降り、ズザァッと華麗なスライディング停止で久遠と莉奈の間に割り込む!
「なんだお前、ヒーローか」
久遠が笑いながら両手を挙げるが、タイガは完全にガチギレモードだった。
「テメェ、莉奈をどこに連れてこうとしてんだよ!!スーツのセンスが軽犯罪級だぞ!!」
「ひどいなぁ。こんな高級スーツなのに……」
「だまされるな莉奈!車に乗ったら帰ってこられねぇパターンのやつだ!!」
莉奈はあわあわしながら二人を見比べる。
「あ、あの……二人とも、ちょっと落ち着いて――」
が、その隙を突いて、久遠がサクッと莉奈を車内にIN!
「うぇええ!?ちょっ、今のずるっ!」
「それじゃ、また学校で会おうね~!」
パタンとドアが閉まり、車は滑らかに発進。
だが――その背後から、再びタイガの怒号が響いた!
「待てコラァァァァァァァァ!!!」
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