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第7章 夜明け
夜明け
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「ルカはなんだって一緒に来なかったんだ」
ノクスは飛竜の眠る夜の庭園を窓越しに見下ろして呟く。王都にあるノクス邸は修復が進んでおらず、式典に出席した後はアルバスの邸宅に泊まらせてもらっている。
「ルカはもう一人立ちしたんだ。謝ってたよ、お前の絵姿を勝手に公開して、お前を処刑台に送る羽目になった事。もう自分にはお前の傍にいる資格はないって。新聞記者になるって言ってただろう? 今ごろ戴冠式の記事を書くのに忙しい」
風呂上りのアルバスは濡れ髪のままワインの入ったグラスを持ってきてノクスに渡した。ノクスは受け取ってため息をつく。
「そうか。……今日の式典疲れたな……。やっぱり社交は向いてねぇ」
「挨拶よく頑張ってたよ。明日、謁見だろ? 俺もだ。褒賞は何を願う?」
ノクスの顔を覗き込んで尋ねるアルバスの瞳は穏やかに笑っている。羽織っただけのローブの下から鍛えた胸板が覗き、ノクスは思わず目をそらした。
――駄目だ。俺までこいつを好きになったら、アルバスは俺に失望する。
ノクスは逃げるように、煌々と輝く月を見上げた。胸の動悸が激しいのは、アルバスから石鹸の香りがするせいだ。もう少し離れれば落ち着くだろう。
ノクスは一歩後じさる。
「結界守に戻ろうと思う。爵位も返上するよ。俺は討伐に生きる」
そう言うと、ふうん、とアルバスはノクスが離れた一歩ぶん歩み寄って、何げなくつぶやく。
「じゃあ、俺もそうしよう」
「面倒だからって俺と同じにするなよ。自分で欲しいものを考えろ」
ノクスはむっとして眉根を寄せ、アルバスを見やった。アルバスは首を傾げる。
「俺が欲しいものは、陛下には叶えられないんじゃないかな?」
「不敬だぞ。あるならあるだけ言ってみろ、試しに」
ノクスはワインをぐっと煽った。アルバスはグラスをサイドテーブルに置いて、指を折って挙げ始める。
「1,ノクスと同じ仕事。2,ノクスと同じ住居。3,――ノクス・フェリス」
言い終えて爽やかに微笑むアルバスに、ノクスはワインを噴きそうになって口を手の甲で覆った。ごくりと喉を鳴らし、大きく深呼吸をする。
「……前から思ってたけど、お前、ちょっと怖いよ」
「正直なだけなんだけどなあ」
アルバスはにこにことノクスを見つめた。ノクスは空になったグラスを置いてアルバスに背を向ける。
「たちの悪い冗談だ。どこまで本気なんだか」
は、と漏らした息と一緒に、思わず本音が漏れた。
「本気だよ。全部」
「嘘をつけ。女を口説く時みたいに、人を惑わす事を軽く言うな。わかってんだよ、お前の好意が碓氷より薄いって事は。俺がお前を好きになったり妙な期待をしたりしたら、お前の好意はすぐに割れて消える」
「誰がそう言った?」
「お前だけど。『自分を好きじゃないから俺といたい』って言ったの、覚えてるか?」
ノクスは振り返って、真後ろに立っていたアルバスに心底驚き、びくっとした。アルバスの顔は青ざめ、拳を強く握りしめている。
「――なんだ、その顔。俺がひどい事を言ったみてぇじゃねぇか」
「言ってるよ。俺の言葉が嘘だと」
アルバスの沈んだ声に、ノクスは舌打ちした。
「おい、俺は振ったんじゃねぇぞ。俺がお前に振られてんだよ、ずっと前から、何か言う前にな。……まあ別に気にはしねぇよ。お前が相棒である事に変わりはない」
アルバスは必死の形相でノクスの手首を掴んだ。
「違う、気にしてくれ! ……俺が馬鹿だった! 君に不気味な奴だとか、追いかけてきて怖いとか思われたくなかった。それに『一緒にいたい』って言ったのに解ってくれない君に腹が立って、強がったんだ……。信じてくれ」
アルバスは声を震わせ、顔を伏せてしまった。大きな手が震えている。
――本当かよ……。
ノクスはアルバスに掴まれた手に目を落とした。握力100kg以上はあろうという男だが、ノクスを掴む時はいつもそっとだ。
「……つまりお前、俺の事好きなの?」
アルバスは顔を伏せたまま頷いた。髪に隠れた瞳は見えない。
「ずっと前から」
ノクスは顔をしかめて疑った。
「俺の婚約者にも妬かなかったくせに? そんな素振り全然なかったぞ」
「わからないなら、説明しようか」
アルバスは顔を上げ、寂しげにうっすら微笑んだ。
「君は怖がるかもしれないけどね」
「最初から君に興味があったんだよ。ほら、俺怪力だろう。グラディウスの長子だから皆にこやかに接してくれるけど、陰では家族や使用人に『化け物』って呼ばれてたんだ。……君も『人間離れした化け物』って言われてたから、同類同士分かり合えるかもと思った」
アルバスは薄い微笑を浮かべたまま話し始めた。己が『化け物』と家族に呼ばれた事まで軽く話すアルバスに、ノクスはぐっと眉をひそめる。
「だから俺をお茶会に呼んだんだな」
ノクスは仮面のような笑顔を貼り付けていた昔のアルバスを思い出す。子供ながら大人びていたのは、人の裏も人一倍見ていたからか。
「うん。ところが全然違った。君は俺の話に合わせて笑わないし、俺が話してても空の鳥とか見てる。なのに魔術書を見せたら、その時だけ笑った。本を貸したら、満面の笑みで母様の所へ駆け戻っていった。悔しかったな。でも、君は嘘で笑わないんだなと思った。君にはそれが許されてた。平民だからか、愛されているからか。君は俺の欲しいものを全部持ってた。自由も愛も」
アルバスは淡々と語った。皮肉なものだ。ノクスにとっても、アルバスは『ノクスの欲しいものを何でも持っている男』だったのに。
アルバスには家族が揃っていると思っていたけれど、アルバスは家族に愛されているとは、少なくとも自分では思っていなかった。だからやすやすと家を捨てたのだ。
ノクスは目を伏せてほろ苦く微笑んだ。
「――俺の事嫌いだった?」
アルバスの声に急に力が籠もった。
「いいや。逆だね」
ノクスは予想外の反応にふいを衝かれて「えっ」と顔を上げる。アルバスは昔を思い出すかのように、天井を見上げる。
「当時、俺の家に招かれた事で、君は周囲の嫉妬を買ってた。君の家にアカデミー奨学金の返事を聞きに行った時、家の外で『魔獣の子が化け物風情で貴族様に媚を売りやがって』って大声で陰口を叩いてる大人がいたんだ。ところが君はまったく気にもしてなくてさ。聴こえてるのかいないのか、貸した魔術書しか見てないんだ。……なんでそんな風でいられるんだ? 君は」
アルバスは力の籠もった輝く瞳を見開いてノクスを覗き込む。
――興味が持てなかっただけだな。お前こそ、なんでこの話題でそんなに目をキラキラさせられるんだ……。
生返事のノクスの手を、アルバスは引き寄せる。アルバスの微笑はどこかわくわくしたものになってきている。
「本じゃなくてこっち見てくれないかなと思って『腕相撲大会優勝者に勝った』って自慢したら、『今から魔法で腕を鋼鉄にするから、腕相撲しよう』って君が言い出したんだよ。そしたら君の腕、硬すぎて曲がらないんだ! もう面白くてさ。骨折させたら困るからって、俺は同い年の子と腕相撲なんてさせてもらえなかったから」
「あっ、覚えてる」
ノクスはぴんときて顔を上げた。坊ちゃん然としていてうさんくさかったアルバスがノクスの手を掴んだまま涙を流して笑うもので、ノクスはアルバスを『悪い奴じゃないかもしれない』と見直したのだった。腕が硬化したまま戻らず、夕飯時になってもフォークも持てなかったので、母にこっぴどく怒られたものだ。
アルバスは笑って頷く。
「楽しかったな! 帰り道にさ、同じ『化け物』なのになんで俺は君みたいに自然に飄々と生きられなくて、君の日常の中にもいないんだろうなって思ったら、胸がぎゅうっとなったんだ。意地でも君を笑わせようと思った。嘘で笑わない君が俺に笑ってくれるなら、それは本当だから」
アルバスの瞳を見上げ、ノクスはくすっと笑った。
「そうか」
アルバスの瞳の色が和んで緩むのを、ノクスはどこか物悲しい思いで見つめた。アルバスはよく笑うけれど、ちゃんと本当に笑っている事は少ないのだ。
「それからずっと君ばかり追いかけていたな。でも君を好きだと気づいたのは君の母上が魔獣に襲われた日だよ。浮浪者のテントで見つけた時、君は服を脱がされかかっていた。気づきたくはなかったのに、その時気づかされた。俺もあの薄汚い浮浪者と同じ事がしたいんだって。俺は浮浪者を叩きのめして、英雄みたいな顔で君を連れ帰った。自分の薄汚い欲望には蓋をした……しようとした」
アルバスは俯いてしまった。その声はかすれ、長い前髪に隠れて、瞳は見えない。
「アルバス。お前は俺を助けたんだからな。犯罪者と自分を一緒にするなよ」
ノクスは急いで口を挟んだ。アルバスは目を伏せたまま淡々とつぶやく。
「そうだね。あの浮浪者と俺は同じじゃないって必死で自分に言い聞かせたよ。俺はあんな卑怯な真似はしない。意識のない君を襲ったりしない、って」
「そ、そうだよ! 俺の発作中もアルバスが自制してくれたのがその証明だ。……というか、それって犯罪現場に居合わせて刺激されただけだろ。好きじゃなくとも欲望は感じるものだ」
アルバスは重たげに顔を上げ、鈍い目で「ちがう」と言った。
「欲望は嫉妬しない。俺はねノクス、君が誰かをまぶしそうな目で見たり、笑いかけたりすると駄目なんだ。君の視線を独占したかったし、俺以外の誰かが君に笑いかけるのも嫌だった。だから子供の時は、グラディウス家を継いだら邸内に君の部屋を作ろうと思っていたよ。君にそこに住んでもらって、誰も君に会えないようにしようって。そうすれば、君の日常の中に俺も棲める。父に構想を話して怒られて、さすがに気づいた。あ、俺の気持、隠した方がいいかもって。これは友達に向けるような感情じゃない、って」
アルバスは目を上げて、鬱々とした瞳でノクスを見つめ、微笑んだ。
「そ……そうか」
ノクスは身じろぎする。
――思った以上にろくでもねぇ事考えてた。ま、まあ、子供ってとんでもない発想をするものだしな。領主様がたしなめてくれてよかった。
アルバスはぽつりぽつりと独白のように語り続けている。
「君が討伐者志望だって知った時は感動したな。魔獣を狩りたい君の願望と、君を他人に会わせたくない俺の願望が奇跡的に合致したんだ。何も君を閉じ込めなくても、森には俺の他に人がいないからね。……あ、怖い? 鳥肌が立ってる」
アルバスはノクスの耳もとにかがんで首を傾げた。ノクスはかぶりを振る。
「う……ううん」
「怖がらせてごめんね。こんな話気味悪いと思ったけど、余裕ぶって真心を疑われてフラれるくらいなら、全部言って怖がられた方がましかな、と思って」
寂しげに目を細めるアルバスに、ノクスは無理やり胸を張った。
「怖くなんかねぇよ。お前がどんな事を考えてても、結局俺を一番に考えてくれてる事も、優しいって事もちゃんと知ってるからな」
これまでアルバスがノクスを傷つけないよう自制し続けてくれていた事は、何度も積み重ねられた事実である。怖がる事などない。――はずだ。
アルバスは目を細めて微笑み、ノクスの二の腕を掴んだ。ノクスの顔を覗き込んで尋ねる。
「じゃあ、改めて聞くよ。ノクス、俺は嘘を言っているように見える? 冗談で告白したように見えるか?」
はく、とノクスは息を吸った。かぶりを振る。
――さすがに、嘘には思えない。
アルバスはそっと尋ねた。
「……俺の事嫌い? もう顔も見たくないか?」
ノクスは眉根を寄せてぎゅっと目を瞑り、ふるふるとかぶりを振った。しばらく沈黙したが、意を決して目を開ける。
アルバスはじっとノクスを見つめていた。ノクスを掴む手にぎゅっと力が籠もる。ノクスは目を伏せて頬を染め、ぶっきらぼうに言った。
「触れられるならお前がいい。他の奴は嫌だった。お前との時間が今後、他の女の人にとられるのも嫌だ。……恋人になってもいい」
言い終えた途端息もできないほど抱きすくめられて、ノクスは呻いた。
「おぉい……潰れそうだぞ……」
「よかった。これでもう君を閉じ込める必要はないね」
震える声で囁かれて、ノクスは背筋に寒気を覚える。
「怖ぇ冗談だな……というか、お前こそ俺でいいのかよ。自分で言うのも何だけど、俺はデリカシーねぇぞ」
ん? とアルバスは涙目でノクスの肩から顔を上げた。
「君にそれを求めても仕方ないだろ」
「諦めの境地か? さすがになんかフォローしろよ」
ノクスはアルバスの胸板をむりやり腕で押しのけて脱出しようとしたが、アルバスはノクスを抱え上げて寝台の上へ降ろした。ふ、と微笑む。
「全部好きだからいいんだ。――でも、もう『5分で済ませろ』はなしだよ」
※ ※ ※
戴冠式から一か月が経とうとしていた。
飛竜の背に荷を括りつけていたノクスは、アルバスが己を呼ぶ声に振り向いて庭園の石畳へ飛び降りる。夜明け方のアルバス邸の庭では、春の兆しを告げるスノードロップが咲き匂っていた。
門扉から歩いてくる薄茶のツイードジャケットにキャスケット帽を被った青年の姿を見つけ、ノクスは目を細めて見上げる。
「また背が伸びたな、ルカ」
ルカは照れ臭そうに笑って帽子をとった。『大賢者の元弟子』はオーティス王権打倒の影の立役者として認められ、今や大手民間新聞の新聞記者だ。
「新たに『護国守』の称号を戴いたそうで。おめでとうございます」
ノクスは顔をしかめて革手袋を脱いだ。
「敬語はなしだ。爵位を返上したら、功労者を冷遇してるみたいで困るって言われてな。苦肉の策がこの称号だ。領地と家をもらったから、遊びに来いよ」
ノクスが話す肩に、アルバスは歩み寄って手を置く。アルバスは笑顔でかがみ込み、ルカの顔を覗き込んだ。
「ちなみにその家には俺も一緒に住んでる。領地の共同統治は史上初だそうだ。記事には俺達が仲良く同居してるって大々的に書いておいてくれ。貴族派と革命派の融和に役立つ」
ルカは微妙に顔をそらしてため息をついた。
「……へいへい。ノクス、こいつと一緒に住むとか正気なの? 喧嘩別れになったら領民も困るだろ」
「俺とノクスは喧嘩なんてしないし、別れる事はもっとない」
むっとしたアルバスの声を遮るように、ノクスが割って入る。
「大丈夫だぞ、領内に人住んでないから。魔獣しかいない土地がいいってアルバスが希望したんだよ。俺が全力で魔獣を狩れる場所がいいって」
「……俺は別の意図を感じるんだけど、気のせいじゃねぇよな……?」
ルカは胡散臭そうにアルバスを見上げた。ルカの視線の先でアルバスはにこにこと上機嫌に笑っている。ルカはうんざり顔でノクスに目を戻した。
「俺ノクスをこいつと2人にしとくの心配なんだけど」
ノクスはおかしそうに笑った。
「心配するな、王都にも月に一度は顔を見せる。『王の顧問』ってやつになっちまって、宮廷評議会に出なきゃいけねぇんだ」
オーティス王時代には、平民出身のノクスが議会に参加する事はなかった。しかしヨハネス王が即位してからというもの、ノクスだけにとどまらず地方議会などでも平民の登用が始まっている。宮廷貴族の反発もあるものの、昇爵して今や宮廷の重鎮となったフローレス公爵の睨みが効いているようだ。前例のない平民登用が功を奏してか、かつての革命派も大半が穏健な王派に転身していた。
ルキウスはというと、ゲオルギウスが失脚した後司教となっている。『人命を守る討伐者を地界の者と区分するのは誤り』とする新教義を唱えているそうだが、魔術師や下位貴族たちにすこぶる評判が良い。ルキウス司教の新教義の影響で討伐者志望者も増え始めたという。
ルカはぱっとノクスの手を両手で包んだ。
「王都に来る時は声かけてくれよ! 毎回とはいかなくても、会いたいな」
「ああ、ルカも忙しそうだな。……仕事、どうだ? 楽しいか?」
おずおずと尋ねたノクスに、ルカは肩をすくめる。
「もちろん! 討伐者より向いてる。何よりノクスがこいつといる所、ずっと見てなくていいし」
「え?」
困惑するノクスの手に、ルカはぎゅっと力を籠めた。にこっと瞳を合わせて笑う。
「気づかなかった? 俺の初恋の相手ってノクスだよ。じゃあね!」
着いたら手紙くれよな、と言い残してルカは走り去って行った。
茫然と見送るノクスの腰を後ろから抱え上げて、アルバスは飛竜の背中へ乗せる。
「え……!? え!?」
鐙に足をかけてノクスの後ろに跨ったアルバスは、ルカの言葉を受け止めきれないでいるノクスの帯に命綱を取りつけながらそっけなく言う。
「『初恋だった』と言えるのは、新しい恋に出会えたからだ。ノクス、出発しよう」
「お……おう!?」
朝日が教会の尖塔の端にかかり、輝き始めた。鋭く透明な日の光を受けて、飛竜はまばゆい銀の翼を広げる。空高く舞い上がる飛竜の背でまどろむ町を見下ろし、冷たくかんばしい空気を胸いっぱいに吸い込んで、ノクスは目を細める。
また今日も夜が明けるのだ。
終
ノクスは飛竜の眠る夜の庭園を窓越しに見下ろして呟く。王都にあるノクス邸は修復が進んでおらず、式典に出席した後はアルバスの邸宅に泊まらせてもらっている。
「ルカはもう一人立ちしたんだ。謝ってたよ、お前の絵姿を勝手に公開して、お前を処刑台に送る羽目になった事。もう自分にはお前の傍にいる資格はないって。新聞記者になるって言ってただろう? 今ごろ戴冠式の記事を書くのに忙しい」
風呂上りのアルバスは濡れ髪のままワインの入ったグラスを持ってきてノクスに渡した。ノクスは受け取ってため息をつく。
「そうか。……今日の式典疲れたな……。やっぱり社交は向いてねぇ」
「挨拶よく頑張ってたよ。明日、謁見だろ? 俺もだ。褒賞は何を願う?」
ノクスの顔を覗き込んで尋ねるアルバスの瞳は穏やかに笑っている。羽織っただけのローブの下から鍛えた胸板が覗き、ノクスは思わず目をそらした。
――駄目だ。俺までこいつを好きになったら、アルバスは俺に失望する。
ノクスは逃げるように、煌々と輝く月を見上げた。胸の動悸が激しいのは、アルバスから石鹸の香りがするせいだ。もう少し離れれば落ち着くだろう。
ノクスは一歩後じさる。
「結界守に戻ろうと思う。爵位も返上するよ。俺は討伐に生きる」
そう言うと、ふうん、とアルバスはノクスが離れた一歩ぶん歩み寄って、何げなくつぶやく。
「じゃあ、俺もそうしよう」
「面倒だからって俺と同じにするなよ。自分で欲しいものを考えろ」
ノクスはむっとして眉根を寄せ、アルバスを見やった。アルバスは首を傾げる。
「俺が欲しいものは、陛下には叶えられないんじゃないかな?」
「不敬だぞ。あるならあるだけ言ってみろ、試しに」
ノクスはワインをぐっと煽った。アルバスはグラスをサイドテーブルに置いて、指を折って挙げ始める。
「1,ノクスと同じ仕事。2,ノクスと同じ住居。3,――ノクス・フェリス」
言い終えて爽やかに微笑むアルバスに、ノクスはワインを噴きそうになって口を手の甲で覆った。ごくりと喉を鳴らし、大きく深呼吸をする。
「……前から思ってたけど、お前、ちょっと怖いよ」
「正直なだけなんだけどなあ」
アルバスはにこにことノクスを見つめた。ノクスは空になったグラスを置いてアルバスに背を向ける。
「たちの悪い冗談だ。どこまで本気なんだか」
は、と漏らした息と一緒に、思わず本音が漏れた。
「本気だよ。全部」
「嘘をつけ。女を口説く時みたいに、人を惑わす事を軽く言うな。わかってんだよ、お前の好意が碓氷より薄いって事は。俺がお前を好きになったり妙な期待をしたりしたら、お前の好意はすぐに割れて消える」
「誰がそう言った?」
「お前だけど。『自分を好きじゃないから俺といたい』って言ったの、覚えてるか?」
ノクスは振り返って、真後ろに立っていたアルバスに心底驚き、びくっとした。アルバスの顔は青ざめ、拳を強く握りしめている。
「――なんだ、その顔。俺がひどい事を言ったみてぇじゃねぇか」
「言ってるよ。俺の言葉が嘘だと」
アルバスの沈んだ声に、ノクスは舌打ちした。
「おい、俺は振ったんじゃねぇぞ。俺がお前に振られてんだよ、ずっと前から、何か言う前にな。……まあ別に気にはしねぇよ。お前が相棒である事に変わりはない」
アルバスは必死の形相でノクスの手首を掴んだ。
「違う、気にしてくれ! ……俺が馬鹿だった! 君に不気味な奴だとか、追いかけてきて怖いとか思われたくなかった。それに『一緒にいたい』って言ったのに解ってくれない君に腹が立って、強がったんだ……。信じてくれ」
アルバスは声を震わせ、顔を伏せてしまった。大きな手が震えている。
――本当かよ……。
ノクスはアルバスに掴まれた手に目を落とした。握力100kg以上はあろうという男だが、ノクスを掴む時はいつもそっとだ。
「……つまりお前、俺の事好きなの?」
アルバスは顔を伏せたまま頷いた。髪に隠れた瞳は見えない。
「ずっと前から」
ノクスは顔をしかめて疑った。
「俺の婚約者にも妬かなかったくせに? そんな素振り全然なかったぞ」
「わからないなら、説明しようか」
アルバスは顔を上げ、寂しげにうっすら微笑んだ。
「君は怖がるかもしれないけどね」
「最初から君に興味があったんだよ。ほら、俺怪力だろう。グラディウスの長子だから皆にこやかに接してくれるけど、陰では家族や使用人に『化け物』って呼ばれてたんだ。……君も『人間離れした化け物』って言われてたから、同類同士分かり合えるかもと思った」
アルバスは薄い微笑を浮かべたまま話し始めた。己が『化け物』と家族に呼ばれた事まで軽く話すアルバスに、ノクスはぐっと眉をひそめる。
「だから俺をお茶会に呼んだんだな」
ノクスは仮面のような笑顔を貼り付けていた昔のアルバスを思い出す。子供ながら大人びていたのは、人の裏も人一倍見ていたからか。
「うん。ところが全然違った。君は俺の話に合わせて笑わないし、俺が話してても空の鳥とか見てる。なのに魔術書を見せたら、その時だけ笑った。本を貸したら、満面の笑みで母様の所へ駆け戻っていった。悔しかったな。でも、君は嘘で笑わないんだなと思った。君にはそれが許されてた。平民だからか、愛されているからか。君は俺の欲しいものを全部持ってた。自由も愛も」
アルバスは淡々と語った。皮肉なものだ。ノクスにとっても、アルバスは『ノクスの欲しいものを何でも持っている男』だったのに。
アルバスには家族が揃っていると思っていたけれど、アルバスは家族に愛されているとは、少なくとも自分では思っていなかった。だからやすやすと家を捨てたのだ。
ノクスは目を伏せてほろ苦く微笑んだ。
「――俺の事嫌いだった?」
アルバスの声に急に力が籠もった。
「いいや。逆だね」
ノクスは予想外の反応にふいを衝かれて「えっ」と顔を上げる。アルバスは昔を思い出すかのように、天井を見上げる。
「当時、俺の家に招かれた事で、君は周囲の嫉妬を買ってた。君の家にアカデミー奨学金の返事を聞きに行った時、家の外で『魔獣の子が化け物風情で貴族様に媚を売りやがって』って大声で陰口を叩いてる大人がいたんだ。ところが君はまったく気にもしてなくてさ。聴こえてるのかいないのか、貸した魔術書しか見てないんだ。……なんでそんな風でいられるんだ? 君は」
アルバスは力の籠もった輝く瞳を見開いてノクスを覗き込む。
――興味が持てなかっただけだな。お前こそ、なんでこの話題でそんなに目をキラキラさせられるんだ……。
生返事のノクスの手を、アルバスは引き寄せる。アルバスの微笑はどこかわくわくしたものになってきている。
「本じゃなくてこっち見てくれないかなと思って『腕相撲大会優勝者に勝った』って自慢したら、『今から魔法で腕を鋼鉄にするから、腕相撲しよう』って君が言い出したんだよ。そしたら君の腕、硬すぎて曲がらないんだ! もう面白くてさ。骨折させたら困るからって、俺は同い年の子と腕相撲なんてさせてもらえなかったから」
「あっ、覚えてる」
ノクスはぴんときて顔を上げた。坊ちゃん然としていてうさんくさかったアルバスがノクスの手を掴んだまま涙を流して笑うもので、ノクスはアルバスを『悪い奴じゃないかもしれない』と見直したのだった。腕が硬化したまま戻らず、夕飯時になってもフォークも持てなかったので、母にこっぴどく怒られたものだ。
アルバスは笑って頷く。
「楽しかったな! 帰り道にさ、同じ『化け物』なのになんで俺は君みたいに自然に飄々と生きられなくて、君の日常の中にもいないんだろうなって思ったら、胸がぎゅうっとなったんだ。意地でも君を笑わせようと思った。嘘で笑わない君が俺に笑ってくれるなら、それは本当だから」
アルバスの瞳を見上げ、ノクスはくすっと笑った。
「そうか」
アルバスの瞳の色が和んで緩むのを、ノクスはどこか物悲しい思いで見つめた。アルバスはよく笑うけれど、ちゃんと本当に笑っている事は少ないのだ。
「それからずっと君ばかり追いかけていたな。でも君を好きだと気づいたのは君の母上が魔獣に襲われた日だよ。浮浪者のテントで見つけた時、君は服を脱がされかかっていた。気づきたくはなかったのに、その時気づかされた。俺もあの薄汚い浮浪者と同じ事がしたいんだって。俺は浮浪者を叩きのめして、英雄みたいな顔で君を連れ帰った。自分の薄汚い欲望には蓋をした……しようとした」
アルバスは俯いてしまった。その声はかすれ、長い前髪に隠れて、瞳は見えない。
「アルバス。お前は俺を助けたんだからな。犯罪者と自分を一緒にするなよ」
ノクスは急いで口を挟んだ。アルバスは目を伏せたまま淡々とつぶやく。
「そうだね。あの浮浪者と俺は同じじゃないって必死で自分に言い聞かせたよ。俺はあんな卑怯な真似はしない。意識のない君を襲ったりしない、って」
「そ、そうだよ! 俺の発作中もアルバスが自制してくれたのがその証明だ。……というか、それって犯罪現場に居合わせて刺激されただけだろ。好きじゃなくとも欲望は感じるものだ」
アルバスは重たげに顔を上げ、鈍い目で「ちがう」と言った。
「欲望は嫉妬しない。俺はねノクス、君が誰かをまぶしそうな目で見たり、笑いかけたりすると駄目なんだ。君の視線を独占したかったし、俺以外の誰かが君に笑いかけるのも嫌だった。だから子供の時は、グラディウス家を継いだら邸内に君の部屋を作ろうと思っていたよ。君にそこに住んでもらって、誰も君に会えないようにしようって。そうすれば、君の日常の中に俺も棲める。父に構想を話して怒られて、さすがに気づいた。あ、俺の気持、隠した方がいいかもって。これは友達に向けるような感情じゃない、って」
アルバスは目を上げて、鬱々とした瞳でノクスを見つめ、微笑んだ。
「そ……そうか」
ノクスは身じろぎする。
――思った以上にろくでもねぇ事考えてた。ま、まあ、子供ってとんでもない発想をするものだしな。領主様がたしなめてくれてよかった。
アルバスはぽつりぽつりと独白のように語り続けている。
「君が討伐者志望だって知った時は感動したな。魔獣を狩りたい君の願望と、君を他人に会わせたくない俺の願望が奇跡的に合致したんだ。何も君を閉じ込めなくても、森には俺の他に人がいないからね。……あ、怖い? 鳥肌が立ってる」
アルバスはノクスの耳もとにかがんで首を傾げた。ノクスはかぶりを振る。
「う……ううん」
「怖がらせてごめんね。こんな話気味悪いと思ったけど、余裕ぶって真心を疑われてフラれるくらいなら、全部言って怖がられた方がましかな、と思って」
寂しげに目を細めるアルバスに、ノクスは無理やり胸を張った。
「怖くなんかねぇよ。お前がどんな事を考えてても、結局俺を一番に考えてくれてる事も、優しいって事もちゃんと知ってるからな」
これまでアルバスがノクスを傷つけないよう自制し続けてくれていた事は、何度も積み重ねられた事実である。怖がる事などない。――はずだ。
アルバスは目を細めて微笑み、ノクスの二の腕を掴んだ。ノクスの顔を覗き込んで尋ねる。
「じゃあ、改めて聞くよ。ノクス、俺は嘘を言っているように見える? 冗談で告白したように見えるか?」
はく、とノクスは息を吸った。かぶりを振る。
――さすがに、嘘には思えない。
アルバスはそっと尋ねた。
「……俺の事嫌い? もう顔も見たくないか?」
ノクスは眉根を寄せてぎゅっと目を瞑り、ふるふるとかぶりを振った。しばらく沈黙したが、意を決して目を開ける。
アルバスはじっとノクスを見つめていた。ノクスを掴む手にぎゅっと力が籠もる。ノクスは目を伏せて頬を染め、ぶっきらぼうに言った。
「触れられるならお前がいい。他の奴は嫌だった。お前との時間が今後、他の女の人にとられるのも嫌だ。……恋人になってもいい」
言い終えた途端息もできないほど抱きすくめられて、ノクスは呻いた。
「おぉい……潰れそうだぞ……」
「よかった。これでもう君を閉じ込める必要はないね」
震える声で囁かれて、ノクスは背筋に寒気を覚える。
「怖ぇ冗談だな……というか、お前こそ俺でいいのかよ。自分で言うのも何だけど、俺はデリカシーねぇぞ」
ん? とアルバスは涙目でノクスの肩から顔を上げた。
「君にそれを求めても仕方ないだろ」
「諦めの境地か? さすがになんかフォローしろよ」
ノクスはアルバスの胸板をむりやり腕で押しのけて脱出しようとしたが、アルバスはノクスを抱え上げて寝台の上へ降ろした。ふ、と微笑む。
「全部好きだからいいんだ。――でも、もう『5分で済ませろ』はなしだよ」
※ ※ ※
戴冠式から一か月が経とうとしていた。
飛竜の背に荷を括りつけていたノクスは、アルバスが己を呼ぶ声に振り向いて庭園の石畳へ飛び降りる。夜明け方のアルバス邸の庭では、春の兆しを告げるスノードロップが咲き匂っていた。
門扉から歩いてくる薄茶のツイードジャケットにキャスケット帽を被った青年の姿を見つけ、ノクスは目を細めて見上げる。
「また背が伸びたな、ルカ」
ルカは照れ臭そうに笑って帽子をとった。『大賢者の元弟子』はオーティス王権打倒の影の立役者として認められ、今や大手民間新聞の新聞記者だ。
「新たに『護国守』の称号を戴いたそうで。おめでとうございます」
ノクスは顔をしかめて革手袋を脱いだ。
「敬語はなしだ。爵位を返上したら、功労者を冷遇してるみたいで困るって言われてな。苦肉の策がこの称号だ。領地と家をもらったから、遊びに来いよ」
ノクスが話す肩に、アルバスは歩み寄って手を置く。アルバスは笑顔でかがみ込み、ルカの顔を覗き込んだ。
「ちなみにその家には俺も一緒に住んでる。領地の共同統治は史上初だそうだ。記事には俺達が仲良く同居してるって大々的に書いておいてくれ。貴族派と革命派の融和に役立つ」
ルカは微妙に顔をそらしてため息をついた。
「……へいへい。ノクス、こいつと一緒に住むとか正気なの? 喧嘩別れになったら領民も困るだろ」
「俺とノクスは喧嘩なんてしないし、別れる事はもっとない」
むっとしたアルバスの声を遮るように、ノクスが割って入る。
「大丈夫だぞ、領内に人住んでないから。魔獣しかいない土地がいいってアルバスが希望したんだよ。俺が全力で魔獣を狩れる場所がいいって」
「……俺は別の意図を感じるんだけど、気のせいじゃねぇよな……?」
ルカは胡散臭そうにアルバスを見上げた。ルカの視線の先でアルバスはにこにこと上機嫌に笑っている。ルカはうんざり顔でノクスに目を戻した。
「俺ノクスをこいつと2人にしとくの心配なんだけど」
ノクスはおかしそうに笑った。
「心配するな、王都にも月に一度は顔を見せる。『王の顧問』ってやつになっちまって、宮廷評議会に出なきゃいけねぇんだ」
オーティス王時代には、平民出身のノクスが議会に参加する事はなかった。しかしヨハネス王が即位してからというもの、ノクスだけにとどまらず地方議会などでも平民の登用が始まっている。宮廷貴族の反発もあるものの、昇爵して今や宮廷の重鎮となったフローレス公爵の睨みが効いているようだ。前例のない平民登用が功を奏してか、かつての革命派も大半が穏健な王派に転身していた。
ルキウスはというと、ゲオルギウスが失脚した後司教となっている。『人命を守る討伐者を地界の者と区分するのは誤り』とする新教義を唱えているそうだが、魔術師や下位貴族たちにすこぶる評判が良い。ルキウス司教の新教義の影響で討伐者志望者も増え始めたという。
ルカはぱっとノクスの手を両手で包んだ。
「王都に来る時は声かけてくれよ! 毎回とはいかなくても、会いたいな」
「ああ、ルカも忙しそうだな。……仕事、どうだ? 楽しいか?」
おずおずと尋ねたノクスに、ルカは肩をすくめる。
「もちろん! 討伐者より向いてる。何よりノクスがこいつといる所、ずっと見てなくていいし」
「え?」
困惑するノクスの手に、ルカはぎゅっと力を籠めた。にこっと瞳を合わせて笑う。
「気づかなかった? 俺の初恋の相手ってノクスだよ。じゃあね!」
着いたら手紙くれよな、と言い残してルカは走り去って行った。
茫然と見送るノクスの腰を後ろから抱え上げて、アルバスは飛竜の背中へ乗せる。
「え……!? え!?」
鐙に足をかけてノクスの後ろに跨ったアルバスは、ルカの言葉を受け止めきれないでいるノクスの帯に命綱を取りつけながらそっけなく言う。
「『初恋だった』と言えるのは、新しい恋に出会えたからだ。ノクス、出発しよう」
「お……おう!?」
朝日が教会の尖塔の端にかかり、輝き始めた。鋭く透明な日の光を受けて、飛竜はまばゆい銀の翼を広げる。空高く舞い上がる飛竜の背でまどろむ町を見下ろし、冷たくかんばしい空気を胸いっぱいに吸い込んで、ノクスは目を細める。
また今日も夜が明けるのだ。
終
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すごく面白かったです!キュンキュンしながら一気読みしました
幼馴染っていいですね〜、アルバスのハイスペなのに健気で、ノクスに伝わってないのが萌えました!最初は簡単に絆されるなって思ってたのに、いつのまにかノクスに想い伝われ〜って応援してました
一気に読んでくださってありがとうございます! このアルバスを応援してくださる優しい読者様が果たしてどれほどいるものかと、当初甚だ不安になりながら書いていたもので、今めちゃくちゃ嬉しいです。感謝です🙏
あらすじから惹き込まれて、わくわくしながら読み進め、あっというまに読了しました*
登場人物の心情がすごく丁寧にかかれていて、感情移入する部分が多く、どのキャラも味わい深くて大好きです。
個人的にノクスとアルバスのやりとりが焦れったくもきゅんきゅんして、最後は幸せそうな2人にほっこりでした。
記憶を消してもう一度読みたい、、!
これからの執筆も楽しみにしています^^
素敵なご感想ありがとうございます。ただいま噛みしめております。めちゃくちゃ嬉しい……!
サイドのキャラにも鋭く気づいてくださって嬉しかったです! 次作も頑張ります。
初めまして。嬉しい感想をくださった上、投票までしていただいて、こちらこそ感謝です。書いた甲斐がありました🥲また楽しんでいただけるものが書けるよう頑張ります!