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10日間はあっという間に過ぎて嫁ぐ日になった。側妃のため婚姻式はなく必要書類とかも既に記入して提出済みになってる。
王宮に到着すると謁見室に案内された。中には国王夫妻と王太子殿下がいる。わたくしは許されてる位置まで優雅にみられるようにゆっくり進み、丁寧にカーテシーをした。その姿勢で声がかかるまで待った。
「頭をあげよ」
国王陛下のお声により、ゆっくりと顔を上げる。
「シュヴァリエ公爵家のフェリシア嬢を王太子ソルディアークの側妃とすることを認める」
「ありがたき幸せにございます」
「ソルディアークよ。分かっておるな?」
「……はい」
国王陛下のお言葉に王太子殿下は渋々返事をした。そのことからも王太子殿下はわたくしを望んでないと理解する。
王太子殿下はわたくしの元に来ると手を差し伸べた。
「宮までエスコートする」
「ありがとうございます」
王太子殿下の手を取り、わたくしのために用意された宮まで案内してもらう。宮には沢山の護衛と侍女が用意されていた。宮の中も王太子殿下が説明してくれる。どの部屋も落ち着いていてわたくしは気に入った。
「とても素晴らしい宮をありがとうございます」
「礼は母上に言ってくれ。私は女性の好みはよく分からない」
本来であれば側妃の住まいは正妃が整えるものだが、王妃殿下がしたということは王太子妃殿下はわたくしのことを認めてないということね。
「王太子殿下、よろしければお茶をご一緒していただけませんか?」
「そうだな。そなたとは長い付き合いになる。お互いのことを話し合おう」
あら? てっきり断られるものだと思ったのだけど……。
侍女に用意してもらってお茶をする。向かいに座った王太子殿下のお顔を眺めると美しい顏が疲れているように見えた。
目の下に隈があるから、そう見えるのかしら?
疲れてるのしたら引き留めてしまって悪いことをしたかもしれないわね。
「王太子殿下、随分とお疲れのようですが大丈夫ですか?」
「ああ。今に始まったことではないから心配無用だ」
これが通常装備!? それなのに心配するなとは無理ですわ。
「回復魔法を掛けてもよろしいでしょうか?」
「……は?」
承諾はもらえてないけど王太子殿下に手をかざして回復魔法を唱える。わたくし魔法は得意なのよね。
「……体が軽くなった?」
「疲れが少しでも和らいだなら幸いです」
「……何を望む?」
報酬のことかしら?
「特に何も」
「ならば何故、私に回復魔法をかけた?」
良かれと思ってしたことだけどお怒りなのかしら?
「わたくしは、ただ単に王太子殿下のお疲れをとりたかっただけですわ。それ以外の思いはありませんわ」
「そなたは私のことを知らないのか?」
王太子殿下が何を言いたいのか分からず首を傾げた。
「私は恋にうつつを抜かして幼い頃からの婚約者を棄てて身分も教養もない女を王太子妃にした男だ」
「それと王太子殿下に回復魔法をかけることに何の関係がございますの?」
王太子殿下が目を瞠る。おかしいことを言ったかしら?
「……私が疲れてるのは自業自得だ。6年経った今でもマリアの王太子妃教育は一向に進んでない。そのため私は王太子妃の公務もしてる」
1人で2人分の仕事なんて寝る時間すら削ってやらないといけないのでは?
「それでは尚更、回復魔法を掛けないといけませんね」
「何故そうなる!? 私はあれ以来、父上にも母上にも、それどころか家臣全員に……」
王太子殿下がしたことは褒められたことではないのはわたくしも理解してるわ。他に王色の王子がいれば身分剥奪にもなってた可能性はだってあると思う。
「あれ以来、体調を崩さない限り私に回復魔法を掛けるものはいない」
「まぁ……。それではこれからは、わたくしが掛けますね」
「……だから、何故そうなるのだ?」
「その方が身体にもいいですし、政務も捗りますわ。そうすれば国民のためにもなりますでしょう? 過去のことにいつまでも捕らわれていては前には進めませんわ。そうですわ、王太子殿下! わたくしがしても大丈夫な政務があればお手伝いいたしますわ」
何処にも嫁げるように子供の頃から厳しい教育をされてきた。だから少しは役に立てると思うわ。
「そなたは……、私を責めないのだな……」
「わたくしは王太子殿下の妃の1人です。共に背負い歩むことはしても責めることなんてしませんわ」
「そうか……」
王太子殿下は目を覆い俯いてしまった。今まで色んな人に色々と言われてきたんでしょうね。
暫くして王太子殿下は立ち上がるとわたくしの隣に腰を下ろした。
「フェリシア……、シアって呼んでいいかな?」
なんか声が甘くなってるわ。それに愛称呼びなんて!
「ええ。構いませんわ」
「私のことは、そうだな……。ソル、いや、ディーって呼んで?」
「ディー殿下」
「殿下じゃなくて……」
「ディー様」
そう呼ぶとディー様は蕩けた笑みを見せてくれた。その笑みに心臓がとくりと鳴る。
「ふふふ。可愛いね。顔が赤くなってるよ?」
慌てて扇子で隠した。
「だめ。見せて」
「しゅ、淑女は微笑みを浮かべてないといけないのです」
「私たちは婚姻したんだから、そんなの関係ないよ」
そうなのかしら?
手にしていた扇子をディー様に取られてしまう。
「夜、来るから準備していてね」
わたくしの額にキスをすると、政務があるからと出ていった。わたくしは赤くなった顔を手で隠して暫く動けなかった。
王宮に到着すると謁見室に案内された。中には国王夫妻と王太子殿下がいる。わたくしは許されてる位置まで優雅にみられるようにゆっくり進み、丁寧にカーテシーをした。その姿勢で声がかかるまで待った。
「頭をあげよ」
国王陛下のお声により、ゆっくりと顔を上げる。
「シュヴァリエ公爵家のフェリシア嬢を王太子ソルディアークの側妃とすることを認める」
「ありがたき幸せにございます」
「ソルディアークよ。分かっておるな?」
「……はい」
国王陛下のお言葉に王太子殿下は渋々返事をした。そのことからも王太子殿下はわたくしを望んでないと理解する。
王太子殿下はわたくしの元に来ると手を差し伸べた。
「宮までエスコートする」
「ありがとうございます」
王太子殿下の手を取り、わたくしのために用意された宮まで案内してもらう。宮には沢山の護衛と侍女が用意されていた。宮の中も王太子殿下が説明してくれる。どの部屋も落ち着いていてわたくしは気に入った。
「とても素晴らしい宮をありがとうございます」
「礼は母上に言ってくれ。私は女性の好みはよく分からない」
本来であれば側妃の住まいは正妃が整えるものだが、王妃殿下がしたということは王太子妃殿下はわたくしのことを認めてないということね。
「王太子殿下、よろしければお茶をご一緒していただけませんか?」
「そうだな。そなたとは長い付き合いになる。お互いのことを話し合おう」
あら? てっきり断られるものだと思ったのだけど……。
侍女に用意してもらってお茶をする。向かいに座った王太子殿下のお顔を眺めると美しい顏が疲れているように見えた。
目の下に隈があるから、そう見えるのかしら?
疲れてるのしたら引き留めてしまって悪いことをしたかもしれないわね。
「王太子殿下、随分とお疲れのようですが大丈夫ですか?」
「ああ。今に始まったことではないから心配無用だ」
これが通常装備!? それなのに心配するなとは無理ですわ。
「回復魔法を掛けてもよろしいでしょうか?」
「……は?」
承諾はもらえてないけど王太子殿下に手をかざして回復魔法を唱える。わたくし魔法は得意なのよね。
「……体が軽くなった?」
「疲れが少しでも和らいだなら幸いです」
「……何を望む?」
報酬のことかしら?
「特に何も」
「ならば何故、私に回復魔法をかけた?」
良かれと思ってしたことだけどお怒りなのかしら?
「わたくしは、ただ単に王太子殿下のお疲れをとりたかっただけですわ。それ以外の思いはありませんわ」
「そなたは私のことを知らないのか?」
王太子殿下が何を言いたいのか分からず首を傾げた。
「私は恋にうつつを抜かして幼い頃からの婚約者を棄てて身分も教養もない女を王太子妃にした男だ」
「それと王太子殿下に回復魔法をかけることに何の関係がございますの?」
王太子殿下が目を瞠る。おかしいことを言ったかしら?
「……私が疲れてるのは自業自得だ。6年経った今でもマリアの王太子妃教育は一向に進んでない。そのため私は王太子妃の公務もしてる」
1人で2人分の仕事なんて寝る時間すら削ってやらないといけないのでは?
「それでは尚更、回復魔法を掛けないといけませんね」
「何故そうなる!? 私はあれ以来、父上にも母上にも、それどころか家臣全員に……」
王太子殿下がしたことは褒められたことではないのはわたくしも理解してるわ。他に王色の王子がいれば身分剥奪にもなってた可能性はだってあると思う。
「あれ以来、体調を崩さない限り私に回復魔法を掛けるものはいない」
「まぁ……。それではこれからは、わたくしが掛けますね」
「……だから、何故そうなるのだ?」
「その方が身体にもいいですし、政務も捗りますわ。そうすれば国民のためにもなりますでしょう? 過去のことにいつまでも捕らわれていては前には進めませんわ。そうですわ、王太子殿下! わたくしがしても大丈夫な政務があればお手伝いいたしますわ」
何処にも嫁げるように子供の頃から厳しい教育をされてきた。だから少しは役に立てると思うわ。
「そなたは……、私を責めないのだな……」
「わたくしは王太子殿下の妃の1人です。共に背負い歩むことはしても責めることなんてしませんわ」
「そうか……」
王太子殿下は目を覆い俯いてしまった。今まで色んな人に色々と言われてきたんでしょうね。
暫くして王太子殿下は立ち上がるとわたくしの隣に腰を下ろした。
「フェリシア……、シアって呼んでいいかな?」
なんか声が甘くなってるわ。それに愛称呼びなんて!
「ええ。構いませんわ」
「私のことは、そうだな……。ソル、いや、ディーって呼んで?」
「ディー殿下」
「殿下じゃなくて……」
「ディー様」
そう呼ぶとディー様は蕩けた笑みを見せてくれた。その笑みに心臓がとくりと鳴る。
「ふふふ。可愛いね。顔が赤くなってるよ?」
慌てて扇子で隠した。
「だめ。見せて」
「しゅ、淑女は微笑みを浮かべてないといけないのです」
「私たちは婚姻したんだから、そんなの関係ないよ」
そうなのかしら?
手にしていた扇子をディー様に取られてしまう。
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