婚約破棄された令嬢のささやかな幸福

 田舎の伯爵令嬢アリシア・ローデンには婚約者がいた。
 しかし婚約者とアリシアの妹が不貞を働き、子を身ごもったのだという。

「結婚は家同士の繋がり。二人が結ばれるなら私は身を引きましょう。どうぞお幸せに」

 婚約破棄されたアリシアは潔く身を引くことにした。
 婚約破棄という烙印が押された以上、もう結婚は出来ない。
 ならば一人で生きていくだけ。


 アリシアは王都の外れにある小さな家を買い、そこで暮らし始める。

「あぁ、最高……ここなら一人で自由に暮らせるわ!」

 初めての一人暮らしを満喫するアリシア。
 趣味だった刺繍で生計が立てられるようになった頃……。


「アリシア、頼むから戻って来てくれ! 俺と結婚してくれ……!」

 何故か元婚約者がやってきて頭を下げたのだ。

 しかし丁重にお断りした翌日、

「お姉様、お願いだから戻ってきてください! あいつの相手はお姉様じゃなきゃ無理です……!」

 妹までもがやってくる始末。

 しかしアリシアは微笑んで首を横に振るばかり。

「私はもう結婚する気も家に戻る気もありませんの。どうぞお幸せに」

 家族や婚約者は知らないことだったが、実はアリシアは幸せな生活を送っていたのだった。
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