【完結】王太子の側妃となりました

紗南

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不貞

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お風呂にも入って寝ようとベッドに入ろうとしたところディー様がやってきた。

「ディー様?」

王太子妃殿下のところに行ったのでは?

ディー様はわたくしのところに来るとわたくしを抱きしめた。その腕の力が強くて痛かったが、それを言ってはいけない気がして耐えた。

「どうなさったのですか?」
「……マリアが不貞をしていた」
「え?」
「行ったら護衛騎士と楽しみ中だった」

何ですって!?

あまりのことに言葉もないわ。

王太子妃殿下は何をお考えなの?

ディー様にかける言葉がなくて、ただディー様の背中に腕を回して撫でることしかわたくしには出来なかった。

「マリアは……、私が初めてではない。昨日、シアを抱いてみて分かった」

ディー様を裏切ってるなんて……。わたくしが怒りでどうにかなりそうだわ。

ディー様は強くわたくしを求めてきた。昨日みたいな優しさはなかったが、求められてるということに嬉しく思ってしまう自分もいた。

「すまない。無理を強いた」
「構いませんわ。荒々しいディー様も素敵でしたわ」
「シアは私だけでいてくれるかい?」
「勿論ですわ。他の殿方には指一本たり触れさせませんわ」

強ばっていたディー様のお顔が弛んだ。

「それで、王太子妃殿下のことはどうなさいますの?」
「醜聞になるから公には出来ない」

王太子妃殿下が不貞をしていたなんて公開してしまえば、ディー様のお立場は更に悪くなるわ。

「病気療養ということになさいますか?」
「直ぐには無理だが、いずれはそうするつもりだ」

病気療養でその後に治らず亡くなるというのが1番被害が少ないと思うわ。

「シア、王太子妃になる準備をしてくれ」
「わたくしでよろしいですの?」
「シアしかいない。他の女性なんて無理だ」

セレスティア・ランナフ公爵夫人のこともあるし、無理はないかな。

「わかりましたわ」

明日から早速、準備を始めましょう。

翌日から王太子妃教育のための講師を呼び学び、ディー様の執務の手伝いもした。疲れたが毎日ディー様が愛してくれたから、モチベーションを保ち続けることが出来た。

「主、こちらが報告書です」

忙しい中、影に頼んでいた調査の結果が出た。その結果を読んだあと、わたくしは怒りでおかしくなりそうだった。

セレスティア・ランナフ公爵夫人はディー様と婚約中でありながら夫となったランナフ公爵と不貞をしていた。それもディー様と婚約が整ったあとすぐにだ。当時5歳だといえ他の殿方と仲良くなるのはよくないということは分かるだろう。ランナフ公爵に別の女が近づけば排除したりしている。しかも13歳の時に一線を超えてしまってる。その時はまだディー様も王太子妃殿下とは知り合っていない。ディー様が婚約破棄なさらなかったら、どうするつもりだったの?

しかも婚約破棄でセレスティア・ランナフ公爵夫人には多額の慰謝料が支払われているし、今も王家はセレスティア・ランナフ公爵夫人の顔色をうかがっている。

許せないわ。

ディー様を蔑ろにし過ぎてるわ。

わたくしは報告書と証拠を大事にしまった。
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