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王太子妃殿下
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ディー様と一緒に王太子妃宮にやってきた。
王太子妃宮は真っ赤で住み心地が悪そうな感じだった。
侍女も護衛も喋っていて、わたくしたちの存在に気がついてない。
「ちょっと、あなたたち何をなさってるの?」
「え?、あっ。王太子様」
「王太子様でなくて王太子殿下とお呼びなさい!」
ここの教育はどうなってるの?無法地帯じゃない!
「あなたは誰ですか?」
「わたくしは王太子殿下の側妃よ」
「ああー。お妾さんか」
妾じゃなくて側妃よ!キリがないので注意はやめておいた。
「王太子妃殿下のところに案内してちょうだい」
「はーい」
王宮侍女は貴族令嬢のはず。それなのに、まるで平民のようだわ。
「きゃははは!」
ひとつの部屋の前に行くと中からはしたない笑い声が聞こえてきた。
中に入ると娼婦のような真っ赤なドレスを着た女性と、その女性を取り囲むように半裸の殿方が複数人いる。
え? あれが王太子妃殿下?
「あっ。ソルぅ。どうしたのぉ? もしかしてお祝いに来てくれたのぉ?」
「……王太子妃殿下以外は出ていきなさい!」
半裸の殿方たちを追い出した。
「ちょっとぉ、あなた、何してくれんのぉ? 楽しくお話ししてたのにぃ」
「王太子妃殿下、現状を分かっておいでですか?」
「現状ぉ? 現状ってなにぃ?」
もしかして言葉の意味も分かってないのかしら?
「王太子妃殿下は王太子殿下ではなく、他の殿方のお子を妊娠されたのですよ」
「そぉだよぉ。できちゃったものは仕方ないよねぇ」
「仕方なくありません! お相手は誰ですか?」
「ええー。わかんなぁい」
分からないってどういうこと?もしかして複数人いるってことなの?
目眩がしてきたわ。
「護衛ですか?」
「護衛さんもいるけどぉ、商人さんとかぁ、よく分からないお貴族の人とかぁ。あっ。みんなぁ、かっこいい人だよぉ」
容姿はどうでもいいのよ。しかし、これはどう収拾をつけたら良いのかしら?
チラッとディー様を見ると呆然としていた。
無理ないわ。愛した女性がこれですもの。ショックをうけてるのでしょうね。
「なぜ、王太子殿下以外となさったのですか?」
「だってぇ、さみしかっただもん」
貞操観念がないのね……。
「何年も前からですか?」
「昔からだよぉ。気持ちよくなるとぉ、みーんな、ほめてくれるのぉ」
「そう。最初は誰でしたの?」
「お義兄さまよぉ」
「その時、王太子妃殿下は何歳でしたの?」
「おぼえてなぁい」
これは家庭が問題なのかもしれないわね。取り潰した方がいいわ。
「ディー様、参りましょう」
「あ、ああ」
「それではごきげんよう」
王太子妃殿下にカーテシーしてから部屋を出た。
「王太子妃殿下のお子様にお会いに行きますか?」
「そうだな」
侍女に命じてお子様のところに案内してもらった。部屋の中に入ると5歳くらいの男の子が3歳くらいの女の子を殴っていた。
「何をなさってるのですか?」
男の子を止めると、わたくしに向かってきた。
「きさまはだれだ? おれさまはみらいのおうさまだぞ!」
「将来の国王陛下はこの方です」
男の子はきょとんとした。何を言ってるのか理解出来てないようだった。王族の子供は教育を早くからするのに、これくらい分からないとはどうなってるの?
それに男の子も女の子も、ディー様にも似てないし王太子妃殿下にも似てない。証拠はないけど、この子たちもディー様の血をひいてないかもしれないわ。
「王様になるのには、こちらの人のように白金色の髪で金の目でないとなれませんよ」
この男の子にも分かるように言い換えた。
「うそだ! かあさんはおれさまがおうさまになるっていってたぞ!」
王太子妃殿下……。
「嘘ではありません。あなたは王さまにはなれません」
「うわーーん!!」
男の子は泣き出し走り去っていった。
「シア……、すまない」
「いえ。わたくしは平気ですわ」
「まさか、こんなことになってるとは……」
ディー様は今まで王太子妃殿下の政務もこなしていて、こちらに注意を向ける余裕もなかったんだろうな。子供の教育は母親がするものだしね。
王太子妃宮は真っ赤で住み心地が悪そうな感じだった。
侍女も護衛も喋っていて、わたくしたちの存在に気がついてない。
「ちょっと、あなたたち何をなさってるの?」
「え?、あっ。王太子様」
「王太子様でなくて王太子殿下とお呼びなさい!」
ここの教育はどうなってるの?無法地帯じゃない!
「あなたは誰ですか?」
「わたくしは王太子殿下の側妃よ」
「ああー。お妾さんか」
妾じゃなくて側妃よ!キリがないので注意はやめておいた。
「王太子妃殿下のところに案内してちょうだい」
「はーい」
王宮侍女は貴族令嬢のはず。それなのに、まるで平民のようだわ。
「きゃははは!」
ひとつの部屋の前に行くと中からはしたない笑い声が聞こえてきた。
中に入ると娼婦のような真っ赤なドレスを着た女性と、その女性を取り囲むように半裸の殿方が複数人いる。
え? あれが王太子妃殿下?
「あっ。ソルぅ。どうしたのぉ? もしかしてお祝いに来てくれたのぉ?」
「……王太子妃殿下以外は出ていきなさい!」
半裸の殿方たちを追い出した。
「ちょっとぉ、あなた、何してくれんのぉ? 楽しくお話ししてたのにぃ」
「王太子妃殿下、現状を分かっておいでですか?」
「現状ぉ? 現状ってなにぃ?」
もしかして言葉の意味も分かってないのかしら?
「王太子妃殿下は王太子殿下ではなく、他の殿方のお子を妊娠されたのですよ」
「そぉだよぉ。できちゃったものは仕方ないよねぇ」
「仕方なくありません! お相手は誰ですか?」
「ええー。わかんなぁい」
分からないってどういうこと?もしかして複数人いるってことなの?
目眩がしてきたわ。
「護衛ですか?」
「護衛さんもいるけどぉ、商人さんとかぁ、よく分からないお貴族の人とかぁ。あっ。みんなぁ、かっこいい人だよぉ」
容姿はどうでもいいのよ。しかし、これはどう収拾をつけたら良いのかしら?
チラッとディー様を見ると呆然としていた。
無理ないわ。愛した女性がこれですもの。ショックをうけてるのでしょうね。
「なぜ、王太子殿下以外となさったのですか?」
「だってぇ、さみしかっただもん」
貞操観念がないのね……。
「何年も前からですか?」
「昔からだよぉ。気持ちよくなるとぉ、みーんな、ほめてくれるのぉ」
「そう。最初は誰でしたの?」
「お義兄さまよぉ」
「その時、王太子妃殿下は何歳でしたの?」
「おぼえてなぁい」
これは家庭が問題なのかもしれないわね。取り潰した方がいいわ。
「ディー様、参りましょう」
「あ、ああ」
「それではごきげんよう」
王太子妃殿下にカーテシーしてから部屋を出た。
「王太子妃殿下のお子様にお会いに行きますか?」
「そうだな」
侍女に命じてお子様のところに案内してもらった。部屋の中に入ると5歳くらいの男の子が3歳くらいの女の子を殴っていた。
「何をなさってるのですか?」
男の子を止めると、わたくしに向かってきた。
「きさまはだれだ? おれさまはみらいのおうさまだぞ!」
「将来の国王陛下はこの方です」
男の子はきょとんとした。何を言ってるのか理解出来てないようだった。王族の子供は教育を早くからするのに、これくらい分からないとはどうなってるの?
それに男の子も女の子も、ディー様にも似てないし王太子妃殿下にも似てない。証拠はないけど、この子たちもディー様の血をひいてないかもしれないわ。
「王様になるのには、こちらの人のように白金色の髪で金の目でないとなれませんよ」
この男の子にも分かるように言い換えた。
「うそだ! かあさんはおれさまがおうさまになるっていってたぞ!」
王太子妃殿下……。
「嘘ではありません。あなたは王さまにはなれません」
「うわーーん!!」
男の子は泣き出し走り去っていった。
「シア……、すまない」
「いえ。わたくしは平気ですわ」
「まさか、こんなことになってるとは……」
ディー様は今まで王太子妃殿下の政務もこなしていて、こちらに注意を向ける余裕もなかったんだろうな。子供の教育は母親がするものだしね。
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