大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

防具と実習

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「レィア・シィルさん、貴方は今からすぐに荷物をまとめて校門前に来てください」
クードラル先生に言われて呼び出された先で、最初に言われた言葉がこれ。
「…先生、もしかして自分って退学?」
そうとしか思えないセリフなんですが。
「ああいえ、違います違います。王都へ防具を買いに行くんです。予算はいくらぐらいありますか?」
なるほど、そりゃ助かるんだが…。
「手持ちのお金はありませんよ」
びた一文持ってないということを先生に伝えると、先生が石像になった。
「マジですか」
「マジです」
言葉おかしくなってるぞ、先生。
「…どうしましょうか」
「学校から出せないんですか?」
発言がヒモだがしょうがない。
元々、お金なんて必要ない生活だったけど、王都で買い物したらなけなしのお金もなくなったしね。
「この学校は、平等をモットーにしてましてね。特定の生徒に防具を無償で贈るとなると問題が生じてしまうんですよ」
なるほど、顔に出てたか。けど納得したわ。
「ここに来るまでに防具はどうしてましたか?」
「家にあったのを使ってました。それが道中で壊れて…あ、まだ予備が家にあったかも!」
思い出すと同時に先生が明らかにホッとした顔をする。
「よかった。出身はどこです?」
「王都から見て東の方の森です」
あ、先生がまた石像に。
「それってもしかしてくれないの森…」
「じゃないです!赤くないですから!」
おっとお?先生が珍獣でも見るような目になったぞお?
「話は聞かせてもらった!」
いきなり背後から声。
「誰だっ!」
「こんなことするのは一人しかいないでしょう…」
後ろに立っていたのはオードラル先生。
「んで、何しに来たの?制服は直せるの?」
「お前、態度が弟の時と全然違うよな。少しは敬えよ。俺も教師だぞ」
黙れ。お前は出会ってからずっとクソみてぇな印象しかねぇからな。
「レィアさんの言い分もわかります。兄さん、何しに来たのですか?」
「お前達、コイツのためにくれないの森に行くんだろ?」
「赤くねぇけどな」
「いや赤いからさ。みてくりゃわかるけど」
オードラル先生が笑いながら言う。腹立つな、おい。
「なら、約一ヶ月後の南下より前に少し実習しとこうぜ?」
「…三十人もの生徒で森へ遠征、しかもくれないの森ですか…」
赤くないって叫んでも、多分意味無いんだろうな…。
長考するクードラル先生と、ニヤニヤと弟を見るオードラル先生。
「足は?」
「お前のを使えばいいだろう?」
「足りません」
「なら、学校のを使えば足りるんじゃ?」
「二、三年のカリキュラムに支障が出ます」
「そりゃこっちでなんとかするからさ…」
「夜営の場合は…」
二人がなにか話し合ってるな…。
自分の家の周りは、魔獣が毎日一回ぐらいの頻度で魔獣が来るから確かにいい練習になるだろうけど…。
あれ?これって元々自分の防具云々の話だったんだよな?
完全に脇道に逸れてるじゃないか…。
とか思ってたら、結論が出たらしい。
「仕方ありませんね…」
「チッ!まぁいっか」
雰囲気的に、自分の故郷に来る方針で決まったらしいが…。
三十人も来るのか…。
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