1,518 / 2,021
本編
世界と勇者
しおりを挟む
違う?どういう事だ。
まず、三神と呼ばれる三柱の神がヒトの神だ。
そのうち、ヴェナムという神はグルーマルによって《勇者》の素体となり、既にヴェナムという神は居ない。
システナも何やらグルーマルのせいで力をほぼ奪われ、俺達のいるオルドという世界に落とされたようで、神のいる世界にはいない。というか、王都にいるのだから話があれば直接来るだろうし、そもそもあいつは女神か。
残る三神はグルーマルのみ、しかしそれが違う…?
「それで終わりか?」
「いや、ちょい待ってくれ。一分…いや、三十秒でいい」
「ふん、早くしろ」
真っ先に疑ったのは嘘である可能性。
どこから嘘かと言われると、神である事以外は嘘らしく考えたくなるが、そもそもその神が俺に嘘をつくメリットが存在しない。嘘をついている訳では無いという前提で考える。
ならば今までの会話から何をしたか、という所からどの神かある程度は推察出来るはず。
過去の《勇者》達を知っていて、俺の事をかなり知っている様子。
あとは退屈だと言っていたぐらいか…情報が少なすぎる。
ならば考えられるのは、そもそも三神ではない別の神…?
有り得そうなのは二択。機創人の神、そして《勇者》の中にいるというヴェナム。
………いや、違うな。
「三十秒だ」
「オルド。ああなるほど、それなら一番しっくりくるか。世界神オルド、それがアンタという神だな」
俺の言葉に、布の向こうの神が僅かに反応した。ような気がした。
「如何にも。私がこの世界そのものを管理している世界神オルドだ。それがどうかしたか?」
それを聞いて少しほっとする。この神がオルドなどという神である確証はどこにもなかった。ただ、消去法で有り得なくはないというだけで口にした名前だった。
「いや、ちょいと驚いてるだけだ。まさか世界も神だとは思ってなかった。話に聞いたこともなかったしな」
俺が知りうる限りだが、世界神という神がこの世界に存在するなどと言う話は聞いたこともないし、そういう神話も宗教も聞いたことがない。そして、神にとってその信仰が力の源となるらしいので、そういった話は欠かせないはずなのだが。
「私の力はこの世界に偏在している。お前達の言うような神とはまた少し違う」
「………?、なるほど」
よく分からんが、要は三神とかと違うって話だな。
「で、アンタが俺を呼び出したってことは、俺の主導権はアンタにあるってことだな?」
「その通りだ」
ははぁん…そういう事ねぇ…
「そうかそうか、なるほどなるほど…大体どういう状況で何が起こってるかは理解した。するってーとそうだな、あんまり神頼りは後々怖いし聞くことは一つだけにしとこう。なぁ、俺ってなんで作られたんだ?」
その問いに、神はまた溜め息をついた。
「お前達は必ずそう聞くのだな」
「生憎と、迷える子羊にゃ生きる意味ってものを知らなくちゃこの世は生きにくくて仕方なくってな。やっぱり俺は《勇者》でも無いらしいし、だったら作った奴に聞くのが一番手っ取り早い」
「手遊びだ」
憮然と返す神。
あぁそうかよ。
思っていた通りの言葉が返ってきて安心した。
「知ってたさ、ンな事聞く前からな」
横に立てられた装飾まみれの剣を引っ付かみ、真横から剣身を思い切り蹴ってへし折る。
折れて軽くなったそれを、振りかぶって布に切りかかろうとするが、その手前で突如目の前のあらゆるものが霞み始める。
強制送還。その言葉が浮かんだ頃には、俺の視界は既に何も映さなくなっていた。
まず、三神と呼ばれる三柱の神がヒトの神だ。
そのうち、ヴェナムという神はグルーマルによって《勇者》の素体となり、既にヴェナムという神は居ない。
システナも何やらグルーマルのせいで力をほぼ奪われ、俺達のいるオルドという世界に落とされたようで、神のいる世界にはいない。というか、王都にいるのだから話があれば直接来るだろうし、そもそもあいつは女神か。
残る三神はグルーマルのみ、しかしそれが違う…?
「それで終わりか?」
「いや、ちょい待ってくれ。一分…いや、三十秒でいい」
「ふん、早くしろ」
真っ先に疑ったのは嘘である可能性。
どこから嘘かと言われると、神である事以外は嘘らしく考えたくなるが、そもそもその神が俺に嘘をつくメリットが存在しない。嘘をついている訳では無いという前提で考える。
ならば今までの会話から何をしたか、という所からどの神かある程度は推察出来るはず。
過去の《勇者》達を知っていて、俺の事をかなり知っている様子。
あとは退屈だと言っていたぐらいか…情報が少なすぎる。
ならば考えられるのは、そもそも三神ではない別の神…?
有り得そうなのは二択。機創人の神、そして《勇者》の中にいるというヴェナム。
………いや、違うな。
「三十秒だ」
「オルド。ああなるほど、それなら一番しっくりくるか。世界神オルド、それがアンタという神だな」
俺の言葉に、布の向こうの神が僅かに反応した。ような気がした。
「如何にも。私がこの世界そのものを管理している世界神オルドだ。それがどうかしたか?」
それを聞いて少しほっとする。この神がオルドなどという神である確証はどこにもなかった。ただ、消去法で有り得なくはないというだけで口にした名前だった。
「いや、ちょいと驚いてるだけだ。まさか世界も神だとは思ってなかった。話に聞いたこともなかったしな」
俺が知りうる限りだが、世界神という神がこの世界に存在するなどと言う話は聞いたこともないし、そういう神話も宗教も聞いたことがない。そして、神にとってその信仰が力の源となるらしいので、そういった話は欠かせないはずなのだが。
「私の力はこの世界に偏在している。お前達の言うような神とはまた少し違う」
「………?、なるほど」
よく分からんが、要は三神とかと違うって話だな。
「で、アンタが俺を呼び出したってことは、俺の主導権はアンタにあるってことだな?」
「その通りだ」
ははぁん…そういう事ねぇ…
「そうかそうか、なるほどなるほど…大体どういう状況で何が起こってるかは理解した。するってーとそうだな、あんまり神頼りは後々怖いし聞くことは一つだけにしとこう。なぁ、俺ってなんで作られたんだ?」
その問いに、神はまた溜め息をついた。
「お前達は必ずそう聞くのだな」
「生憎と、迷える子羊にゃ生きる意味ってものを知らなくちゃこの世は生きにくくて仕方なくってな。やっぱり俺は《勇者》でも無いらしいし、だったら作った奴に聞くのが一番手っ取り早い」
「手遊びだ」
憮然と返す神。
あぁそうかよ。
思っていた通りの言葉が返ってきて安心した。
「知ってたさ、ンな事聞く前からな」
横に立てられた装飾まみれの剣を引っ付かみ、真横から剣身を思い切り蹴ってへし折る。
折れて軽くなったそれを、振りかぶって布に切りかかろうとするが、その手前で突如目の前のあらゆるものが霞み始める。
強制送還。その言葉が浮かんだ頃には、俺の視界は既に何も映さなくなっていた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
233
1 / 4
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる