大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

廊下と魔族

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あの後、リーザにいくつか質問した後、俺は保健室を出た。
保健室に入って一時間近く経っており、朝練が始まっているだろう。
さて。
おいシャル、何か知ってんだろ?キリキリ吐け。
せかせかと早足で訓練所へ向かいながらそう質問する。
『ん?あぁ、知ってるとも。あぁ、あぁ。現代においてヒト種でアイツのことを知ってるのは歴代勇者達ぐらいだろうよ!』
ハイハイ、テンションが最ッ高にハイなのは分かったから、いい加減教えやがれ。
頭ン中でずっとその調子じゃねぇか。聞いても聞いても答えやしない。
角を曲がって足を早めつつ愚痴も漏らす。
誰かとすれ違った拍子にそいつが驚いた顔をしていたので、多分よっぽど不機嫌な顔をしてたんだろう。
『んー?んっふふー。その前に魔族って言う種族の事を少し勉強するか』
必要なら頼む。無けりゃスキップで。
…ん?てことは相手は──。
『じゃあ必須だ。一つ、あいつらは個体数が少ない』
思わず足が一瞬止まる。が、再びすぐに動き出す。
それはマジで?
『マジもマジ。本気と書いて本気マジって読むぐらいにはマジ。多分総数としたら千か…あるいは二千程度?ヒト種の数十分の一の数だ。代わりに寿命がヒト種の数十倍あるんだがな。つまり、一番最初の初代勇者が相手取った魔族が生存している、なんて可能性は普通にある…ちなみにその頃はもっと数が多かったらしいがな』
…初代勇者ってのは今から何年前に生きてたんだ?
『さぁ?二百年や三百年じゃ効かねぇな。そもそも年号みたいな概念がほとんどなかったんじゃね?で、だ』
おう。
『数が少ない癖に一人ひとりの戦闘能力がずば抜けている魔族。こいつらを統率するにはどうしたらいいと思う?』
あん?そりゃ…。
どうすりゃいい?
力でねじ伏せるには強すぎ、まとめるほどの数もいない。もしも出来たらヒト種はひとたまりもないだろうしな…。
『いや、イイセン行ってるぜ?力での統率だ』
そりゃ難しくないか?
外に出、やや駆け足で訓練所へ向かう。遅れているからと言ってこれ以上遅れていい理由にはならない。
『何でまたそう思った?あぁいや、言わなくていい。個々の力が強すぎるから、そうだろ?』
まぁ、心が読まれてるんだからわかるわな。その通りだが?
『だが、逆にこう言うことも出来る』
そう言ってシャルは無駄にタメを作る。ウゼェ。
タメを作ってる間に、訓練所に到着。
手を扉に当てたところで、シャルが再び口を開いた。
『もし。もしも、仮にだが。?そうすれば、魔族の統治は簡単に行われる。そうじゃないか?』
──つまり?
ぐっ、扉を開けながら聞く。
『今回の黒幕は魔族。それも、魔族の王が従える三大魔候の一人である腐屍者ふししゃのジェルジネンって奴の仕業の可能性が高い』
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