大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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外伝

任務の内容

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開始日は一週間後、超少数の超精鋭部隊が四箇所同時襲撃。
それが今回の任務であり、黒鎧部隊の副隊長である彼女がこの場にいる理由だ。
ヒト種の切り札級である、選りすぐりの隊長、副隊長が機人の都市に襲撃を仕掛け、一気にその力を削ぐという作戦だ。
開始日は移動も含めた時間であったので、残り五日。
残り五日で準備をし、最終日の深夜に攻撃を開始すると言った内容だ。
今回の任務では、黒鎧部隊から五名、赤槍部隊から三名、金剣部隊から二名が選出され、それぞれの都市へと向かった。
どこの部隊も出し惜しみなく、文字通り最強戦力と言ってもいいほどの戦力を注ぎ込んだ。
この奇襲が失敗することを考えていない、ある意味玉砕覚悟のこの手は、彼女でなくともヒト種の戦況が非常に宜しくないであろう事が予想が付いた。
「他の部隊は──」
アベルが口を開く。
「ほとんど隊長クラスを投入したんですよね?」
「あぁ、黒鎧ウチは俺と隊長、赤槍は隊長、金剣は隊長と副隊長が出たらしい。捨て身の博打だな」
ケッ!と面白くなさそうに言うと、頭の中の亡霊達がこの五日間で何をすべきか喋っているのが聞こえた。
(──うるさい。黙れ)
イライラしながら、舌打ちしながらそう心の中でつぶやくと、百の反論が返ってくる。
しかし。
「(黙れ)」
「は、はいっ!?」
「あぁいや、お前じゃない。気にすんな」
「は、はぁ…?」
思わず声に出た彼女がやはりイライラしたふうに彼にそういい、窓の方へ向いて大きく舌打ちをする。
いや、厳密には窓の方ではない。
この都市から見て東にある別の都市に向いていた。
そちらの方へありったけの怨念を飛ばした後、諦めたようにフッ、と視線を外す。
「…どうかしましたか?」
「いや、何でもない。──緑鞭が残したって言う報告書、どこだ?」
情報操作や潜入工作などなど…その他、悪くいえば裏でコソコソするような仕事を一手に引き受けるのが緑鞭部隊であり、表には全く出てこないが、彼らの仕事のお陰で助けられた事は数え切れないほどであり、その報告書…というかこの街の簡単なまとめがあると、先に伝えられていた。
「あ、はい……これ…ですかね?」
「よし、読み上げろ」
「…八年も軍にいて文字をロクに読めないのは流石にどうかと思いますよ?」
「自分の名前と、超簡単な単語なら読めるぞ」
「はぁ…いい加減、勉強しません?」
「いいんだよ。俺は腕力お前は知力って事で。………いや、あんまり知力でも役立ってないな。うん、お前はやっぱり雑用だな」
「誰もが羨む副隊長補佐の実情が雑用とは誰も知らないでしょうね…」
アベルが一度咳払いをし、手元の紙を読み上げる。
「まず、人口は──」
さて、どうしようか。
どうすればこの都市に溢れかえった薄汚い機人を掃除できるか。
少女はその思考に没入していった。
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