大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

怒声と急行

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昨日の朝のように南第一都市を走り抜け、王都の街並みを駆け抜ける。
思い返すのは、つい十分前の事だ──。
「あ?襲撃ィ?朝のこのクソ早い時間にか?」
「ヒィっ!!ごごごご、ごめんなさいすいません二度としませんからお許しを!!」
「…とりあえず、俺は怒ってないし、お前が謝る必要もないから早く詳細を教えろ」
「は、はい…昨晩、用意がひと段落した所で、場所を狙う西学の生徒や、他のクラスの人達に場所を奪われないように、何人か店に残ったんです…それで、今さっき襲撃があったとメッセージが飛んできて…」
「リーナさん!救援部隊を派遣するから──って《緋眼騎士》!?体調は戻ったのか!?」
今度は別の男子生徒が部屋の中から飛び出し、今俺と話していた女子生徒に話しかけていた。
「おう、レィアでいい。小っ恥ずかしいからな。急襲のメッセージが届いたって所までリーナこいつから聞いたが、誰が店に残ったんだ?」
「……向こうに残ったのは、ジャフ、レーゼン、シエルが残って、メッセージを飛ばしたのは多分ジャフ──」
「テメェら、シエルを向こうに残したのか!?」
「ヒッ!!」
思わず腹の底からの怒号が飛び出、リーナが怯える。
「仕方なかったんだ!今ウチのクラスで一番戦える人を選んだらそうなったんだ」
クソ、だから朝シエルの姿が見えなかったのか。
「なるほど、お前達の中じゃあ十一歳の子供でも使えるなら使うのかよ」
頭に血が上ったまま、思わずそう吐き捨てる。
「十一、歳…?」
「敵の数はどれだけだ?もしくは手がかりは?」
返事はない。俺の怒りに触れたからか、それとも知らないからかは分からないが、二人共黙ってしまった。
俺は舌打ちし、部屋に一度戻ってお気に入りの黒コートを着る。
もう一度部屋から出ると、まだ二人がそこに居た。
「ひめ…レィアさん、どこへ…?」
「決まりきった事を聞くのか?悪いが、そんな時間はないんで勝手に想像を膨らましてろ馬鹿」
そう言うと、俺は宿から出、即座に振り返る。
素早く金剣を取り出し、俺は身体を軽くして屋根に飛び乗る。正規の道を通っていては時間がかかりすぎる。
直線ルートを選ぶ。
万が一、耳長種エルフの大貴族に見つかると面倒事になるかもしれないので金剣は既に片付けたが…この程度の軽業、出来ない訳が無い。
屋根を飛び石のように飛び移り、走り抜け──今に至る。
そして、王都に入ってすぐに分かった。
激しい戦いの気配。
まだ続いてるのか。
「今行くぞ、待ってろ」
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