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本編
場所と時間
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魔法がからきし出来ない《雷光》でも、最低限メッセージぐらいは使えるようで、すぐさまアーネに連絡を取ってくれた。
厳密にはアーネ本人ではなく、アーネの近くにいた誰かと知り合いだったらしいが。
ともかくアーネは十五分程度で来てくれるらしい。《雷光》とアーネに感謝。
「しかし、何故貴様と同室の女子をわざわざ呼ぶんだ?回復魔法を使えるだけなら、多分他を当たれば比較的すぐに見つかると思うんだが」
「何だ、アーネのこと知ってたのか」
「鍵戦争であそこまで大暴れしていれば誰でも知っている」
なるほどな。確かにあの時はかなり暴れた記憶がある。
で、魔法に関してか…んー…それぐらいなら別に話してもいいか。
「俺はどうも魔法が効きにくい体質らしくてな。当然、並大抵の回復魔法だとか治癒魔法だと弾いちまう。その点、アーネの魔法の威力は鍵戦争とかで見ただろ?」
「あぁ、威力だけ見れば《不動荒野》にすら勝るだろう…まぁ、ただの魔法使いなら詠唱している間に潰せるのだが」
それをさせないから《不動荒野》は二人で一組の二つ名持ちなんだろうな。
それはさておき。
「で、ここどこよ」
あたりをぐるりと見渡すと、そこは見たこともないほど豪奢な部屋。
寮の俺達の部屋ぐらいの広さに、豪華な椅子、机、ライト等のインテリアの数々。ついでに何かの彫像やら絵画すら幾つかある。
今俺が座っているベッドもやけにふっかふかで、寝ていると身体が半分ほど沈む。
…豪華な物って何故か壊したくなるよな。いや、壊さねぇけど。
「ここか?《不動荒野》の部屋だ」
「《不動荒野》の部屋?…あぁ、宿屋?」
えぇー…こんなクソ贅沢な所に泊まってんの?三年って。
「その当人達は…防衛か」
「ん…まぁ、防衛戦はもう終わったのだがな。今はそのまま用意に取り掛かっている頃合いだろう」
と言う事は。
「ルト先輩、やっぱり間に合ったのか」
「あぁ。もっとも、お前が寝ている間に聞いた話だと、お前が退けた西学の奴ら以外はもう来なかったみたいだが…」
来なかったならそれでいい。
とりあえず防衛は成功したようだし。
「んじゃ最後に。今何時よ?」
それには答えず、俺の後ろを指さす《雷光》。
「ん?」
くるりと振り返るとそこにはやや小さめの壁時計が。
針を読むと…。
「朝六時か…まだ余裕はありそうだな」
季節は既に秋。外はまだ薄暗く、《雷光》の話とも合わせるとつい先程防衛戦が終わったのだろう。
「いや、残念ながら違うぞ」
「何が?」
時計をもう一度見るが、針はきっかり六時丁度。あ、今一分になった。
「朝六時ではない。夕方六時だ」
「…え?マジ?」
「もちろん。嘘をついてどうする」
…と言う事は、どうやら聖学祭の初日をガッツリ寝過ごしてしまったようだ。
じゃなくて。
クラスの方も二つ名の方も出られなかったが大丈夫だったのだろうか…。
そこで誰かが慌ただしくこちらへ走ってくる音が聞こえる。
その音がどんどん近づき、急に止まる。
コンコン、と小さくノックされる。
「入っていいぞ」
《雷光》が返事をすると、音もなく部屋の扉が開く。
予定より早く治癒術士様が駆けつけてくれたようだ。
厳密にはアーネ本人ではなく、アーネの近くにいた誰かと知り合いだったらしいが。
ともかくアーネは十五分程度で来てくれるらしい。《雷光》とアーネに感謝。
「しかし、何故貴様と同室の女子をわざわざ呼ぶんだ?回復魔法を使えるだけなら、多分他を当たれば比較的すぐに見つかると思うんだが」
「何だ、アーネのこと知ってたのか」
「鍵戦争であそこまで大暴れしていれば誰でも知っている」
なるほどな。確かにあの時はかなり暴れた記憶がある。
で、魔法に関してか…んー…それぐらいなら別に話してもいいか。
「俺はどうも魔法が効きにくい体質らしくてな。当然、並大抵の回復魔法だとか治癒魔法だと弾いちまう。その点、アーネの魔法の威力は鍵戦争とかで見ただろ?」
「あぁ、威力だけ見れば《不動荒野》にすら勝るだろう…まぁ、ただの魔法使いなら詠唱している間に潰せるのだが」
それをさせないから《不動荒野》は二人で一組の二つ名持ちなんだろうな。
それはさておき。
「で、ここどこよ」
あたりをぐるりと見渡すと、そこは見たこともないほど豪奢な部屋。
寮の俺達の部屋ぐらいの広さに、豪華な椅子、机、ライト等のインテリアの数々。ついでに何かの彫像やら絵画すら幾つかある。
今俺が座っているベッドもやけにふっかふかで、寝ていると身体が半分ほど沈む。
…豪華な物って何故か壊したくなるよな。いや、壊さねぇけど。
「ここか?《不動荒野》の部屋だ」
「《不動荒野》の部屋?…あぁ、宿屋?」
えぇー…こんなクソ贅沢な所に泊まってんの?三年って。
「その当人達は…防衛か」
「ん…まぁ、防衛戦はもう終わったのだがな。今はそのまま用意に取り掛かっている頃合いだろう」
と言う事は。
「ルト先輩、やっぱり間に合ったのか」
「あぁ。もっとも、お前が寝ている間に聞いた話だと、お前が退けた西学の奴ら以外はもう来なかったみたいだが…」
来なかったならそれでいい。
とりあえず防衛は成功したようだし。
「んじゃ最後に。今何時よ?」
それには答えず、俺の後ろを指さす《雷光》。
「ん?」
くるりと振り返るとそこにはやや小さめの壁時計が。
針を読むと…。
「朝六時か…まだ余裕はありそうだな」
季節は既に秋。外はまだ薄暗く、《雷光》の話とも合わせるとつい先程防衛戦が終わったのだろう。
「いや、残念ながら違うぞ」
「何が?」
時計をもう一度見るが、針はきっかり六時丁度。あ、今一分になった。
「朝六時ではない。夕方六時だ」
「…え?マジ?」
「もちろん。嘘をついてどうする」
…と言う事は、どうやら聖学祭の初日をガッツリ寝過ごしてしまったようだ。
じゃなくて。
クラスの方も二つ名の方も出られなかったが大丈夫だったのだろうか…。
そこで誰かが慌ただしくこちらへ走ってくる音が聞こえる。
その音がどんどん近づき、急に止まる。
コンコン、と小さくノックされる。
「入っていいぞ」
《雷光》が返事をすると、音もなく部屋の扉が開く。
予定より早く治癒術士様が駆けつけてくれたようだ。
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