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本編
メッセージと集団
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ついさっきあったメッセージの回想──。
「……誰だ」
『あ。よかった。ようやく繋がりました』
「…テメェ何してやがる。……………………馬鹿聖女が」
『はい?何か言いましたか?』
「いや、何でもない。で、用件は?」
『実は私、今日これから空いているのですが、良ければ一緒に……その』
「あー、遊びたいか。ルト先輩の話だと《星祭》程じゃないにしろ、それに近い規模のお祭り騒ぎになるらしいしな、打ち上げ……………あれ、部外者って入れるのか?」
『一応、私も関係者ですからね。毎年許可は頂いているのですが、毎年辞退させて頂いていました』
「あぁ、そりゃお前が来ればお祭り騒ぎどころじゃないだろうさ。英雄も目立つから付けられない…アイテム使えば何とかなりそうだけどな…」
『英雄様をこんな私用に連れ回すのは流石に気が引けますので…』
「そういう事か。わかった。で、どこに行けばいい?」
『広場を出てすぐの大きな教会の後ろで』
「…了解」
──以上、回想終了。
そんな訳で聖女サマを連れて歩き回る。
ちなみに魔導具で変装した聖女様の見た目は焦げ茶の瞳に真っ黒な髪、そして着ているものはどこかで見覚えがある服。
ゼランバで別れる時に押し付けた俺の服。雑巾ぐらいにしかならないと思っていたが、どうやらわざわざ修繕したらしい。
あそこまでボロボロになっていたなら、捨てて新しく買うか作るかした方が楽だろうに。
それはさておき、建物の影から出てみる。
僅か五分程度建物の影にいただけなのに、一瞬でお祭り騒ぎとなっていた。
いつの間にか建ち並んでいる出店。
広場のあちこちで生えてくるテーブルの上には様々な料理。
少し広く取られた広場の端では様々な芸人が各々芸を見せる。
「……仕事がお早い事で」
何日前から用意していたんだろうか。それともスキルだろうか。どの道無駄遣いだろ──。
「あ!いた!」「レィアさん、お店よかったよ!」「そこの広場で今、曲芸師が」「ほら、これ美味しいよ!」「お客の人気よかったらしいね!」
「なんだテメェら!?」
一瞬で生徒に囲まれた。
身動きが取れん。
『砂糖に群がる蟻みたいだな』
誰が砂糖だ。
『マスター・周りの情報を収集・最適化した結果・マスターに興味が湧いた者達が・マスターに押し寄せたようです』
「あぁ…ご苦労マキナ」
軽く天を仰ぐと、丸い月がこちらを笑うように見下ろしていた。
「あ、あの…レィアさん、どうしましょうか…」
握ったままだった手を引き寄せ、軽く抱き寄せる。
周りが完全に封じられたし…どうするか。
「アリス、飛ぶぞ」
「…はい?」
銀髪を脚に絡め、銀脚を形成。真上に飛び上がる。
「ひゃああああああああああああああああああ!?」
おぉう、耳が痛い。
そのまま屋根の上に着地し、広場からひとまず離れる。
…なんか俺、最近屋根の上走ってばっかだな。
「……誰だ」
『あ。よかった。ようやく繋がりました』
「…テメェ何してやがる。……………………馬鹿聖女が」
『はい?何か言いましたか?』
「いや、何でもない。で、用件は?」
『実は私、今日これから空いているのですが、良ければ一緒に……その』
「あー、遊びたいか。ルト先輩の話だと《星祭》程じゃないにしろ、それに近い規模のお祭り騒ぎになるらしいしな、打ち上げ……………あれ、部外者って入れるのか?」
『一応、私も関係者ですからね。毎年許可は頂いているのですが、毎年辞退させて頂いていました』
「あぁ、そりゃお前が来ればお祭り騒ぎどころじゃないだろうさ。英雄も目立つから付けられない…アイテム使えば何とかなりそうだけどな…」
『英雄様をこんな私用に連れ回すのは流石に気が引けますので…』
「そういう事か。わかった。で、どこに行けばいい?」
『広場を出てすぐの大きな教会の後ろで』
「…了解」
──以上、回想終了。
そんな訳で聖女サマを連れて歩き回る。
ちなみに魔導具で変装した聖女様の見た目は焦げ茶の瞳に真っ黒な髪、そして着ているものはどこかで見覚えがある服。
ゼランバで別れる時に押し付けた俺の服。雑巾ぐらいにしかならないと思っていたが、どうやらわざわざ修繕したらしい。
あそこまでボロボロになっていたなら、捨てて新しく買うか作るかした方が楽だろうに。
それはさておき、建物の影から出てみる。
僅か五分程度建物の影にいただけなのに、一瞬でお祭り騒ぎとなっていた。
いつの間にか建ち並んでいる出店。
広場のあちこちで生えてくるテーブルの上には様々な料理。
少し広く取られた広場の端では様々な芸人が各々芸を見せる。
「……仕事がお早い事で」
何日前から用意していたんだろうか。それともスキルだろうか。どの道無駄遣いだろ──。
「あ!いた!」「レィアさん、お店よかったよ!」「そこの広場で今、曲芸師が」「ほら、これ美味しいよ!」「お客の人気よかったらしいね!」
「なんだテメェら!?」
一瞬で生徒に囲まれた。
身動きが取れん。
『砂糖に群がる蟻みたいだな』
誰が砂糖だ。
『マスター・周りの情報を収集・最適化した結果・マスターに興味が湧いた者達が・マスターに押し寄せたようです』
「あぁ…ご苦労マキナ」
軽く天を仰ぐと、丸い月がこちらを笑うように見下ろしていた。
「あ、あの…レィアさん、どうしましょうか…」
握ったままだった手を引き寄せ、軽く抱き寄せる。
周りが完全に封じられたし…どうするか。
「アリス、飛ぶぞ」
「…はい?」
銀髪を脚に絡め、銀脚を形成。真上に飛び上がる。
「ひゃああああああああああああああああああ!?」
おぉう、耳が痛い。
そのまま屋根の上に着地し、広場からひとまず離れる。
…なんか俺、最近屋根の上走ってばっかだな。
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