大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

魔獣進行と日付

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とりあえず自宅に帰ってくることが出来はしたものの、俺の目標はそこにある訳では無い。
メインは最東端ここの防衛だ。
「今年もそろそろ来るだろう?そういう時期だし」
「…何の話だ、急に」
ヤツキがその美麗な眉を僅かに顰めてそう言う。ちなみに日は既に落ち、夕食の芋を食べきった後だ。もちろん味は無い。
魔獣進行モンスターパレードって言えば分かるか?」
「あぁ、アレか。そう言えば、もうそんな時期だな」
ヤツキがそう言えば今思いだしたと言った風なリアクションをする。
「って事はまだ来てないのか」
「悪いが今日の日付が分かるか?ここにはカレンダーなんてものは全くないからな」
言われて思い出そうとして──
『十二月十六日です・マスター』
「…おい、今お前腰から声が出なかったか?」
「………マキナ、直ったのか」
まさか今直るとは思ってもいなかったが、助かった。
『長期間の複数機能の停止・申し訳ありませんでした・調整が九割と七厘終わりましたので・再起動しました』
「あー、いい。えっと…ヤツキ、紹介する。俺の…なんだ、分身?防具?の、マキナだ」
そう言って《千変》を外すと、血を塗らずともマキナが俺とそっくりの形をとる。
『初めまして・マキナと申します』
マキナが深々と頭を下げ、ヤツキが目を丸くする。
「………これは…驚いたな。そっくりじゃないか」
「だろ?」
さて、マキナの紹介はこれぐらいにして。
「で、日付がどう関係があるんだ?」
「なんだ、知らんのか。お前の言うモンスターパレードというのはな、十二月十八日から十日間の事だ」
ヤツキはそう断言する。
「…何故そう言いきれる?」
「単純だ。機人が総攻撃を仕掛けたのが十二月十八日から十日間だったからだ。…今はもう機人って絶滅してるんだよな?」
「まぁ、純粋な機人はもういないな」
「ハーフはいい。あれはクソ神が許したからな」
……?どういう事だ?
「チッ、気にするな。ともかく、もう滅んだご主人様の命令を未だにあいつらは律儀に守ってやがるのさ。多分、中途半端に機械が生きてるんだろ。じゃなきゃそもそも魔獣は生まれないはずだしな」
機人…機創人の作り上げた過去の時代の過ぎた代物オーパーツの一つに、『生物の体内に巡る魔力を過剰活性させ、身体能力を著しく上昇、身体を変貌させる』という物がある。これが魔獣に成る原因の一つだと言う事を最近知った。
さらに魔獣化した魔獣はある程度コントロール可能、約五十年前にその機能を使ってヒト種と魔族に一斉攻撃を仕掛けたのがモンスターパレードの原因だとヤツキは言う。
「警戒するに越したことはないが、まだ来ることは無いだろう。安心してろ。…ただし、来たらお前にも手伝ってもらうぞ」
「あぁもちろん。そのために俺は戻って来たんだから」
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