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本編
夜更けと二度寝
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「──っ」
何かとんでもないものを見聞きしてきた気がする。
ベッドの上、何年も見慣れた天井を食い入るように睨み、そして荒れた呼吸を整える。
記憶は朧気だが、今さっきまで見ていた夢は何か大切な話だった気が……
辛うじて記憶に引っかかるようにして残っているのは、つい昨日見た金髪の男。
彼がなにか話しかけてきたのは覚えている。その内容は覚えてないのだが……
「…ん」
身体を起こし、違和感を感じた胸元に手を入れる。もちろん、シエルを起こさないよう細心の注意を払って。
外はまだまだ暗い。日が昇るまでしばらく時間があるだろう。
指先が目的のものに触れ、金属同士が僅かに擦れ合うチャリ、と言う音が聞こえる。
その感触を確かめつつ、ゆっくりと引き出してみると、金剣と銀剣が確かに熱を発していた。
「なんだこれ」
握ってみると、俺の体温よりも暖かいらしい。じんわりと手が暖かくなっていく。
今までこんなこと、無かったんだが…原因はやはり昨晩の譲渡の件だろうな。
これがどういう意味なのかは分からないが…シャル?いるか?
『………。』
返事なし、寝てんな。
ならばと金剣を具現化。手元に確かな重みを感じつつ──
「ん?」
文字が……変わってるな。
見たこともない文字がさらに増えてる。
そして変化はそれだけではない。
「亀裂…?」
まるで大きな杭で叩き込まれたように、金剣の中心から外へ向けて亀裂が入っていた。
ただ、外的な要因ではなく、まるで元からそうデザインされたような亀裂に見えた。事実、俺はこの亀裂を見て慌てるのではなく、むしろ納得した。理由はわからないが。
念の為銀剣も調べてみると、金剣と同じように文字が増えており、こちらも亀裂が生じていた。
というかこの亀裂──鏡写しになってないか?
よくよく見れば文字もそうだ。ぺたりと剣を合わせると、まるで判子のように一致するだろう。
「比翼連理…比翼の剣《連》と《理》…ねぇ…」
比翼連理ってーと……どんな意味だったか。
元は鳥の話だっけか?目と翼が一つずつの鳥の話。飛ぶ時は雌雄一対になって飛ぶとか言う、伝説上の鳥……
それがどう言った意味でこの剣に名付けられているのか。全くもって見当もつかない。
「………。」
二つの剣を元に戻し、再び横になる。
夜明けまではまだ時間がある。どうせ今考えたところで何もわかりはしないのだ。後でヤツキかシャルにこっそり聞くとしよう。
そう思い、二度寝した。
何かとんでもないものを見聞きしてきた気がする。
ベッドの上、何年も見慣れた天井を食い入るように睨み、そして荒れた呼吸を整える。
記憶は朧気だが、今さっきまで見ていた夢は何か大切な話だった気が……
辛うじて記憶に引っかかるようにして残っているのは、つい昨日見た金髪の男。
彼がなにか話しかけてきたのは覚えている。その内容は覚えてないのだが……
「…ん」
身体を起こし、違和感を感じた胸元に手を入れる。もちろん、シエルを起こさないよう細心の注意を払って。
外はまだまだ暗い。日が昇るまでしばらく時間があるだろう。
指先が目的のものに触れ、金属同士が僅かに擦れ合うチャリ、と言う音が聞こえる。
その感触を確かめつつ、ゆっくりと引き出してみると、金剣と銀剣が確かに熱を発していた。
「なんだこれ」
握ってみると、俺の体温よりも暖かいらしい。じんわりと手が暖かくなっていく。
今までこんなこと、無かったんだが…原因はやはり昨晩の譲渡の件だろうな。
これがどういう意味なのかは分からないが…シャル?いるか?
『………。』
返事なし、寝てんな。
ならばと金剣を具現化。手元に確かな重みを感じつつ──
「ん?」
文字が……変わってるな。
見たこともない文字がさらに増えてる。
そして変化はそれだけではない。
「亀裂…?」
まるで大きな杭で叩き込まれたように、金剣の中心から外へ向けて亀裂が入っていた。
ただ、外的な要因ではなく、まるで元からそうデザインされたような亀裂に見えた。事実、俺はこの亀裂を見て慌てるのではなく、むしろ納得した。理由はわからないが。
念の為銀剣も調べてみると、金剣と同じように文字が増えており、こちらも亀裂が生じていた。
というかこの亀裂──鏡写しになってないか?
よくよく見れば文字もそうだ。ぺたりと剣を合わせると、まるで判子のように一致するだろう。
「比翼連理…比翼の剣《連》と《理》…ねぇ…」
比翼連理ってーと……どんな意味だったか。
元は鳥の話だっけか?目と翼が一つずつの鳥の話。飛ぶ時は雌雄一対になって飛ぶとか言う、伝説上の鳥……
それがどう言った意味でこの剣に名付けられているのか。全くもって見当もつかない。
「………。」
二つの剣を元に戻し、再び横になる。
夜明けまではまだ時間がある。どうせ今考えたところで何もわかりはしないのだ。後でヤツキかシャルにこっそり聞くとしよう。
そう思い、二度寝した。
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