大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

寝起きとシャワー

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やたらと色濃く残っていた疲労のため二度寝をし、珍しく昼近くまで寝ていたらメッセージに叩き起された。
『シオン・シラヌイ様からです』
「…あぁ、例の」
寝直してもまだ少し残っていた疲労を頭を振って飛ばし、マキナに繋ぐよう指示する。
「………。」
アーネとシエルは出かけているらしい。「寝すぎは身体に毒ですわよ」とだけある書き残しがテーブルの上に置いてあった。
出てった事に全く気づかなかったな…余程疲れていたらしい、そう思ったところでメッセージが繋がった。
「お、よぉ《雷──」
『よぉ、じゃない《緋眼騎士》!!』
「痛ってぇ…朝っぱらからキャンキャン叫ぶな。寝起きの頭に響くだろうが」
『既に午後の二時だぞ。いくら休日だからと言って寝すぎだ』
なるほど、道理で腹が減っているわけだ。アーネ達も流石に起きる。
「どれ、とりあえず飯食うかな…」
『昼食をとるのは構わんが、昨日の話は覚えているな?』
「あぁ。アンジェの話──だっけ?」
まずは着替えだな。えっと服服…の、前にざっとシャワー浴びておくか。まだ少し頭が重い。
服を脱衣場で脱ぎ、洗濯用のカゴに入れてシャワーの蛇口を捻る。
『そうだ。私達《シェパード》のみならず、あの《猫》達も被害を受けているらしい。やたらとしつこく張り付いてくるらしくてな。私は同じクラスになったのだが、ずっと張り付いてくる』
「んー」
半ば聞き流しつつ受け答えするが、《雷光》は気にもとめずに話を続ける。余程ストレスが溜まっていたのだろう。
そうだ、温度はやや熱めにしよう。そっちの方が目が覚めそうだ。
髪が長いと不便なのはこういう時だよなー、なんてシャワーを浴びながら思う。髪が水分を吸って重くなるし、乾かすのだって一苦労。洗うのだってどれだけ手間か。切るつもりは微塵も無いが、短かったらどれだけ身軽か、と思わない事も無い。
『昨日だってずっと私に張り付いてな。《勇者》様から別行動することを提案された時は──』
「ん?ちょい待て」
キュッ、と音を鳴らしてシャワーを止める。目は覚めた。
「昨日も張り付いてたのか?」
『うん?あぁそうだ。幾らかいない時もあったが、ほとんどな』
…はて。あいつは昨日、ほとんどユーリアを探していたはずだが。
「いなかった時ってーのは昼前ぐらいか?」
『あぁそうだ。なんだ、そっちに行っていたのか?』
「んー、あー、そうだな。まぁそんなところだ」
朝は《雷光》に引っ付いていたのに、昼頃一度ユーリアを探しに歩き回った?
時計を見ていなかったから分からないが、アンジェがこっちに来たのは多分昼前。
となると、アンジェは一直線にこっちへ来た?
なぜわざわざ聖学の一番上にあるルトの訓練所に直に来た?それなりの確信がなくては来ないはずだ。それに小便女から情報を得たと言っていたが…そんな時間、とてもじゃないが無い。
どういう事だ。
「おい、その対策ってのはいつやるんだ?」
『聞いていなかったのか?二時からだ』
もう始まる…こんなタイミングでメッセージを飛ばすなよな。
「悪い、三十分ずらしてくれ」
『遅刻の罰として昼食は抜いてこい、馬鹿者』
髪洗って乾かして着替えて…飯抜いてもそれぐらいはかかる。
結局三十分はかかりそうだ。
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