1,017 / 2,021
本編
激痛と限界
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「痛っ!!」
激痛が胸を焼く。息をするだけで尋常じゃない激痛が走り、肺を刺し貫くよりもなお強烈な痛みを鮮烈に与える。堪らず剣を床につき、荒く息を吸う。
「あら、思った以上に深く抉っちゃったわ。ゴメンね」
びっ、と素早く振り払った産獣師の手、べちゃりと白い床を汚す赤とピンクの塊は俺の胸を抉った時についた血肉か。
反射的に胸についてしまった手を激痛と共に離し、吐き気を覚えつつ手のひらを見る。当然手は血まみれ。少しだけめくれた皮か削がれた肉か分からないが、ともかく固形の何かも一緒についていた。
胸をのぞき込むと、赤とピンクの胸の中に所々白いものが。骨までいったか。
「ねぇあなた」
「あー」
けど──止まらない。
「いってぇなあああああああああああクソがあああああああああああああああ!!」
痛覚を切ることすら忘れ大絶叫。そしてそのまま俺の間合いまで飛び込む。
ばたばたと胸から零れる血、それを見ると自分の血なのに──いや、だからこそ目眩がする。
「あら、こんなに抉れてるのに動きが全然衰えないの?足の腱を千切っておけばよかったかしら。けどそれじゃあの方に……」
「ごちゃごちゃやかましいぞクソアマぁ!!」
連戦技──
「《華蝶風月》!!」
胸が裂けそうになるが、構わない。
身体が千切れても、構わない!!
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
「あら、面白い技を使うのねェ」
一、《散華》──バックステップで回避される。
二、《蝶羽》──背中に集まった黒い霧が鱗を生み出し、剣を弾く。
三、《旋風撃》──ここで初めて剣が産獣師に入る。
「いたいッ!!」
下の脇腹から入り、逆の胸から斬り抜ける。
だが──浅い!!手応えからしてロクに剣が入っていない。浅く肉を斬っただけだろう。
これじゃ足りない。
こんなモンじゃ足りねェ!!
なら──これで終わりだ!!
四──
「《月牙》!!」
真上から振り下ろされる金剣と銀剣、それを産獣師は──
「ンもう、痛いわねェ、《反撃の牙》」
轟!!と黒い霧が唸る。
何も無いように見えて生物を生み出すこの黒い霧から飛び出たのは、俺の胴よりも太く、産獣師の爪よりもなお鋭い巨大な、ドス黒い牙──!!
「ッッッ!!」
ズアッ!!と迫り上がる牙が狙ったのは俺の腹──ではなく、戦技中の金剣。
まるで俺の連戦技を止めるため、意図的に狙ったような──
「舐めんなああああああああああ!!」
ほんの僅かに銀剣の軌道を修正、牙を叩き折りにかかる。
「おおおおおおおおおおおお!!」
ゴギン!!壮絶な音と共に牙がへし折れ、何かの絶叫と共に牙そのものが消える。
そして──俺の身体は止まる。
連戦技の代償──身体への尋常ではない負担、そして元来戦技に科せられた硬直時間がまとめて俺に襲いかかる。
不味い、もう意識が──
「じゃあね」
パチンと鳴らされた指の音と共に、俺の意識は落ちた。
激痛が胸を焼く。息をするだけで尋常じゃない激痛が走り、肺を刺し貫くよりもなお強烈な痛みを鮮烈に与える。堪らず剣を床につき、荒く息を吸う。
「あら、思った以上に深く抉っちゃったわ。ゴメンね」
びっ、と素早く振り払った産獣師の手、べちゃりと白い床を汚す赤とピンクの塊は俺の胸を抉った時についた血肉か。
反射的に胸についてしまった手を激痛と共に離し、吐き気を覚えつつ手のひらを見る。当然手は血まみれ。少しだけめくれた皮か削がれた肉か分からないが、ともかく固形の何かも一緒についていた。
胸をのぞき込むと、赤とピンクの胸の中に所々白いものが。骨までいったか。
「ねぇあなた」
「あー」
けど──止まらない。
「いってぇなあああああああああああクソがあああああああああああああああ!!」
痛覚を切ることすら忘れ大絶叫。そしてそのまま俺の間合いまで飛び込む。
ばたばたと胸から零れる血、それを見ると自分の血なのに──いや、だからこそ目眩がする。
「あら、こんなに抉れてるのに動きが全然衰えないの?足の腱を千切っておけばよかったかしら。けどそれじゃあの方に……」
「ごちゃごちゃやかましいぞクソアマぁ!!」
連戦技──
「《華蝶風月》!!」
胸が裂けそうになるが、構わない。
身体が千切れても、構わない!!
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
「あら、面白い技を使うのねェ」
一、《散華》──バックステップで回避される。
二、《蝶羽》──背中に集まった黒い霧が鱗を生み出し、剣を弾く。
三、《旋風撃》──ここで初めて剣が産獣師に入る。
「いたいッ!!」
下の脇腹から入り、逆の胸から斬り抜ける。
だが──浅い!!手応えからしてロクに剣が入っていない。浅く肉を斬っただけだろう。
これじゃ足りない。
こんなモンじゃ足りねェ!!
なら──これで終わりだ!!
四──
「《月牙》!!」
真上から振り下ろされる金剣と銀剣、それを産獣師は──
「ンもう、痛いわねェ、《反撃の牙》」
轟!!と黒い霧が唸る。
何も無いように見えて生物を生み出すこの黒い霧から飛び出たのは、俺の胴よりも太く、産獣師の爪よりもなお鋭い巨大な、ドス黒い牙──!!
「ッッッ!!」
ズアッ!!と迫り上がる牙が狙ったのは俺の腹──ではなく、戦技中の金剣。
まるで俺の連戦技を止めるため、意図的に狙ったような──
「舐めんなああああああああああ!!」
ほんの僅かに銀剣の軌道を修正、牙を叩き折りにかかる。
「おおおおおおおおおおおお!!」
ゴギン!!壮絶な音と共に牙がへし折れ、何かの絶叫と共に牙そのものが消える。
そして──俺の身体は止まる。
連戦技の代償──身体への尋常ではない負担、そして元来戦技に科せられた硬直時間がまとめて俺に襲いかかる。
不味い、もう意識が──
「じゃあね」
パチンと鳴らされた指の音と共に、俺の意識は落ちた。
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