大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

荒野と戦鎚

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ナタリさんがクアイちゃんをおんぶして連れてきた後、先輩方を先頭に、みんなで学校の外へ。
そのまま約十分、東へ移動した。
「このあたりでいいかな?」「大丈夫だよ!」
着いたのは、ひたすら砂しかない平らな場所。草木一本も生えてないな。
というかさ。
「あれ?先輩、結界みたいなフィールド、張らないの?」
流石に何も無いところで戦技アーツとか魔法とか撃ったら不味くない?
すると、《荒野》の方の先輩(多分。正直見分けつかん)が、『何言ってんのこいつ?』みたいな顔して答えてくれた。
「私は攻撃魔法以外全く使えないよ!だから《荒野》なんだ!」
…あぁ、そういうこと…。魔法撃ったあとは全部荒野になるから二つ名が《荒野》なのか…。
というか、そんな人達を監督役にして大丈夫だったのか…?
「とりあえず!」「レィアくんとアーネちゃんはわかってるから!」「他の君たちの実力を見せて!」
「ちょっと!仕切るのはリーダーの私ですわよ!」
「監督役は!」「私達!」
…なんか言い合ってるけど、とりあえず見せて貰うのは変わりないんじゃあ…?
「…的とかないの?」
「ナタリさんは的あった方がいい?」
「そりゃそうでしょ。なかったらなかっただけどさ…」
ふむ、どうしようか?先輩方は…まだアーネと言い合ってるな。子供じゃあるまいに…。
「あ、ラウクムくん、砂とか食べてガッチガチになれない?」
「…僕に砂をひたすら食べ続けろと?死ねと言ってるのと大差ないよ?」
「…だよねー」
ふむ、ならばアーネに頼るか。
「おい、アーネ。お前のスキルでこのあたりの砂を人形ぐらいまでに圧縮できないか?」
「なんですの?急に」
状況説明したら、『そういう事なら』とサクサク作ってくれた。
そのおかげで地面は穴だらけだけど、それはまぁ仕方ない。
「それじゃあ!」「最初はそこのハンマーの君!」
「えっ僕!?」
行ってこい、ラウクムくん!
呼ばれて的の前に立つラウクムくん。ちなみに的は結構適当な形。アーネは結構不器用らしい。
「…『スマイト』!」
下からすくい上げる、綺麗な軌道を描いて戦鎚が滑り、そのまま的を浮き上がらせる。…あの的、だいぶん重いはずなんだけどなぁ…。
そのまま、一呼吸空けて、戦技アーツを繋げる。
「『ファイブスター』!」
右下から左上、右、左下、上、そして再び右下へ繋がり、歪み一つない五芒星を空中に作る。
しかも、まだ止まらない!?
まだ空中にある的が自分の下になるように、戦鎚を踏み台にジャンプし、そしてそのまま戦技アーツに繋げる。
「『アースクエイク』!」
空中で一回転して、そのまま戦鎚を振り下ろす。
ゴガン!ともバガン!とも聞こえるような音がして、的が地面に叩きつけられる。
…これで戦力不足…?
ラウクムくんは、これで終わったと言わんばかりにその場に座りこんでいる。
次は…クアイちゃん?うわぁ…大丈夫なのかなぁ…?
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