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1.とある公爵令嬢の話

洗礼

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 もうすぐ本洗礼です。
 幼馴染で同じ年のカイルとチェレンも一緒。
 
 騎士団長の子供カイルは、三人の中で一番身体が大きいです。黒髪に少し浅黒い肌。元気一杯のこれぞ男の子って感じ。洗礼を終えたら、いよいよ剣技を習うと言ってました。

 家老で文官の子供チェレンは、男の子としては小柄です。私よりは大きいですけど。もう読み書きができるってのが自慢。私だって読むのは出来ます。ちょっと綴りを間違うだけで…。赤毛が目立つので私達子供を探す時の目印になるって、こないだメイドのマリーが言ってました。チェレンはすごく不本意そうでしたが。

 「洗礼の時ステータスも分かるんだよね。俺、絶対最強になる!親父を超える!!」
 
 拳を突き上げて叫ぶカイル。分かりやすいな。

 おやつの時間、私達三人はいつものように領都本宅の中庭に集まりおしゃべりタイム。今日のおやつはケーキとバナナミルク。
 
 いよいよ明日が洗礼です。教会で祝福され女神様の声を聞きます。ステータスが分かり、向き不向きも分かるそうです。これでカイルが、騎士に向かないとか出たらどうするんだろ?って、無いよね。さすがに私も、それは無い!って断言する。

 カイルははっきりしている。でも私とチェレンは、よくわかんない。女神様が道を示してくれるらしい。不安あるけど、わくわくも止まんない。

 そんな話をしつつ、バナナミルクのお代わりもらうのでした。


 洗礼当日。
 私達は領都ではなく王都の聖教会で洗礼、祝福、受けることになりました。
 ミリュー公爵領都からリンドガイア王都ランザーまで馬車で半日です。今日は王都別宅にお泊まりします。
 馬車には私達三人と、お母様達三人が乗ってます。なのでとても賑やかです。またお母様は、古い友人に会えるとも言ってました。

 途中でお弁当食べたりしなからでしたが、王都の聖教会に着きました。

 「ミリュー公爵夫人、聖教会にようこそ。おや、これはかわいらしい来訪者だ。さあ、他の方は、もうお着きです」

 神父様のお迎え。え?他の方?

 「後お二人、今日洗礼を受けるの」

 お母様が、そう言って誰かを探す素振り。

 「アイラ!」
 「ロザリー!」

 お母様を呼びながら、子連れの女性がやって来ました。
 ロザリー=リムル男爵夫人。現宮廷魔術師の方です。お母様のライバルで古い友人。魔術学校の頃からだとか。

 「ほら、ご挨拶」

 お母様に言われて、慌てて私も挨拶します。

 「はじめまして。リスティア=ミリューです」

 ロザリー様も、

 「ほら」
 「はじめまして。ローラ=リムルです」

 金髪巻き巻き縦ロールの少女、ライバルで大親友になる、ローラとの出逢いでした。
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