最高ランクの御曹司との甘い生活にすっかりハマってます

思いがけない出会い

6

この状況、本当に心臓に悪いよ。


『どうした？そんな驚いた顔して』


『あの、私の名前を知ってくれてたのかな…って』


恐る恐る聞いた。


『当たり前だ』


『さすがですよね。グレースホテル東京の従業員のファーストネームを全員覚えてるなんて』


総支配人ともなると本当にすごいんだな。


『…イヤミか？』


『え？』


『グレースホテル東京には、一体どれだけの従業員がいると思ってる？ファーストネームまでは、まだ数名しか覚えていない』


え？数名？


なのに私の名前は覚えてくれてた？


もうわけわかんない。


『私の名前、覚えてくれてたの…奇跡です。一花なんて子どもっぽい名前だし』


『子どもっぽい？俺はとても綺麗な良い名前だと思う。ご両親が思いを込めて付けて下さったんだ。そんな風に言わない方がいい』


嘘…


綺麗な名前？


そんな風に言ってくれた人、初めてだ。


ずっと子どもっぽくて好きじゃなかった名前を、総支配人は一瞬で好きな名前に変えてくれた。


ちょっと泣きそうだよ。


『はい、ありがとうございます。総支配人、優しいんですね』


『違うだろ？』


『あっ、すみません、絢斗…』


本当、全然慣れないよ。


『一花には、俺以外に呼び捨てする男がいるのか？』


え…


唐突な質問に驚いてしまった。


それに、そんな潤んだ瞳で私を見ないで。


自信ない顔、あんまり見て欲しくないよ。


化粧とか落ちてないかなって、いろいろ心配になってしまう。


『あの、呼び捨てで呼ぶような、そんな人はいませんけど』


『じゃあ、彼氏はいないってことだな』


えっ？


た、確かにいないけど…


ちょっと決めつけ過ぎてない？


思わず苦笑い。


そのまま食事が進み、一通り食べきった時、総支配人が言った。