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大切な人に~絢斗side~

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この数日、一花の様子がおかしいのはわかっていた。


それでも、俺に心配をかけないように笑顔で振る舞う一花がいじらしかった。


何とかしないと…


そう思っている。


朝の朝礼が済んで、それぞれの持ち場に向かう途中、俺はフロントの島田さんに声をかけられた。


一花がおかしくなったのは、島田さんに会った夜からだ。


一花は何も言わないが、2人に何かあったのだろうと思ってる。


今日、声をかけられなかったとしても、近々、俺から島田さんに話を聞こうと思っていた。


『何かありましたか?島田さん』


『総支配人。お話し出来る時間がいつもなくて、お忙しい時にすみません』


『構いません。何でも話して下さい』


『あの…実は、私とコンシェルジュの松下さんは中学時代からの同級生なんですが、最近、松下さんの様子がおかしくて、私…ちょっと心配してるんです』


島田さんは、一花がおかしいというつもりか?


『どんな風におかしいんですか?』


『はい。松下さん、最近、私にすごく意地悪で。この前も、食事に行った時に悪口を言われたんです。ずっと友達だと思ってたのに…山内さんにも相談したら、無視されて。でも、総支配人には信じてもらいたいです。私、総支配人になら全てお話出来ます』


『全て?』


『はい。松下さんがどんな人間か、全てお話します。だから、1度、ホテル以外の場所で会って頂けませんか?総支配人のためならどこにでも行きます』


島田さんは目を潤ませていた。


『わかりました。申し訳ないですが今日の休憩の時間を半分くれませんか?』


少しでも早く話を聞いておきたいと思った。


『あ、はい。今日は12時半から休憩です』


『なら食事を終えて、1時頃に第2相談室に来てくれますか?』


『はい。必ず行きます』
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