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7 役人ティシュカ
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※死体の描写があります
最初は、たどり着くのに骨が折れた。
段々、どこに何が生息していて、気を付けるポイントが分かってくる。
此方に居を構えたら、前より眠れるようになった。
あの樹の香りのせいだろうか?
朝はカゲロウの羽のような半透明の花は
朝露を宿して清らかさに満ちている
段々太陽が昇ってくると白色、桃色から青紫、夕焼けになると黄色に変化する。
夜は銀色だ。
あんな樹は見た事がない。
とても美味しそうな香りの実が生っているので、ぜひとも手に入れたい。
外見は強い芳香の洋ナシのようだ。
おびき寄せられた妖魔たちが食べようと近づくと
さっと蔦が絡みつく。
一瞬で立場が逆転する。
アレを見る限り、気安く近づけない。
トリアの回顧録
◆ ◆ ◆
ティシュカ
ティシュカが役人になったのは、人と関わりは最低限、臨機応変はナシ。
一人でも生きていけるからだ。
書類と命令に従えば良い。付き合いが悪かろうが嫌われていようが、やることをやれば良い。
商売は臨機応変、人付き合い。職人は腕と忍耐、学者は才能が必要だ。
ティシュカの生い立ちの基本は、孤独だった。
いつも傍に孤独はあり、ティシュカは逃げようとも思わなかった。
だから、人を殺して回るのか?
殺される時に他人が自分を必死に見てくるのが嬉しいのだろうか?
殺人衝動は定期的にやって来た。
犠牲者の運命を自分が握っているという征服欲か?
危ない橋を渡っている自覚はあっても理由は曖昧だ。
誰も居ない農場の納屋で悲鳴を聞きながら、確かに俺は満足だ。これが愉悦だ。と思う。
本当はもっと大きくて生意気な奴をヒイヒイ言わせてみたいものだ。
子供は扱いが楽だが、直ぐにぐったり死んでしまう。
だが、ティシュカは油断した。
子供だと思って気を抜いたのが良くなかった。
子供が思わぬ抵抗を見せ、ガップリ耳に噛みついてきた。
「このガキッ!」
驚き怒りに任せて殴りつけたのが余計に不味かった。
耳を噛み切られてしまって、
ティシュカの左耳の下半分はアッサリなくなってしまった。
「クソっ」
何度も殴るようにナイフを使った。そして用水路に叩き込んだ。
急いで止血したが嚙み切られた耳は元通りには治らない。
犠牲者の指を折ることにしたのは、それからだ。
界隈で”指おり”と呼ばれている事を知った。
楽しんでいる時は浸っていられる。そのあとの始末が面倒くさい。
いちいち穴を掘って埋めるのも大変だ。
世間が騒がしくならないうちに彼は勤務移動を希望した。
国境警備の定期便は手紙や食料嗜好品を運ぶだけで、後は町の巡回と書類整理するくらいだ。
やはり一人は悪くない。人と関わりは最低限、臨機応変はナシ。一人でも生きていける。
町の奴らは遠慮して伺うだけだから、気にしない。
時に交代要員を送る時もある。そんな時はイライラした。楽しみは、お預けだ。
久々に日頃の鬱屈を晴らした後だった。
これから面倒を捨てに…と厩で出発しようとしているティシュカの所に、
ジャクールと名乗る同僚が、いきなりやって来て同乗させて欲しいと言った。
「私は、この地方の国境警備隊員ジャクールです。第三連隊所属。
休暇と、所用でコード・ラ・シェに行きたい。ちょうどあなたがいくと聞いたのです。
あそこで泊まって5日後隣の国に入る予定です。そこで、隣国との通商の打ち合わせの命令を受けています」
そう言って指令書を見えるよう広げた。
「了解しました」
ティシュカは、つい嫌な顔をしてしまった。
コイツは、嫌な人間ではなさそうだが。
間が悪いな…馬車の荷物に死体さえ乗せて無ければな。
なるべくアイツが荷物触らないよう気をつけなければ。
ジャクールの気か付かない隙に、死体の始末できるか?
匂いがきつくなる前に?このぼんくらはともかく、ハエ共は気がついている。
話し上手なら、気を反らせるが、あいにく俺は正反対だ
ティシュカは何度も国境を行き来したので、妖魔が出歩くのは夜だと知っていた。
一行が、到着したのは、午後の光が傾いて物憂い時間になった頃だ。
途中で、鍛冶屋夫婦を乗せたことも彼を苛立たせた。
馬屋に入れるのは自分がやるから。と言って、同僚とその他をを早々に追い出して、荷物の様子を確認した。
宿は今、客がチェックインの時間だ。目立つことは避けるべきだ。夜にチャンスはあるだろう…たぶん。
何とかして、あの積み荷の厄介払いしよう。
ティシュカは、同僚から目を離さないように気をつけた。
ジャクールは、荷物を部屋に運ぶ前から、早くも酒と料理をたのみ、休暇を楽しむつもりだ。
「ここでしか食べられない料理が楽しみでさ。あと一度は見ておけっていう睡魔の木」
ティシュカは、同意の意で微かに頷いた。
酒の種類も揃えてある。融通もきくいい宿屋なのだ。外は妖魔の徘徊する生死の世界
いったん客として入れば、おいしい酒に 目を見張るおいしい料理。
もちろん安全なのは言うまでもない。
ここは死の淵にある天国の飛び地なのだ。死と危険に彩られている中に一点眩く輝く安らぎだ。
宿屋のおかみは如才なく余分な事は聞いてこないし、そっとしておいてくれる。
ニコニコ笑っているが、腹が読めないしたたかな女と評価している。
お役所の出張費が出るから、懐も痛まない。思う存分飲み食いができる。
だが、ジャクールが突然飛び入りしたせいで、安穏に料理を楽しむ所ではなくなった。
…まったく、やれやれ。だ。
アイツには早々に酔いつぶれてもらおう。ティシュカは、同僚の杯に黙って酒を継いだ。
今日は楽士が来て、殊更楽しそうだったが、ティシュカは、イライラしただけだった。
彼はお茶をチビチビとすすり、相手にはなみなみと強い酒を進めた。
ろれつが怪しくなってきたジャクールを店の給仕に手伝ってもらいベッドに寝かしつけた。
まったくもって、やれやれ、だ。ヤバイ荷物さえなかったら、もっと楽しめた筈だ。
階段を降りていく途中薄気味悪い体の男が佇んでいた。じっと食堂を見ていた。
確か、ヒルにやられた遭難者だと聞いたが。大方、楽しそうなホールの連中に混ざりたいのだろう。
踊り?ハッ、自分はお断りだな。
ティシュカはおもった。
だが、この暇を持て余している男に、使いを頼むのはどうだろう。
妖魔が徘徊する物騒な一軒家で、日が暮れてから廏に行きたいと言い出すのは怪しいと思われるだろう。
ハンターだったせいか、女主人は権力にヘコヘコしないし、気を抜けない。へつらうその辺の小心者とは違うからな。
そして、目の前にいる男は正に小心者だった。
チップをはずむと言えば直ぐに食らい付いてきた。
さて、なんとか鍵の算段はついたが…
グッスリ寝ている同僚を確認して足音を忍ばせ長い廊下を歩いて、馬屋に入る。
馬達は、耳を立てた。匂いで近寄ってくる。
馬は好きだ。ポンポンと叩いてやって、出入口の横木を外した。
ティシュカは素早く死体を放り出し、すぐさま閉めるつもりだった。
どんな妖魔が居るか分からなかったが、絶えずうなり声やザワザワと奇妙な風切り音が聞こえる。
そんな奴と対峙するのは、ゴメンだ。
妖魔が死体に気を取られるだろう、その隙に急いで扉を閉めるのだ。
出入口まで死体を引きずって、さあ一気に蹴りだそうと扉に力を込めるが、
いっこうに動かない。肩で押しても引いても、揺れさえしなかった。
「なんだ。どうなってる!」
扉を蹴ってもみるが足を痛くしただげった。
ちくしょう、呪いでもかかっているのか?
まだ他の錠前があるのか?とカンテラで調べてみるがわからない。
ティシュカは、怒りでわめき散らしたくなった。
この忌々しい扉のバカが俺の全てを壊そうとしている。畜生!なぜ、開かない!
彼は、怒髪天を突く勢いで、横たわる死体を蹴った。
八つ当たりだが、死体は大きく損壊した。
「うっ?…クソッ!」
ティシュカは汚れた自分の靴を見て後悔した。
馬達が、騒ぎだした。
こうなったら、仕方ない。
ティシュカは死体を馬屋のすみ迄転がして、沢山の敷きワラを被せた。
それしか思い付かなかった。さっきの状態から言って、馬車に乗せ直すのは、匂いで発覚するだろう。
同僚に疑われる事だけは避けなければ。
馬車から下ろしておけば、最悪ごまかせることもできる。
外に棄てる隙もできるかも知れない。
その前に、宿屋の者にドアの仕掛けを聞き出さないといけないな。外からも鍵がかかっているのかもしれない。
ティシュカは、一瞬、あの斑の男に訊ねてみようかと思った。だが、余計な詮索をされかねない、と思い直した。
朝早くもう一度試してみよう。
ティシュカは、渋々部屋に戻った。
妖魔の森の宿は女主人。俺と正反対だなとティシュカは思う。
同じような境遇なのに全く違う成長をした女だ。
仲間と微笑みながら仕事をして、何一つ見逃さない。隙が無く見透かされている感がある。
よりにもよって、あの女将の宿でこんな事になるとは。
厄介な事程、思った通りには、いかない。
「チクショウ」
最初は、たどり着くのに骨が折れた。
段々、どこに何が生息していて、気を付けるポイントが分かってくる。
此方に居を構えたら、前より眠れるようになった。
あの樹の香りのせいだろうか?
朝はカゲロウの羽のような半透明の花は
朝露を宿して清らかさに満ちている
段々太陽が昇ってくると白色、桃色から青紫、夕焼けになると黄色に変化する。
夜は銀色だ。
あんな樹は見た事がない。
とても美味しそうな香りの実が生っているので、ぜひとも手に入れたい。
外見は強い芳香の洋ナシのようだ。
おびき寄せられた妖魔たちが食べようと近づくと
さっと蔦が絡みつく。
一瞬で立場が逆転する。
アレを見る限り、気安く近づけない。
トリアの回顧録
◆ ◆ ◆
ティシュカ
ティシュカが役人になったのは、人と関わりは最低限、臨機応変はナシ。
一人でも生きていけるからだ。
書類と命令に従えば良い。付き合いが悪かろうが嫌われていようが、やることをやれば良い。
商売は臨機応変、人付き合い。職人は腕と忍耐、学者は才能が必要だ。
ティシュカの生い立ちの基本は、孤独だった。
いつも傍に孤独はあり、ティシュカは逃げようとも思わなかった。
だから、人を殺して回るのか?
殺される時に他人が自分を必死に見てくるのが嬉しいのだろうか?
殺人衝動は定期的にやって来た。
犠牲者の運命を自分が握っているという征服欲か?
危ない橋を渡っている自覚はあっても理由は曖昧だ。
誰も居ない農場の納屋で悲鳴を聞きながら、確かに俺は満足だ。これが愉悦だ。と思う。
本当はもっと大きくて生意気な奴をヒイヒイ言わせてみたいものだ。
子供は扱いが楽だが、直ぐにぐったり死んでしまう。
だが、ティシュカは油断した。
子供だと思って気を抜いたのが良くなかった。
子供が思わぬ抵抗を見せ、ガップリ耳に噛みついてきた。
「このガキッ!」
驚き怒りに任せて殴りつけたのが余計に不味かった。
耳を噛み切られてしまって、
ティシュカの左耳の下半分はアッサリなくなってしまった。
「クソっ」
何度も殴るようにナイフを使った。そして用水路に叩き込んだ。
急いで止血したが嚙み切られた耳は元通りには治らない。
犠牲者の指を折ることにしたのは、それからだ。
界隈で”指おり”と呼ばれている事を知った。
楽しんでいる時は浸っていられる。そのあとの始末が面倒くさい。
いちいち穴を掘って埋めるのも大変だ。
世間が騒がしくならないうちに彼は勤務移動を希望した。
国境警備の定期便は手紙や食料嗜好品を運ぶだけで、後は町の巡回と書類整理するくらいだ。
やはり一人は悪くない。人と関わりは最低限、臨機応変はナシ。一人でも生きていける。
町の奴らは遠慮して伺うだけだから、気にしない。
時に交代要員を送る時もある。そんな時はイライラした。楽しみは、お預けだ。
久々に日頃の鬱屈を晴らした後だった。
これから面倒を捨てに…と厩で出発しようとしているティシュカの所に、
ジャクールと名乗る同僚が、いきなりやって来て同乗させて欲しいと言った。
「私は、この地方の国境警備隊員ジャクールです。第三連隊所属。
休暇と、所用でコード・ラ・シェに行きたい。ちょうどあなたがいくと聞いたのです。
あそこで泊まって5日後隣の国に入る予定です。そこで、隣国との通商の打ち合わせの命令を受けています」
そう言って指令書を見えるよう広げた。
「了解しました」
ティシュカは、つい嫌な顔をしてしまった。
コイツは、嫌な人間ではなさそうだが。
間が悪いな…馬車の荷物に死体さえ乗せて無ければな。
なるべくアイツが荷物触らないよう気をつけなければ。
ジャクールの気か付かない隙に、死体の始末できるか?
匂いがきつくなる前に?このぼんくらはともかく、ハエ共は気がついている。
話し上手なら、気を反らせるが、あいにく俺は正反対だ
ティシュカは何度も国境を行き来したので、妖魔が出歩くのは夜だと知っていた。
一行が、到着したのは、午後の光が傾いて物憂い時間になった頃だ。
途中で、鍛冶屋夫婦を乗せたことも彼を苛立たせた。
馬屋に入れるのは自分がやるから。と言って、同僚とその他をを早々に追い出して、荷物の様子を確認した。
宿は今、客がチェックインの時間だ。目立つことは避けるべきだ。夜にチャンスはあるだろう…たぶん。
何とかして、あの積み荷の厄介払いしよう。
ティシュカは、同僚から目を離さないように気をつけた。
ジャクールは、荷物を部屋に運ぶ前から、早くも酒と料理をたのみ、休暇を楽しむつもりだ。
「ここでしか食べられない料理が楽しみでさ。あと一度は見ておけっていう睡魔の木」
ティシュカは、同意の意で微かに頷いた。
酒の種類も揃えてある。融通もきくいい宿屋なのだ。外は妖魔の徘徊する生死の世界
いったん客として入れば、おいしい酒に 目を見張るおいしい料理。
もちろん安全なのは言うまでもない。
ここは死の淵にある天国の飛び地なのだ。死と危険に彩られている中に一点眩く輝く安らぎだ。
宿屋のおかみは如才なく余分な事は聞いてこないし、そっとしておいてくれる。
ニコニコ笑っているが、腹が読めないしたたかな女と評価している。
お役所の出張費が出るから、懐も痛まない。思う存分飲み食いができる。
だが、ジャクールが突然飛び入りしたせいで、安穏に料理を楽しむ所ではなくなった。
…まったく、やれやれ。だ。
アイツには早々に酔いつぶれてもらおう。ティシュカは、同僚の杯に黙って酒を継いだ。
今日は楽士が来て、殊更楽しそうだったが、ティシュカは、イライラしただけだった。
彼はお茶をチビチビとすすり、相手にはなみなみと強い酒を進めた。
ろれつが怪しくなってきたジャクールを店の給仕に手伝ってもらいベッドに寝かしつけた。
まったくもって、やれやれ、だ。ヤバイ荷物さえなかったら、もっと楽しめた筈だ。
階段を降りていく途中薄気味悪い体の男が佇んでいた。じっと食堂を見ていた。
確か、ヒルにやられた遭難者だと聞いたが。大方、楽しそうなホールの連中に混ざりたいのだろう。
踊り?ハッ、自分はお断りだな。
ティシュカはおもった。
だが、この暇を持て余している男に、使いを頼むのはどうだろう。
妖魔が徘徊する物騒な一軒家で、日が暮れてから廏に行きたいと言い出すのは怪しいと思われるだろう。
ハンターだったせいか、女主人は権力にヘコヘコしないし、気を抜けない。へつらうその辺の小心者とは違うからな。
そして、目の前にいる男は正に小心者だった。
チップをはずむと言えば直ぐに食らい付いてきた。
さて、なんとか鍵の算段はついたが…
グッスリ寝ている同僚を確認して足音を忍ばせ長い廊下を歩いて、馬屋に入る。
馬達は、耳を立てた。匂いで近寄ってくる。
馬は好きだ。ポンポンと叩いてやって、出入口の横木を外した。
ティシュカは素早く死体を放り出し、すぐさま閉めるつもりだった。
どんな妖魔が居るか分からなかったが、絶えずうなり声やザワザワと奇妙な風切り音が聞こえる。
そんな奴と対峙するのは、ゴメンだ。
妖魔が死体に気を取られるだろう、その隙に急いで扉を閉めるのだ。
出入口まで死体を引きずって、さあ一気に蹴りだそうと扉に力を込めるが、
いっこうに動かない。肩で押しても引いても、揺れさえしなかった。
「なんだ。どうなってる!」
扉を蹴ってもみるが足を痛くしただげった。
ちくしょう、呪いでもかかっているのか?
まだ他の錠前があるのか?とカンテラで調べてみるがわからない。
ティシュカは、怒りでわめき散らしたくなった。
この忌々しい扉のバカが俺の全てを壊そうとしている。畜生!なぜ、開かない!
彼は、怒髪天を突く勢いで、横たわる死体を蹴った。
八つ当たりだが、死体は大きく損壊した。
「うっ?…クソッ!」
ティシュカは汚れた自分の靴を見て後悔した。
馬達が、騒ぎだした。
こうなったら、仕方ない。
ティシュカは死体を馬屋のすみ迄転がして、沢山の敷きワラを被せた。
それしか思い付かなかった。さっきの状態から言って、馬車に乗せ直すのは、匂いで発覚するだろう。
同僚に疑われる事だけは避けなければ。
馬車から下ろしておけば、最悪ごまかせることもできる。
外に棄てる隙もできるかも知れない。
その前に、宿屋の者にドアの仕掛けを聞き出さないといけないな。外からも鍵がかかっているのかもしれない。
ティシュカは、一瞬、あの斑の男に訊ねてみようかと思った。だが、余計な詮索をされかねない、と思い直した。
朝早くもう一度試してみよう。
ティシュカは、渋々部屋に戻った。
妖魔の森の宿は女主人。俺と正反対だなとティシュカは思う。
同じような境遇なのに全く違う成長をした女だ。
仲間と微笑みながら仕事をして、何一つ見逃さない。隙が無く見透かされている感がある。
よりにもよって、あの女将の宿でこんな事になるとは。
厄介な事程、思った通りには、いかない。
「チクショウ」
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