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とまらぬ涙。
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リビングの椅子に力なく腰掛け
まだうつむき続けているその人に
僕はずっと横で寄り添っていた。
声をかけるのもはばかられて
ただただ隣で同じようにうつむき
テーブルの模様を見つめている。
ガン!ガン!ガン!ガン!
突如テーブルに頭をぶつけ始めた
その人は泣きながら
またその名前を呼んだ。
『たく……み………………。
たく、み!たくみ!ああああ!』
「!!!ちょ!ああっ!
血が出てしまいますっ!
やめてください!やめて!」
僕は必死でその人の肩を押さえ
胸の中に抱き込む。
『あああああああああぁぁぁ!』
泣き叫び何度も名前を呼びながら
暴れていたその人が急に脱力して
静かになったので
はっ、として顔を覗き込むと
気を失ったように
眠ってしまっていて……。
僕は安堵からか
深く息を吐き出した。
とたんに体の重みを感じ
必死にまた抱きかかえる。
身長は170ない痩せぎすの僕と
185はあろうかという
ガタイのいいその人とでは
圧倒的な体格差があった。
しかたなく床にべったりと
座り込みその人の頭を膝に乗せ
ちょうど手が届くところにあった
ブランケットを体にかける。
僕はソファの側面に体を預け
なんとか少し楽な体勢をとった。
『たく、み……………………。』
また名前を呼ぶその人の顔に
はりついた髪をそっとよけると
おでこに傷ができて
血が固まっている。
「やっぱりあのとき
傷がついてしまったんだ……。」
机におでこをぶつけて叫んでいた
姿を思い出すと寒気がして…。
そっと手近の棚の救急箱に
手を伸ばして中から
消毒薬と綿を取り出し血を拭う。
そして絆創膏を貼った。
びくりとも動かず
目を覚まさないその人に
一抹の不安を覚えて
頬を触ってみるとあたたかく
息をしてるのを感じ取ることが
でき、ほっと肩を撫で下ろす。
気づくと僕もそのまま
うとうと、としたらしい。
わずかに膝の上の顔が動く気配に
目を覚ました僕は
その人が嗚咽も漏らさずに
無表情で涙を流しているのを
愕然と見つめた。
「大丈夫、です、か?」
『…………………っぅ。』
「泣いて、いい、です、よ?」
『.....................ふ.......。
それ俺が言ったセリフだ。』
「そうですね.......。」
『何も聞かないんだな.......。』
「そうですね.......。」
『そうですねしか言わないね。』
「そう、です、ね.......。」
『...................。
俺の一人言...聞いてくれるか?』
「……僕、でよければ。」
あ、違うこと言った、と
ちょっと笑って
なんとなく話し始めたその人は
また涙を流す。
『………………グズッ。……匠洋は
1年前の……ちょうど昨日………。
俺の前から突然いなくなった……。』
まだうつむき続けているその人に
僕はずっと横で寄り添っていた。
声をかけるのもはばかられて
ただただ隣で同じようにうつむき
テーブルの模様を見つめている。
ガン!ガン!ガン!ガン!
突如テーブルに頭をぶつけ始めた
その人は泣きながら
またその名前を呼んだ。
『たく……み………………。
たく、み!たくみ!ああああ!』
「!!!ちょ!ああっ!
血が出てしまいますっ!
やめてください!やめて!」
僕は必死でその人の肩を押さえ
胸の中に抱き込む。
『あああああああああぁぁぁ!』
泣き叫び何度も名前を呼びながら
暴れていたその人が急に脱力して
静かになったので
はっ、として顔を覗き込むと
気を失ったように
眠ってしまっていて……。
僕は安堵からか
深く息を吐き出した。
とたんに体の重みを感じ
必死にまた抱きかかえる。
身長は170ない痩せぎすの僕と
185はあろうかという
ガタイのいいその人とでは
圧倒的な体格差があった。
しかたなく床にべったりと
座り込みその人の頭を膝に乗せ
ちょうど手が届くところにあった
ブランケットを体にかける。
僕はソファの側面に体を預け
なんとか少し楽な体勢をとった。
『たく、み……………………。』
また名前を呼ぶその人の顔に
はりついた髪をそっとよけると
おでこに傷ができて
血が固まっている。
「やっぱりあのとき
傷がついてしまったんだ……。」
机におでこをぶつけて叫んでいた
姿を思い出すと寒気がして…。
そっと手近の棚の救急箱に
手を伸ばして中から
消毒薬と綿を取り出し血を拭う。
そして絆創膏を貼った。
びくりとも動かず
目を覚まさないその人に
一抹の不安を覚えて
頬を触ってみるとあたたかく
息をしてるのを感じ取ることが
でき、ほっと肩を撫で下ろす。
気づくと僕もそのまま
うとうと、としたらしい。
わずかに膝の上の顔が動く気配に
目を覚ました僕は
その人が嗚咽も漏らさずに
無表情で涙を流しているのを
愕然と見つめた。
「大丈夫、です、か?」
『…………………っぅ。』
「泣いて、いい、です、よ?」
『.....................ふ.......。
それ俺が言ったセリフだ。』
「そうですね.......。」
『何も聞かないんだな.......。』
「そうですね.......。」
『そうですねしか言わないね。』
「そう、です、ね.......。」
『...................。
俺の一人言...聞いてくれるか?』
「……僕、でよければ。」
あ、違うこと言った、と
ちょっと笑って
なんとなく話し始めたその人は
また涙を流す。
『………………グズッ。……匠洋は
1年前の……ちょうど昨日………。
俺の前から突然いなくなった……。』
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