君の視線の向かう先は。

勇黄

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今だけ。

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母親たちの賑やかな声を聞きながら
衝撃的な言葉を発した
まぁくんの手をまだ僕は握っていた。













「あ、の…?くーちゃん?」













とまどうまぁくんの顔が見える。











僕は離そうとして
でも離したくなくて
思考がぐるぐると回り
息さえできずにまぁくんの手を
力いっぱい握りしめた。












「…………え?くーちゃん!!
くーちゃん?大丈夫っ?」












まぁくんの声が耳元に聞こえる…と
思った瞬間に僕は意識を失って
まぁくんの胸に倒れ込んでいた。





























****************

「…………………少し…ストレスなど
ありますか?自律神経が
乱れた結果のようですが…。」














「そんな………。なにも………。
親の目からはまったく…」












「少し気をつけて見てあげてください。
点滴が終わる頃にもう一度来ますね。」












母親と女医だろうか…。










話し声がかすかに聞こえ
僕は意識を浮上させる。













僕の手を握っているのは…?











(ま、まぁくん………。)











僕は少しだけ手に力をいれた。














(今だけ…もう少しだけ。
まぁくんの手を握っていさせて………。)

















母親の声がする。










「まぁくん、ごめんね…。
せっかく遊びに来てくれたのに…。
こんな時に限って奈那美ななみ
遊びに行ってるし
お父さんは出張だしで…。
紅李翔くりとについててくれて
助かったわ。ありがとうね。」













「いえ。くーちゃん大丈夫なんですか?」











まぁくんの心配そうな声に
目頭が熱くなる。











「自律神経ですって。
なんかあったのかしら…
家では何も言わないし…。」












「おばさん。僕また遊びに来ます。
くーちゃんの話し相手に
なれるかはわからないけど…。」












「まぁくんありがとう。
そうしてくれると嬉しいわ。
紅李翔くりと、まぁくん大好きだし。」










「僕もくーちゃん大好きですよ。」










母親とまぁくんのそんなやりとりに
僕は涙がこみあげる。
















バタバタバタッ!バン!











紅李翔くりと!」
奈那美ななみの声だ。












紅李翔くりとが病院行ったって聞いて…
はぁはぁ…大丈夫なのっ?
…あ…………まぁくん…。」












奈那美ななみ!」











まぁくんは僕の手を離して
行ってしまった。












母親が腕の中に飛び込んできた奈那美ななみ
抱きとめて言う。











奈那美ななみ!声大きい………!
紅李翔くりと寝てるんだから…。
ん…なんか自律神経の乱れだって。」













「そっかぁ…。はぁぁ…。
なんか重い病気だったら
どうしよう、って………。
びっくりしたぁ…。」












奈那美ななみは本気で
心配したらしかった。













奈那美ななみ。これでまぁくんと
なにか食べてらっしゃい。
下にレストランあったから。
お昼まだでしょ?
まぁくんごめんね、ほんと。」












母親がそう言い2人は
病室から出て行った。











僕は絶望的な気分で
また意識を手放した。
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