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【番外編】ノリ兄とヤスくん最初の朝①
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結局あれからもノリ兄とは
最後までできずにいた。
アメリカへの新婚旅行を決めた今
幸せにキスしあって
ゆっくり眠れる日は格段に増えたし
休みになればデートして
ラブラブに過ごしている。
手でィかせ合うこともしばしば。
なのに…。肝心な俺の
ひとつになりたい、というその願望は
なんとなくはぐらかされたり
ノリ兄が先に眠ってしまったり。
ノリ兄は俺と…。
ひとつになりたくないんだろうか。
俺はなんで勇気が出ないんだろうか。
経験も何もない俺は
ノリ兄を傷つけないか、と
臆病になっている。
ノリ兄も怖いのかもしれない。
それとも…?ノリ兄は俺のナカに
入りたいのかな…。
それを聞くことすらもはばかられた。
もし、ノリ兄が入りたいなら…。
それでもいい、とは思う。けど…。
くりっとに聞いてみようかな…。
ぼんやりとスマホを眺めながら
考えていると突然震え出した
スマホにびっくりして
椅子から落ちそうになった。
(あ、くりっと…。)
連絡しようと思っていた親友の名前が
浮かび上がるスマホに飛びつく。
「あ~やまちゃん~?今大丈夫?」
「ぐりっどおぉぉぉ!」
「わ!どしたの、やまちゃん…
泣いてるの!?」
「ぐりっどぉぉぉ…。今どこぉ…。」
「え、あの、家、なんだ、けど?。」
「うぅ…ぐずっ…休み、なの?」
「うん、やまちゃんも休み?」
「うん、こないだ休日出勤したから
振替で…。」
じゃあ、ご飯食べに行こ!と言う
くりっとに俺は鼻を
ぐずぐずいわせながら了承した。
「なんで泣いてたの?」
会って開口一番くりっとの言葉。
「ん…ちょうどくりっとの声
聞きたいな、相談乗って欲しいなって
思ったらくりっとから着信でさ。
思わず泣いちゃった…。」
「なんか、あった、の?」
俺は思っていたことを
全部くりっとにぶちまけた。
「………そうなんだね…。ふふ…。
2人って本当に心の底から
愛し合ってるんだね…!
そしてピュア!」
「んぐっ!…ぴ、ぴ…ぴゅあ!?」
「うん。それと気をつかいすぎ!
言いたいこと言い合わなきゃ、だと
思うよ?人のことは言えないけど…
ふふ………。」
だって…。と俺は言い淀んだ。
「………なんとなく、さ。
兄弟、って思ってたし
遠慮し合ってた時の癖が
抜けない、っていうか…。」
「でもやまちゃん…。
その…したいんでしょ?最後まで。」
「ん…。」
「中にはさ、その…挿入?に
重きを置いてなくて
手や口で愛し合うだけで
じゅうぶんと思ってる人もいるし…。
だってそれは受け入れる側に
負担をかける行為ではあるわけで…。
でもその先に見たことない景色が
あるっていうのも僕自身は知っている。
だけど…。皇教さんがどう思ってるか
ちゃんと聞かないと。
それにどの選択でもやまちゃんは
受け入れようと思ってるんでしょ?」
「うん。」
「それならやっぱりちゃんと伝えて
相手の意見も聞いてみないと
ダメだよ。」
「…………………そう、だよね。」
「皇教さんもちゃんと
考えてると思うよ?
…もう~指輪事件の時といい
2人とも不器用なんだから~。」
「うー……………。」
「ま、僕だって自律神経失調症のこと
まだ言えてないけどね…。
アメリカ行くまでに
良くなると思うし、心配かけることも
ないかな、って。」
「くりっと、けなげ…。
両思いでも苦しいね…。」
「愛ってのはものすごい幸せも
たくさんあるけど、苦しいの。
相手のこと思いすぎるからね…。
自分より相手のことを
常に考えてしまう…。」
「くりっと大人…!」
俺が関心しているとくりっとは
真剣な面持ちで言う。
「本当に本当に僕は幸せなんだ。
まぁくんと繋がる時…。
もちろんそうじゃない時も
物凄く幸せなんだよ?
でもね…。その時間って
特別、っていうか…。
なんかひとつに戻った、って
気持ちが湧き上がる…。」
「くりっと…。」
「まぁくんも言ってた。
僕のナカにいる時えも言われぬ
幸福感が体を満たすって…。」
「……。」
だからさ、とくりっとは
真っ赤な顔をしながら言った。
「ちゃんと話し合ったら?
ね?やまちゃん。」
「わかった…。」
「うん。…じゃ、行こ!
ここの奥に美味しいイタリアン
あるって聞いたから!」
「くりっと…俺に選択権ないの!?」
「やまちゃんに選択権が
あるわけないじゃん!あはは!」
「ちょっ?くりっと?
なんでだよぉ!」
高校時代のようにじゃれあって
俺たちは笑いあった。
*********************
「ただいま~…え?真っ暗?
ヤスくん?いないのか?
ちょっ!ヤスくん?
………………………………う、わぁ!
びっくりした!いるんじゃん!
なんで電気もつけずに………?」
「の、ノリ兄…おかえ、り…。」
「どうした、んだ?」
「…………ううん。ごめん。考え事。」
「病院でなんかあったのか?」
「大丈夫だって。ほら。
ノリ兄おかえり!お疲れ様!」
俺は腕を広げてノリ兄を迎え入れた。
「ん……。ヤスくんただいま。」
俺より身長高いのに
すっと俺の目線になってくれ
肩に頭をあずけ
俺に抱きしめられてくれる。
「ね、ノリに……………。」
「ヤスくん。ねぇ。
今日何の日か知ってる?」
「え?」
「ヤスくんは覚えてないか…。」
ノリ兄は少し不満げな顔をした。
「え?なに?なんのこと?」
「親父に連れられて
初めてヤスくんが俺ん家に来た日。」
「……!!!」
「俺の中で密かな記念日なんだよね。
今日。あの時、なんて可愛い子が
家に来たんだろう、って。
天使かと思った。
俺の弟、って言われて…。
なんだか悲しそうな瞳をした
その子のことを
俺が守ってやりたい、って思った。
結局あの日の一目惚れだった…。
こんなにかっこよく
成長しちゃってさ。ヤスくん。」
「ノリ兄…。俺…。
さすがに日にちはわからなかったけど
その時のこと、覚えてるよ…。
はにかんで差し出された手に
めちゃくちゃ安心したのを覚えてる。
この人がいてくれるかぎり
俺は大丈夫だ、って。
とても嬉しかった。
突然ひとりぼっちになって
何回か会っただけのおじさんに
お父さんだと言われて
どこに連れていかれるのか
不安だらけであの家に着いて…。
ノリ兄だけが俺の支えだったよ…。
今日だったんだね…。
俺が5歳の、あの日…。」
「うん。こんな幸せな未来は
想像も出来なかった。
ね、ヤスくん。今日俺を…………。
抱いて欲しい。………………ダメか?」
「っつぅ…!!!………いい、の?」
「…………ん。するなら今日、って
思ってて…。なんだか…。
いつもはぐらかしちゃったりして…
ごめん、な?」
「!!……俺が抱くのでいい、の?」
「え……………………。もしかして…。
ヤスくん抱かれたい、の?」
「だっ抱きたいっ!俺、ノリ兄を
抱きたくて抱きたくて…っ!」
「!……ふっ。
……………うれしい、よ。ヤスくん…。」
「ノリ兄………。」
「ね、そのノリ兄ってのやめない?」
「………じゃあなんて呼ぶの?」
「…………ノリく、ん?」
「んぐ!………の、の、の…。
ノリ、く、ん………。」
ノリ兄は破顔して俺にまた抱きつく。
「ベッドの中では皇教、って
呼んで欲しい、かな……。」
そう言って熱くなった頬を
俺の首元にぴたっ、とくっつける
ノリ兄はとても可愛くて…。
俺はどうにかなりそうに
急速に火照る。
「ヤスくん…。先、風呂入って
ベッドで待っててくれる、か…?」
「う、うん。わ…かった。」
そして俺はシャワーを浴びながら
たまらずに自身に
手を伸ばしてしまった。
最後までできずにいた。
アメリカへの新婚旅行を決めた今
幸せにキスしあって
ゆっくり眠れる日は格段に増えたし
休みになればデートして
ラブラブに過ごしている。
手でィかせ合うこともしばしば。
なのに…。肝心な俺の
ひとつになりたい、というその願望は
なんとなくはぐらかされたり
ノリ兄が先に眠ってしまったり。
ノリ兄は俺と…。
ひとつになりたくないんだろうか。
俺はなんで勇気が出ないんだろうか。
経験も何もない俺は
ノリ兄を傷つけないか、と
臆病になっている。
ノリ兄も怖いのかもしれない。
それとも…?ノリ兄は俺のナカに
入りたいのかな…。
それを聞くことすらもはばかられた。
もし、ノリ兄が入りたいなら…。
それでもいい、とは思う。けど…。
くりっとに聞いてみようかな…。
ぼんやりとスマホを眺めながら
考えていると突然震え出した
スマホにびっくりして
椅子から落ちそうになった。
(あ、くりっと…。)
連絡しようと思っていた親友の名前が
浮かび上がるスマホに飛びつく。
「あ~やまちゃん~?今大丈夫?」
「ぐりっどおぉぉぉ!」
「わ!どしたの、やまちゃん…
泣いてるの!?」
「ぐりっどぉぉぉ…。今どこぉ…。」
「え、あの、家、なんだ、けど?。」
「うぅ…ぐずっ…休み、なの?」
「うん、やまちゃんも休み?」
「うん、こないだ休日出勤したから
振替で…。」
じゃあ、ご飯食べに行こ!と言う
くりっとに俺は鼻を
ぐずぐずいわせながら了承した。
「なんで泣いてたの?」
会って開口一番くりっとの言葉。
「ん…ちょうどくりっとの声
聞きたいな、相談乗って欲しいなって
思ったらくりっとから着信でさ。
思わず泣いちゃった…。」
「なんか、あった、の?」
俺は思っていたことを
全部くりっとにぶちまけた。
「………そうなんだね…。ふふ…。
2人って本当に心の底から
愛し合ってるんだね…!
そしてピュア!」
「んぐっ!…ぴ、ぴ…ぴゅあ!?」
「うん。それと気をつかいすぎ!
言いたいこと言い合わなきゃ、だと
思うよ?人のことは言えないけど…
ふふ………。」
だって…。と俺は言い淀んだ。
「………なんとなく、さ。
兄弟、って思ってたし
遠慮し合ってた時の癖が
抜けない、っていうか…。」
「でもやまちゃん…。
その…したいんでしょ?最後まで。」
「ん…。」
「中にはさ、その…挿入?に
重きを置いてなくて
手や口で愛し合うだけで
じゅうぶんと思ってる人もいるし…。
だってそれは受け入れる側に
負担をかける行為ではあるわけで…。
でもその先に見たことない景色が
あるっていうのも僕自身は知っている。
だけど…。皇教さんがどう思ってるか
ちゃんと聞かないと。
それにどの選択でもやまちゃんは
受け入れようと思ってるんでしょ?」
「うん。」
「それならやっぱりちゃんと伝えて
相手の意見も聞いてみないと
ダメだよ。」
「…………………そう、だよね。」
「皇教さんもちゃんと
考えてると思うよ?
…もう~指輪事件の時といい
2人とも不器用なんだから~。」
「うー……………。」
「ま、僕だって自律神経失調症のこと
まだ言えてないけどね…。
アメリカ行くまでに
良くなると思うし、心配かけることも
ないかな、って。」
「くりっと、けなげ…。
両思いでも苦しいね…。」
「愛ってのはものすごい幸せも
たくさんあるけど、苦しいの。
相手のこと思いすぎるからね…。
自分より相手のことを
常に考えてしまう…。」
「くりっと大人…!」
俺が関心しているとくりっとは
真剣な面持ちで言う。
「本当に本当に僕は幸せなんだ。
まぁくんと繋がる時…。
もちろんそうじゃない時も
物凄く幸せなんだよ?
でもね…。その時間って
特別、っていうか…。
なんかひとつに戻った、って
気持ちが湧き上がる…。」
「くりっと…。」
「まぁくんも言ってた。
僕のナカにいる時えも言われぬ
幸福感が体を満たすって…。」
「……。」
だからさ、とくりっとは
真っ赤な顔をしながら言った。
「ちゃんと話し合ったら?
ね?やまちゃん。」
「わかった…。」
「うん。…じゃ、行こ!
ここの奥に美味しいイタリアン
あるって聞いたから!」
「くりっと…俺に選択権ないの!?」
「やまちゃんに選択権が
あるわけないじゃん!あはは!」
「ちょっ?くりっと?
なんでだよぉ!」
高校時代のようにじゃれあって
俺たちは笑いあった。
*********************
「ただいま~…え?真っ暗?
ヤスくん?いないのか?
ちょっ!ヤスくん?
………………………………う、わぁ!
びっくりした!いるんじゃん!
なんで電気もつけずに………?」
「の、ノリ兄…おかえ、り…。」
「どうした、んだ?」
「…………ううん。ごめん。考え事。」
「病院でなんかあったのか?」
「大丈夫だって。ほら。
ノリ兄おかえり!お疲れ様!」
俺は腕を広げてノリ兄を迎え入れた。
「ん……。ヤスくんただいま。」
俺より身長高いのに
すっと俺の目線になってくれ
肩に頭をあずけ
俺に抱きしめられてくれる。
「ね、ノリに……………。」
「ヤスくん。ねぇ。
今日何の日か知ってる?」
「え?」
「ヤスくんは覚えてないか…。」
ノリ兄は少し不満げな顔をした。
「え?なに?なんのこと?」
「親父に連れられて
初めてヤスくんが俺ん家に来た日。」
「……!!!」
「俺の中で密かな記念日なんだよね。
今日。あの時、なんて可愛い子が
家に来たんだろう、って。
天使かと思った。
俺の弟、って言われて…。
なんだか悲しそうな瞳をした
その子のことを
俺が守ってやりたい、って思った。
結局あの日の一目惚れだった…。
こんなにかっこよく
成長しちゃってさ。ヤスくん。」
「ノリ兄…。俺…。
さすがに日にちはわからなかったけど
その時のこと、覚えてるよ…。
はにかんで差し出された手に
めちゃくちゃ安心したのを覚えてる。
この人がいてくれるかぎり
俺は大丈夫だ、って。
とても嬉しかった。
突然ひとりぼっちになって
何回か会っただけのおじさんに
お父さんだと言われて
どこに連れていかれるのか
不安だらけであの家に着いて…。
ノリ兄だけが俺の支えだったよ…。
今日だったんだね…。
俺が5歳の、あの日…。」
「うん。こんな幸せな未来は
想像も出来なかった。
ね、ヤスくん。今日俺を…………。
抱いて欲しい。………………ダメか?」
「っつぅ…!!!………いい、の?」
「…………ん。するなら今日、って
思ってて…。なんだか…。
いつもはぐらかしちゃったりして…
ごめん、な?」
「!!……俺が抱くのでいい、の?」
「え……………………。もしかして…。
ヤスくん抱かれたい、の?」
「だっ抱きたいっ!俺、ノリ兄を
抱きたくて抱きたくて…っ!」
「!……ふっ。
……………うれしい、よ。ヤスくん…。」
「ノリ兄………。」
「ね、そのノリ兄ってのやめない?」
「………じゃあなんて呼ぶの?」
「…………ノリく、ん?」
「んぐ!………の、の、の…。
ノリ、く、ん………。」
ノリ兄は破顔して俺にまた抱きつく。
「ベッドの中では皇教、って
呼んで欲しい、かな……。」
そう言って熱くなった頬を
俺の首元にぴたっ、とくっつける
ノリ兄はとても可愛くて…。
俺はどうにかなりそうに
急速に火照る。
「ヤスくん…。先、風呂入って
ベッドで待っててくれる、か…?」
「う、うん。わ…かった。」
そして俺はシャワーを浴びながら
たまらずに自身に
手を伸ばしてしまった。
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