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第九話
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「そこにある、わたしの剣をとれ、ひと斬り」
おとこはおんなの背負っていた大剣を手に取ると、抜き放つ。
おとこは、驚愕に目を見開く。
それは骨のように白い、大剣であった。
そして、おとこはその大剣を握った手から邪悪な思念が自分に流れ込むのを感じる。
それは、殺戮への欲望であり破壊への衝動であった。
シャンブロウがもたらそうとした快楽の果てにある死の闇が、内に孕んでいたもののようだ。
その暗黒に満ちた情動はおとこを飲み込むべく、おとこの頭になだれ込む。
しかし、おとこは薄く笑みを浮かべただけだ。
そのような殺戮への欲望はおとこにとって馴染みのものであったし、そんな衝動は遠い昔に通り過ぎた馴染みの裏路地に過ぎない。
おとこはなだれ込んだ衝動を喰らいつつ、屈伏させる。
白い大剣は、おとこの支配が叶わぬと知るとひどく従順な態度を示した。
「ひと斬り、その剣でわたしを斬れ!」
おとこは声のしたほうを、見る。
おんなは目を固く閉じ、水晶の輝きを封じていた。
さらに、驚くべきものをおとこは見る。
赤く染まったおんなの髪が、吹雪に呑み込まれた松明がごとく再び白さを取り戻してゆく。
しかし赤は消え去ったわけではなく、こんどはおんなの顔を真紅に染める。
さらに顔から下へと、首元へと下がってゆき。
やがてそれは鍛えられた身体の中でそこだけは柔らかく無防備な、おんなの左乳房へと下っていった。
おんなの柔らかな曲線を描く左の乳房は、燃える赤を内に封じ込め蠢いているように見える。
おとこは大剣を軽々と振るうと、白き吹雪と変えた刃をおんなの胸に突き立てた。
おんなは、口から血を吐き赤い花が咲いたように胸元を赤く染める。
おんなは歪んだ顔に、笑みを浮かべた。
「よくやった、ひと斬り。これで君は、目覚めることができる。ただな、」
おんなは、満足げに目を閉じながら最後の言葉を呟く。
「目覚めたら今度は、本物のシャンブロウをきっちり仕留めろ。武運を祈る」
語り終えたおんなは、自身の吐いた血溜まりの中へと沈む。
それと同時に、おとこの意識は闇にのまれていった。
おとこはおんなの背負っていた大剣を手に取ると、抜き放つ。
おとこは、驚愕に目を見開く。
それは骨のように白い、大剣であった。
そして、おとこはその大剣を握った手から邪悪な思念が自分に流れ込むのを感じる。
それは、殺戮への欲望であり破壊への衝動であった。
シャンブロウがもたらそうとした快楽の果てにある死の闇が、内に孕んでいたもののようだ。
その暗黒に満ちた情動はおとこを飲み込むべく、おとこの頭になだれ込む。
しかし、おとこは薄く笑みを浮かべただけだ。
そのような殺戮への欲望はおとこにとって馴染みのものであったし、そんな衝動は遠い昔に通り過ぎた馴染みの裏路地に過ぎない。
おとこはなだれ込んだ衝動を喰らいつつ、屈伏させる。
白い大剣は、おとこの支配が叶わぬと知るとひどく従順な態度を示した。
「ひと斬り、その剣でわたしを斬れ!」
おとこは声のしたほうを、見る。
おんなは目を固く閉じ、水晶の輝きを封じていた。
さらに、驚くべきものをおとこは見る。
赤く染まったおんなの髪が、吹雪に呑み込まれた松明がごとく再び白さを取り戻してゆく。
しかし赤は消え去ったわけではなく、こんどはおんなの顔を真紅に染める。
さらに顔から下へと、首元へと下がってゆき。
やがてそれは鍛えられた身体の中でそこだけは柔らかく無防備な、おんなの左乳房へと下っていった。
おんなの柔らかな曲線を描く左の乳房は、燃える赤を内に封じ込め蠢いているように見える。
おとこは大剣を軽々と振るうと、白き吹雪と変えた刃をおんなの胸に突き立てた。
おんなは、口から血を吐き赤い花が咲いたように胸元を赤く染める。
おんなは歪んだ顔に、笑みを浮かべた。
「よくやった、ひと斬り。これで君は、目覚めることができる。ただな、」
おんなは、満足げに目を閉じながら最後の言葉を呟く。
「目覚めたら今度は、本物のシャンブロウをきっちり仕留めろ。武運を祈る」
語り終えたおんなは、自身の吐いた血溜まりの中へと沈む。
それと同時に、おとこの意識は闇にのまれていった。
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