【R18】あたし、ギターになっちゃった

ヒルナギ

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第五話

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 あたしは、窓から外を見る。

 でかいドイツ車が十台ほど停まっていた。

「何あれ、多すぎない?」

 彼は、苦笑した。

「君のやらかしが派手だったからね、こっちがなんかやばい武器を持っていると思われている」

 あ、はぁ、とあたしは笑う。

 でもまあ、あたってるっちゃあ、あたってる。

 あたしは、自分がどれほどやばいのかよく判らないくらいだ。

 この状況は、いい。

 ちょうど、吐きだしたかったんだよ。

「でも、なんであたしたちを殺そうとするの? 警察にまかせりゃあいいじゃん」

 彼は、また苦笑する。

「おれが警察に捕まったら、芋づる式でやつらに手が及ぶ。そうなる前に、殺しとこうって感じだろ」

 あたしは、元彼がすっかり詰んだ状態に陥ってるのに気がつく。

 しかも、あたしのせいで。

 ああ、笑う。

 なんて、酷い。

 笑いがとまらない。

「何、笑ってんだよ。おれが連中を引き付けるから、君は逃げろ」

 馬鹿じゃないの、こいつとあたしは彼を見る。

 あたしは、服を脱ぎ捨てた。

 全裸になる。

 ああ、身体が熱くてじりじりした。

 胸の先端や、下腹の奥も熱をもって尖っているのがわかる。

 なんか、全身性器になったんじゃあないの、て思う。

「おい、何をやって」

 何か言おうとするのを、無理やり口づけでふさぐ。

 あたしの舌が、彼の口の中で暴れまわる。

 彼の舌はなんだかひんやりして、気持ちいい。

「あんたさ、あたしのこと好きなんでしょ」

 彼は、少し戸惑ったが、結局頷く。

「ああ」

「もお、たまらないほど、あたしのことを欲しくなるんでしょ」

「ああ」

 彼は、あきらめたように素直になった。

「でも、あたしがあんたみたいなカスを好きになることは絶対ない、そう思ったんだ」

 彼は頷く。

「実際、そうだろ」

 あたしは、ふふっと笑う。

「まあね。だから無関心であるよりは、あたしがあんたを殺したくなるようにしたんだ」

 あたしは、裸の身体で彼をぎゅっと抱きしめる。

「きっと、憎しみは愛より深いからね」

 あたしは彼の身につけたイタリア製スーツを、剥ぎ取ってゆく。

 あたしは裸にした彼の身体を、さらにぎゅっと抱く。

 ああ、ひんやりして気持ちいい。

 死体を抱くって、もしかしてこんな感じ?

「でも、今のあんたってさ。憎しみにも値しないかな。だって、むしろ憐れみを感じるのよね」

 彼は、苦笑する。

「どうでもいい、おれたちは五分後には焼け焦げた死体になる」

 そう言って、あたしをぎゅっと抱きしめた。

 最後の瞬間を、あたしと共に過ごせてよかったとでも思ってるね。

 でもさ。

 ちがうんだなぁ、これが。

 あたしの中で泣き叫び、荒れ狂うコードがそうじゃあないって言ってる。
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