初夜での暗殺に失敗した私ですが、今宵も冷徹皇帝から甘く抱き尽くされております

晩餐会の夜⑥

　硬く熱いものに、濡れそぼった入口を押し撫でられる。
　反射的に、下腹部がズクンと熱を発した。
　考えるまでもなく、体はこの正体をわかっていた。
　これを受け入れれば、さらなる悦楽が待っている。

「さぁ、何が欲しい……」

　掠れた声で畳みかけながら、指で唇を撫でられた。
　ぞわぞわと刺激を感じて、思わずその手を両手でつかむ。
　そして、甘い恥じらいを覚えながら、彼を見つめて懇願した。

「陛下が、欲しい……来てください陛下っ、あああ！」

　言い終わる前に、いっきに突き入れられた。

　仰け反った体を強く抱き締められ、ひと突き、ふた突き。それだけで達してしまった。
　頭が真っ白になるような絶頂の最中も激しく打ち付けられて、次なる絶頂へ押し上げられる。

「ああっ、っああ、あ、っあああ！」

　男の欲望は、いつも以上に長大で硬かった。
　穿たれるごとに、こすられた肉壁が溶けて快楽となり体に染み込んでいくような気がした。
　突かれるたびに絶頂を迎えるような強い快感に襲われ、体がびくびくと震えておさまらない。
　それをさらに煽るかのごとく、腰を持たれてがんがんと突き上げられる。

「ああっ、やっ、はげしいつ……！」
「つらいか、ならやめるか」
「やぁ……！　いやです……！」

　子どものように駄々をこねる。呂律もまわっていなかった。
　煮えたぎるような快感に思考も理性も蕩け消えかけていた。

　眉根を寄せたクロヴィスが、半開きにした歯の間から舌をのぞかせる。
　雄の魅惑がにじみでているその顔に見惚れていたら、腕を引かれて、クロヴィスの膝の上で突き上げられる体勢となった。
　揺れる乳房をつかみ吸いつかれると、内部にきゅうと力が入る。

　気づけば気持ちいいところに当たるよう、みずから角度を変えて腰を動かしていた。
　そんなエリシアに口端を上げると、クロヴィスもそこを狙って穿つ。

「っア、アん、っあ、あぁあ！」

　体を大きく仰け反らせながら達した。
　結合部から大量の愛液がぴちぴちと漏れ出る。

「……まったく、どこもかしこも淫乱な体だ」

　勝手にひとりで満足するなと責めるように言われ、達している最中も突かれた。
　再びやって来た絶頂に追い詰められながら、そう変えたのはあなたなのに、と男の体にすがりつく。
　太い腕で抱き締めて、さらに容赦なく攻め立てられる。

　奥に当たって、体の芯がつんざかれるような強い刺激を覚えた。
　クロヴィスも先端が心地いいのか、奥まで入れたまま、エリシアの腰をぐりぐりと前後に動かした。

「あっ、ん、くんっ……！　ああ、だめ、うごかさないでくだ、さい……っ」
「つらいのか。ちがうだろう？　淫らな液がぐっしょりとにじみでている」
「や……んっ、ぁああ、あ……！」

　ふいに口端に手を触れられる。
　溜まっていた唾液を拭われたのだった。
　羞恥に顔を赤くさせると、クロヴィスが口端を上げた。

「……きみのこんな顔を見られるのは、俺だけなんだな」
「私を、染めると言ったのは、あなたです……」
「ああそうだな。しっかりと染まっている」

　確かめるように両手で臀部を撫で、腰のラインをなぞり、乳房を包んで、乳首を弄ばれる。
　身をよじらせると、再び腰を上下に動かされた。

「あっ、はっ、あぁ」
「染まったのは体だけか？」

　突き上げられながら、ふるふると首を横に振る。
　そして、泣きそうになりながらクロヴィスを見つめた。

「心もなにもかも、あなたのものです」

　クロヴィスの顔から笑みが消えた。
　エリシアを押し倒すと、両足を持ち上げて身を乗り出した。
　彼女をとことん追い詰める時にする体勢のひとつだった。

　めくるめく悦楽を得る代わりに、前後不覚に乱れ狂ってしまう未来が待っていた。
　いつも以上に大きくなっている今の彼に責め立てられたら、正気を保てる自信がなかった。
　かすかな怯えと期待がないまぜとなる。
　思わずいやいやと首を振ったが、有無を言わせぬように口づけられた。

「んんっ、んっ、んんんッ!!」

　いきなり、絶頂に駆け上がるような律動が始まった。
　強い刺激に逃げようとする腰を、クロヴィスの両手ががっしりとつかみ、狙いを定めて穿つ。
　喘いで空気を求めるが、唇が吸いつかれてままならない。
　辛い攻め立てだった。なのに激しい愛を感じて、千切れそうになるほど胸が締め付けられる。
　あっという間に果てた。
　びくびくと痙攣している最中も追い立てられ、果てて、また高められ――何度も絶頂を強いられると、言葉も満足に紡げなくなった。

「あっ、んやぁ、ま、っ、く、るっ、いっちゃ、う……！」
「すごいな、突くたびに愛液が吹き出してくる」
「やぁ……！　だ、んっ！　いわな、でぇ……！」
「……可愛いな、エリシア」

　折れんばかりに抱き締められた。
　彼の体温を肌いっぱいに感じる。
　内と外に溢れんばかりの幸せを感じ、エリシアは涙をこぼした。

「へいか……へいか……」
「エリシア。……愛している」

　腰の動きを止めたクロヴィスが、はらはらとあふれだす涙を優しくぬぐった。
　額、右まぶた、左まぶた、鼻に口づけ、最後にエリシアの唇をついばむと、ゆっくりと腰の動きを再開させる。

　今すぐ溶け消えてもかまわない――そう胸いっぱいになるような、深い愛を感じた。

（私も、愛してる）

　言葉にならない思いを伝えるため、クロヴィスの手に指を絡ませ、ぎゅっと握った――その次の瞬間、

「っ、く……」