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第10話 始動する脅威
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1
「残念なお知らせだ、エレナ」
AION本部、作戦指令室。
ヴィンセントは地図上の一点を指し示した。大学の敷地内にある、現在は封鎖された「旧植物園」だ。
「カイト君がデータを隠したオフラインサーバーの場所が特定された。……だが、BEHEMOTHの嗅覚も鋭かったようだ。彼らの部隊がすでに植物園を包囲し、掘削を開始している」
エレナの眉がピクリと動いた。
(ヴィンセントにばれてる……)
いずれにしてもあそこは、ペンダントの座標が示した、カイトが何かを遺した場所。そしてカイトとの思い出の場所だ。
あの聖域が、土足で踏み荒らされている。
「エレナ、先行してBEHEMOTHを排除し、サーバーを回収しろ。……中身を見る必要はない。そのまま持ってくるんだ」
「……了解」
(ヴィンセントはおろかBEHEMOTHにまでも、座標の情報を盗まれていたというの?)
罠でも構わない。
エレナは短く答え、踵を返した。その瞳には、任務への忠誠ではなく、聖域を守るための静かな怒りが宿っていた。
2
出撃直前、エレナは極秘回線を通じてサカキと接触していた。
サカキ商会のガレージから、遠隔アップデートが送信される。
『エレナ、お前のドローン『ファントム』に新しいアルゴリズムを組み込んだ。ヴィンセントの監視には「OSの微修正」と誤魔化してある』
「新しい機能?」
『ああ。対多数制圧用の
**《リフレクション・フォーメーション(鏡面反射陣形)》**だ。
ドローン同士を不可視のレーザーリンクで結び、攻防一体の結界を作る。……存分に暴れてこい』
「ありがとう、先生」
エレナは母艦『アーク』に乗り込み、発進した。
目的地は、思い出の庭。
3
旧植物園は無惨な姿になっていた。
ガラスドームは割れ、貴重な古代植物が重機によって踏み潰されている。BEHEMOTHの構成員たちが、下品な笑い声を上げながら地面を掘り返していた。
「おい、ここか?宝が埋まってるってのは」
「ああ、ボスの命令だ。見つけたらAIONごと売り飛ばしてやるよ!」
その上空に、黒い影が差した。
エレナが降下する。着地の衝撃で、掘削機が吹き飛んだ。
「なっ、AIONの女か!?」
構成員たちが銃を向けるより早く、エレナは指を鳴らした。
背中のコンテナから6機の『ファントム』が射出され、エレナの周囲に幾何学的な陣形を展開する。
《リフレクション・フォーメーション》
ドローン間に青白い光のラインが走る。
敵が放った弾丸は、その見えない壁(レーザーの干渉波)に弾かれ、あるいは溶解した。
逆に、エレナが手をかざすと、光のラインが網のように広がり、敵の武器だけを正確に切断していく。
「ここから出て行って。……花が枯れる」
エレナの冷徹な舞踏の前に、BEHEMOTHの歩兵部隊は為す術もなく無力化されていった。
4
だが、BEHEMOTHもただの暴徒ではない。
植物園の外壁を突き破り、巨大な影が現れた。
多脚戦車。ビルの解体にも使われる重機を武装化した、鋼鉄の怪物だ。その厚い装甲は、ドローンのレーザーをも弾き返す。
「ハハッ!潰れちまいな!」
戦車の主砲が火を噴く。 エレナは回避したが、背後の温室が爆風で砕け散った。カイトが愛した花々が燃えていく。
「……許さない」
エレナは空を見上げた。雲の上で待機している相棒を呼ぶ。
「アイギス!方舟(アーク)を降ろして!『あの形』で!」
『ラジャー。全領域多目的母艦アーク、重砲撃モードへ変形(トランスフォーム)』
雲を裂いて、キャンピングカーほどのサイズの母艦が降下してくる。
空中で装甲がスライドし、翼が砲身へと組み変わる。それはもはや乗り物ではなく、浮遊する要塞砲だった。
「消えなさい」
エレナの視線誘導に合わせ、アークの主砲が唸りを上げる。
高出力ビームが天から降り注ぎ、多脚戦車を頭上から貫いた。
断末魔を上げる間もなく、鋼鉄の巨体は溶解し、爆発四散した。
5
戦闘の余韻と硝煙が漂う中、エレナは地下シェルターへの入り口を見つけた。 瓦礫をどかし、錆びた扉をこじ開ける。
そこは、時が止まったような小さな研究室だった。
埃を被った机。カイトが使っていたマグカップ。そして、部屋の中央で微かに稼働音を立てているメインサーバー。
「カイト……」
エレナは震える手で、首元のペンダントをサーバーのポートに接続した。
認証が通り、ロックが外れる。
モニターに表示されたのは、兵器の設計図でも、ヴィンセントが欲しがる汎用パッチでもなかった。
『……エレナ。もし君がこれを聞いているなら、僕はもういないんだろうね』
スピーカーから、懐かしい声が流れた。
画面に**『Project:ReverseCode』**の文字が浮かぶ。
そして、その下に添えられたサブタイトルを見て、通信越しに聞いていたサカキが息を飲んだ。
『――有機細胞への逆転写による、機械化脳の生体還元理論』
サカキの声が震える。
『馬鹿な……。これは、サイボーグを人間に戻すためのプログラムじゃないか!彼は、暴走する技術へのカウンターとして、これを……たった一人で作っていたのか!?』
カイトの声が続く。
『僕は永遠なんていらないと言った。……もし、誰かが望まぬ形で機械にされたとしても、人間に戻れる道を残したい。……エレナ。君には幸せになってほしい。人間として、自由に……』
メッセージが終わると同時に、リバース・コードの核心データがペンダントへ転送(ダウンロード)され始めた。
エレナは泣いていた。
サイボーグの体には涙腺機能はない。けれど、嗚咽が止まらなかった。
彼は知っていた。ヴィンセントの野望を。そして、自分が殺される可能性を。
それでも彼は、未来の誰かのために――あるいは、巻き込まれるかもしれない私のために、この「治療薬」を遺してくれた。
「なんてことなの……。カイト。私はあなたに復讐するために、この体を捨ててしまったのに……」
ダウンロード完了。 今、世界で唯一、彼女の胸元のペンダントの中にだけ「人間に戻る希望」が宿った。
6
地上から、AIONの回収部隊が近づく音がする。
エレナは立ち上がった。
このオリジナルデータをヴィンセントに渡すわけにはいかない。彼がこれを見れば、間違いなく破棄するだろう。
「……ごめんね、カイト」
エレナは拳を固め、メインサーバーを殴りつけた。
一度、二度、三度。 筐体がひしゃげ、基盤が砕け散る。炎が上がる。
物理的な証拠はすべて消滅した。
数分後。
駆けつけたヴィンセントの部隊に対し、エレナは瓦礫の前で平然と報告した。
「……申し訳ありません。BEHEMOTHの戦車の爆発に巻き込まれ、サーバーが破損しました」
「回収できたのは?」
「損傷が激しく、データのほとんどがノイズです。……カイトの研究日誌の一部(ダミーデータ)しか残っていませんでした」
部隊長は疑わしげな目を向けたが、エレナの完璧なポーカーフェイス(感情制御)の前には何も言えなかった。
7
その夜。AION本部タワー。
ヴィンセントは、破損したサーバーの残骸と、意味のないデータの断片を見つめていた。
「偶然壊れた?……違うな」
ヴィンセントの目は冷たく光っていた。
エレナの報告時のバイタルデータには、一瞬だけ奇妙な「ゆらぎ(動揺)」が記録されていた。
「彼女は『見た』のだ。そして、何かを隠した」
だが、彼はまだ焦らなかった。
どの道、エレナの脳波データの解析率は**80%**を超えている。
彼女が何を隠していようと、解析率が100%になれば、彼女の脳を直結して全てを吸い上げるだけだ。
「想定内ではある。……そろそろ『仕上げ』の時間だ」
彼は部屋の隅にある隠し扉を開いた。
彼はカプセルの制御パネルに手を置いた。
緑色の培養液の中で、無数のケーブルに繋がれた少年が眠っている。
全身にピアスのような放熱端子を埋め込み、左腕が異形のドリルアームに変形している怪物。
ヴィンセントがエンターキーを押す。
カプセルの液体が排水され、少年が目を開けた。その瞳孔は爬虫類のように縦に裂け、狂気の色を帯びていた。
AIONが開発していた、第2世代の軍事特化型(ミリタリー・カスタム)、ゼクス。
エレナが「完璧な調和」を目指した機体なら、彼は「純粋な破壊」のみを追求して造られた、歪な兄弟機だった。
「おはよー、パパ」
ゼクスはあくびをしながら、ガラスを内側から素手で叩き割って出てきた。
「ねえ、遊んでいいの?あの綺麗な旧型のお姉さんと」
「ああ、構わないよ。……思う存分、壊してきなさい」
ゼクスはニヤリと笑った。「了解。鬼ごっこの時間だ」
「残念なお知らせだ、エレナ」
AION本部、作戦指令室。
ヴィンセントは地図上の一点を指し示した。大学の敷地内にある、現在は封鎖された「旧植物園」だ。
「カイト君がデータを隠したオフラインサーバーの場所が特定された。……だが、BEHEMOTHの嗅覚も鋭かったようだ。彼らの部隊がすでに植物園を包囲し、掘削を開始している」
エレナの眉がピクリと動いた。
(ヴィンセントにばれてる……)
いずれにしてもあそこは、ペンダントの座標が示した、カイトが何かを遺した場所。そしてカイトとの思い出の場所だ。
あの聖域が、土足で踏み荒らされている。
「エレナ、先行してBEHEMOTHを排除し、サーバーを回収しろ。……中身を見る必要はない。そのまま持ってくるんだ」
「……了解」
(ヴィンセントはおろかBEHEMOTHにまでも、座標の情報を盗まれていたというの?)
罠でも構わない。
エレナは短く答え、踵を返した。その瞳には、任務への忠誠ではなく、聖域を守るための静かな怒りが宿っていた。
2
出撃直前、エレナは極秘回線を通じてサカキと接触していた。
サカキ商会のガレージから、遠隔アップデートが送信される。
『エレナ、お前のドローン『ファントム』に新しいアルゴリズムを組み込んだ。ヴィンセントの監視には「OSの微修正」と誤魔化してある』
「新しい機能?」
『ああ。対多数制圧用の
**《リフレクション・フォーメーション(鏡面反射陣形)》**だ。
ドローン同士を不可視のレーザーリンクで結び、攻防一体の結界を作る。……存分に暴れてこい』
「ありがとう、先生」
エレナは母艦『アーク』に乗り込み、発進した。
目的地は、思い出の庭。
3
旧植物園は無惨な姿になっていた。
ガラスドームは割れ、貴重な古代植物が重機によって踏み潰されている。BEHEMOTHの構成員たちが、下品な笑い声を上げながら地面を掘り返していた。
「おい、ここか?宝が埋まってるってのは」
「ああ、ボスの命令だ。見つけたらAIONごと売り飛ばしてやるよ!」
その上空に、黒い影が差した。
エレナが降下する。着地の衝撃で、掘削機が吹き飛んだ。
「なっ、AIONの女か!?」
構成員たちが銃を向けるより早く、エレナは指を鳴らした。
背中のコンテナから6機の『ファントム』が射出され、エレナの周囲に幾何学的な陣形を展開する。
《リフレクション・フォーメーション》
ドローン間に青白い光のラインが走る。
敵が放った弾丸は、その見えない壁(レーザーの干渉波)に弾かれ、あるいは溶解した。
逆に、エレナが手をかざすと、光のラインが網のように広がり、敵の武器だけを正確に切断していく。
「ここから出て行って。……花が枯れる」
エレナの冷徹な舞踏の前に、BEHEMOTHの歩兵部隊は為す術もなく無力化されていった。
4
だが、BEHEMOTHもただの暴徒ではない。
植物園の外壁を突き破り、巨大な影が現れた。
多脚戦車。ビルの解体にも使われる重機を武装化した、鋼鉄の怪物だ。その厚い装甲は、ドローンのレーザーをも弾き返す。
「ハハッ!潰れちまいな!」
戦車の主砲が火を噴く。 エレナは回避したが、背後の温室が爆風で砕け散った。カイトが愛した花々が燃えていく。
「……許さない」
エレナは空を見上げた。雲の上で待機している相棒を呼ぶ。
「アイギス!方舟(アーク)を降ろして!『あの形』で!」
『ラジャー。全領域多目的母艦アーク、重砲撃モードへ変形(トランスフォーム)』
雲を裂いて、キャンピングカーほどのサイズの母艦が降下してくる。
空中で装甲がスライドし、翼が砲身へと組み変わる。それはもはや乗り物ではなく、浮遊する要塞砲だった。
「消えなさい」
エレナの視線誘導に合わせ、アークの主砲が唸りを上げる。
高出力ビームが天から降り注ぎ、多脚戦車を頭上から貫いた。
断末魔を上げる間もなく、鋼鉄の巨体は溶解し、爆発四散した。
5
戦闘の余韻と硝煙が漂う中、エレナは地下シェルターへの入り口を見つけた。 瓦礫をどかし、錆びた扉をこじ開ける。
そこは、時が止まったような小さな研究室だった。
埃を被った机。カイトが使っていたマグカップ。そして、部屋の中央で微かに稼働音を立てているメインサーバー。
「カイト……」
エレナは震える手で、首元のペンダントをサーバーのポートに接続した。
認証が通り、ロックが外れる。
モニターに表示されたのは、兵器の設計図でも、ヴィンセントが欲しがる汎用パッチでもなかった。
『……エレナ。もし君がこれを聞いているなら、僕はもういないんだろうね』
スピーカーから、懐かしい声が流れた。
画面に**『Project:ReverseCode』**の文字が浮かぶ。
そして、その下に添えられたサブタイトルを見て、通信越しに聞いていたサカキが息を飲んだ。
『――有機細胞への逆転写による、機械化脳の生体還元理論』
サカキの声が震える。
『馬鹿な……。これは、サイボーグを人間に戻すためのプログラムじゃないか!彼は、暴走する技術へのカウンターとして、これを……たった一人で作っていたのか!?』
カイトの声が続く。
『僕は永遠なんていらないと言った。……もし、誰かが望まぬ形で機械にされたとしても、人間に戻れる道を残したい。……エレナ。君には幸せになってほしい。人間として、自由に……』
メッセージが終わると同時に、リバース・コードの核心データがペンダントへ転送(ダウンロード)され始めた。
エレナは泣いていた。
サイボーグの体には涙腺機能はない。けれど、嗚咽が止まらなかった。
彼は知っていた。ヴィンセントの野望を。そして、自分が殺される可能性を。
それでも彼は、未来の誰かのために――あるいは、巻き込まれるかもしれない私のために、この「治療薬」を遺してくれた。
「なんてことなの……。カイト。私はあなたに復讐するために、この体を捨ててしまったのに……」
ダウンロード完了。 今、世界で唯一、彼女の胸元のペンダントの中にだけ「人間に戻る希望」が宿った。
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地上から、AIONの回収部隊が近づく音がする。
エレナは立ち上がった。
このオリジナルデータをヴィンセントに渡すわけにはいかない。彼がこれを見れば、間違いなく破棄するだろう。
「……ごめんね、カイト」
エレナは拳を固め、メインサーバーを殴りつけた。
一度、二度、三度。 筐体がひしゃげ、基盤が砕け散る。炎が上がる。
物理的な証拠はすべて消滅した。
数分後。
駆けつけたヴィンセントの部隊に対し、エレナは瓦礫の前で平然と報告した。
「……申し訳ありません。BEHEMOTHの戦車の爆発に巻き込まれ、サーバーが破損しました」
「回収できたのは?」
「損傷が激しく、データのほとんどがノイズです。……カイトの研究日誌の一部(ダミーデータ)しか残っていませんでした」
部隊長は疑わしげな目を向けたが、エレナの完璧なポーカーフェイス(感情制御)の前には何も言えなかった。
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その夜。AION本部タワー。
ヴィンセントは、破損したサーバーの残骸と、意味のないデータの断片を見つめていた。
「偶然壊れた?……違うな」
ヴィンセントの目は冷たく光っていた。
エレナの報告時のバイタルデータには、一瞬だけ奇妙な「ゆらぎ(動揺)」が記録されていた。
「彼女は『見た』のだ。そして、何かを隠した」
だが、彼はまだ焦らなかった。
どの道、エレナの脳波データの解析率は**80%**を超えている。
彼女が何を隠していようと、解析率が100%になれば、彼女の脳を直結して全てを吸い上げるだけだ。
「想定内ではある。……そろそろ『仕上げ』の時間だ」
彼は部屋の隅にある隠し扉を開いた。
彼はカプセルの制御パネルに手を置いた。
緑色の培養液の中で、無数のケーブルに繋がれた少年が眠っている。
全身にピアスのような放熱端子を埋め込み、左腕が異形のドリルアームに変形している怪物。
ヴィンセントがエンターキーを押す。
カプセルの液体が排水され、少年が目を開けた。その瞳孔は爬虫類のように縦に裂け、狂気の色を帯びていた。
AIONが開発していた、第2世代の軍事特化型(ミリタリー・カスタム)、ゼクス。
エレナが「完璧な調和」を目指した機体なら、彼は「純粋な破壊」のみを追求して造られた、歪な兄弟機だった。
「おはよー、パパ」
ゼクスはあくびをしながら、ガラスを内側から素手で叩き割って出てきた。
「ねえ、遊んでいいの?あの綺麗な旧型のお姉さんと」
「ああ、構わないよ。……思う存分、壊してきなさい」
ゼクスはニヤリと笑った。「了解。鬼ごっこの時間だ」
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