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抱きしめたかっただけだった
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しおりを挟むその質問、今一番際どいやつなんだけど……!
心の中でそう叫びつつ、私は苦笑いしてさりげなく彼女から身体を離す。
「ゆ、ゆなちゃん、何を言ってるのかしら」
「だってめいちゃんずっと一条さん狙いっぽかったのに、佐々木さん来てからはさすが幼馴染っていうか2人の距離感って自然と近い感じがするし?」
「そうそう!私もずっと気になってた!」
さっちゃんまでジリジリと近づいてきて私は思わずのけぞってしまう。
まああれだけ私が類くんにあからさまだとそう思われても仕方ないというか、曖昧で一言で言えるもんでもなくて……。
「えっと、優斗とは幼馴染でほんとに何もないよ?」
「えー、でも佐々木さんは絶対めいちゃんのこと好きだと思う!見てる目が違う!」
「うんうん!いいなあめいちゃん。あんなイケメン2人に好かれてさー」
うわー、もう痛いところばかり突かれて朝からしんどくなってくる。
横のベットで荷物を黙々と片付けているななを思うと余計に。
とりあえず頑張って2人をかいくぐってなんとか一階に抜け出してきた。
男子たちはもうスキーに行ける状態で待っていて、私たちも再び車の方に向かう。
「スキー場って近いの?店長」
「うん、ここから20分くらいだよ」
そう言われて皆で車に乗り込みスキー場に行った。
着くと何だか見たことのあるような気がする光景に、私は車を降りながらきょろきょろと周りを見渡す。
「あれ、ここ…」
「ここ、昔明子んちの家族と俺と母さんで来たところだよ」
私の荷物まで抱えて優斗が私の後ろでつぶやいた。
優斗から荷物を受け取りながら、小学生の時に遊びに来たことを思い出す。
そうだ、小学生の時初めてスキー場に連れてきてもらって、でもあんまりスキーもちゃんとできなくて私が拗ねて、結局優斗がソリ遊びに付き合ってくれたんだっけ。
「あの時お母さん達2人でリフト乗りまくって何回も滑っててさ。お父さんと優斗と3人でソリで滑ったり雪だるま作ってたんだっけ」
「そうだよ。明子1回スキーやっただけでこけてしょげてそっからやりたがらなくて。今日もスキーじゃなくてソリにする?」
「もう馬鹿にしないでよね!」
あはは!と笑い合っていると店長たちが受付行くよーと呼んでくれる。
そこではたと思い出すけど、いやこんな優斗と楽しげにしてる場合じゃないんだって。
そりゃクリスマスの電話以来の会話で気まずいよりはいいんだけど、ちゃんと今日話すって決めたんだから。
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