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いつかの楽しみ

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目の前に広がるのは今出来上がったばかりっぽい美味しそうな料理たち。


「えっ、え、何これ?」

「これがハンバーグでこっちがナポリタン、あとはコブサラダとコーンポタージュ。飲み物がジンジャエールだな」

「いやそういう意味ではなくて!」


しかも見た目も整いすぎていて、ここはお店ですか?って思うくらい食器のセンスも良いし盛り付けも綺麗だし美味しそうすぎる!

ついでに私の大好物ばかりで興奮しまくっていると、類くんも嬉しいのかいつもより表情は穏やかで、というかちょっと照れてる気がする。


「誕生日なんだろ、今日」

「…え、知ってたの?」

「ちょっと前に菅原さんが教えてくれた。ついでにあんたの好物とかも」


なるほど。
それでこのメニューが成り立ったわけね。

というかななはじゃあ、類くんが祝ってくれようとしてたのを知ってたってことか。


「これ、まさか類くんが全部作ってくれたの?」

「まあ大したもんじゃないし」

「いやいやいや!めっちゃいい匂いするし超美味しそうだよ!お腹空いてきちゃったから食べてもいい?」


私は椅子に座ってとりあえず写真を撮りまくり、冷めないうちに食べようと頬張った。

どれも美味しい!
お母さんが作るご飯より断然美味しい!


「美味しすぎてほっぺがどっか行っちゃうー!」

「大袈裟すぎ」


そう言いつつ類くんは初めて見るくらい口角をきゅっと上げて可愛らしく笑った。

それを正面で見ながら類くんが私のために作った料理を食べられる日がくるなんて……!

美味しく全て食べ切ると、今度は私の大好きな店のケーキが出てきてまたまた目を輝かせてしまう。


「きゃー!メゾンのショートケーキがー!わあシュークリームもガトーショコラもあるー!可愛いー!絶対おいしー!」

「好きなだけ食べろ」


これはもう私を太らせて太らせて食べようとしてるに違いない。

でもそれでもいいと思うくらいここのケーキが大好きで、これまた私はパシャパシャと写真に収めてから遠慮なく口に運んでいく。


「うまそうに食べるな」

「これもななが?」

「うん。いつも優斗が買ってくるのがこれだとか何とか言ってた」


ごくん、と飲み込んで私は小さくそっか、とつぶやいた。

最初に優斗がここのお店に連れてってくれて、それから私がハマっちゃってその後はずっとここのを買ってきてくれていた。

なんて思い出しながらおいしく食べていると、類くんは唐突に立って私の座っている椅子の隣にしゃがみ込んで見上げた。


「指」

「え?」

「指かして」


ケーキを一つ食べ終えてフォークを置き、彼に手を差し出す。

すると類くんは優しく私の右手を持って、どこからか取り出した指輪を薬指にはめた。
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