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悪縁契り深し
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幾日かして、時子の屋敷を訪れた春勢は歓待と労いの言葉を受けた
「無事で本当によかったわ。調伏をした天狗とはどのような力をもつのです?」
御簾の向こうの時この言葉に春勢は戸惑った様子を見せた
「まだ法力を使った姿を確認しておりませんが・・・一人は人の心が読めるようです」
「千里眼のこと話さなかったのかい?善界坊?」
屋敷からほど近くの林の中で善界坊の千里眼を使って見ているのは太郎坊と善界坊である
二人の持つ銅鏡から室内の様子と声が伺える
「話す暇がなかったな」
「善界坊はいろいろ使えるからねえ。説明するのが面倒か」
「……屋敷の中の様子が、妙だと思わないか?」
「いや?特に怪しものは……瞳を映してもらえれば、心も読めると思うけど?」
時子の顔が大写になる。
「無事調伏したことをお父様に伝えれば、きっと喜んでくださるでしょう」
(無事調伏したことをお父様に伝えれば、きっと喜んでくださるでしょう)
穏やかな微笑を浮かべた時子の美しい声と心の声が重なる
「今日は泊まって行きますか?久しぶりにあなたの話が聞きたいわ」
(今日は泊まって行きますか?久しぶりにあなたの話が聞きたいわ)
「………これは」
太郎坊が、鏡を真剣に覗き込む
「行こう。善界坊」
太郎坊は白い羽を、善界坊は黒い羽を生やして、屋敷へと飛び去っていった。
「無事で本当によかったわ。調伏をした天狗とはどのような力をもつのです?」
御簾の向こうの時この言葉に春勢は戸惑った様子を見せた
「まだ法力を使った姿を確認しておりませんが・・・一人は人の心が読めるようです」
「千里眼のこと話さなかったのかい?善界坊?」
屋敷からほど近くの林の中で善界坊の千里眼を使って見ているのは太郎坊と善界坊である
二人の持つ銅鏡から室内の様子と声が伺える
「話す暇がなかったな」
「善界坊はいろいろ使えるからねえ。説明するのが面倒か」
「……屋敷の中の様子が、妙だと思わないか?」
「いや?特に怪しものは……瞳を映してもらえれば、心も読めると思うけど?」
時子の顔が大写になる。
「無事調伏したことをお父様に伝えれば、きっと喜んでくださるでしょう」
(無事調伏したことをお父様に伝えれば、きっと喜んでくださるでしょう)
穏やかな微笑を浮かべた時子の美しい声と心の声が重なる
「今日は泊まって行きますか?久しぶりにあなたの話が聞きたいわ」
(今日は泊まって行きますか?久しぶりにあなたの話が聞きたいわ)
「………これは」
太郎坊が、鏡を真剣に覗き込む
「行こう。善界坊」
太郎坊は白い羽を、善界坊は黒い羽を生やして、屋敷へと飛び去っていった。
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