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脱出
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俺たちは落ちた先はまるで墨を流したような闇に満たされていた。
ぽっかりとただそこにあるだけで底知れない圧が漂っている。
「ここはどこだろう?」
不意に灯りがついた。アーベルが「聖なる灯火」の魔法を使ったらしい。
丸い二つの大小の球体がふわりふわりと当たりを漂う。
アーベルの肩にいた雛鳥がいなくなっていた。
「ああ、そうか。あの部屋の仕掛けだから」
寂しそうに呟く
「幻術みたいなもんだったのかな。あの怪鳥も戻る時にはいなくなってるといいな」
アーベルは少し名残惜しそうに肩を撫でた後、大きい方の明かりで足元を照らし、手を差し伸べて微笑んだ
「さ、いこう。リュシアン」
俺は喉を鳴らし、言いかけた言葉をぐっと飲み込んだ。
(……クソ。結局また、何も言えなかった)
アーベルはそんな俺の迷いを追及しようとしなかった
(あの鳥…どこまで喋ったんだ…?)
「先はどうなってるのかな」
アーベルが一歩、暗闇に足を踏み入れる。
「さあな。気をつけろよ。こっから先は何があるか全くわからない」
俺は短剣を握り直し、渋々その背を追った。 冷気が顔を撫でる。 足を踏み入れた瞬間、背後で扉が音もなく閉じ、第一層との隔たりが完全に断たれた。
振り返った俺は、深く息を吐いた。
(……後で聞き出さないと、アーベルに。いや、それよりも前に)
アーベルの背は、闇の中でも不思議なほどはっきりと見える。 その隣に並んで歩く自分には、その権利があるのだろうか。
(ちゃんと、向き合って話さないとな)
騙していたこと、利用していたこと、でも今は--
心は重く、俺の口は固く閉ざされたままだった。
不意にアーベルが口を開いた
「ねえ、リュシアン…」
「お、お、おお!どうした!?」
心臓が跳ね上がり不自然に声がうらがえる
「僕はね…」
俺の足が止まって、アーベルに引き離された。
光球はアーベルの側にあるので俺の体が、闇に包まれる。
ぽっかりとただそこにあるだけで底知れない圧が漂っている。
「ここはどこだろう?」
不意に灯りがついた。アーベルが「聖なる灯火」の魔法を使ったらしい。
丸い二つの大小の球体がふわりふわりと当たりを漂う。
アーベルの肩にいた雛鳥がいなくなっていた。
「ああ、そうか。あの部屋の仕掛けだから」
寂しそうに呟く
「幻術みたいなもんだったのかな。あの怪鳥も戻る時にはいなくなってるといいな」
アーベルは少し名残惜しそうに肩を撫でた後、大きい方の明かりで足元を照らし、手を差し伸べて微笑んだ
「さ、いこう。リュシアン」
俺は喉を鳴らし、言いかけた言葉をぐっと飲み込んだ。
(……クソ。結局また、何も言えなかった)
アーベルはそんな俺の迷いを追及しようとしなかった
(あの鳥…どこまで喋ったんだ…?)
「先はどうなってるのかな」
アーベルが一歩、暗闇に足を踏み入れる。
「さあな。気をつけろよ。こっから先は何があるか全くわからない」
俺は短剣を握り直し、渋々その背を追った。 冷気が顔を撫でる。 足を踏み入れた瞬間、背後で扉が音もなく閉じ、第一層との隔たりが完全に断たれた。
振り返った俺は、深く息を吐いた。
(……後で聞き出さないと、アーベルに。いや、それよりも前に)
アーベルの背は、闇の中でも不思議なほどはっきりと見える。 その隣に並んで歩く自分には、その権利があるのだろうか。
(ちゃんと、向き合って話さないとな)
騙していたこと、利用していたこと、でも今は--
心は重く、俺の口は固く閉ざされたままだった。
不意にアーベルが口を開いた
「ねえ、リュシアン…」
「お、お、おお!どうした!?」
心臓が跳ね上がり不自然に声がうらがえる
「僕はね…」
俺の足が止まって、アーベルに引き離された。
光球はアーベルの側にあるので俺の体が、闇に包まれる。
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