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第四部
我が家の愛しい子たち
いつの間にか天は朱色に染まり、雲の間からは金色の帯が伸び下りて地上を照らす。そんな淡い光の中、私たちが乗る大型の馬車は屋敷の入口に向かって速度を落としゆっくりと止まった。大きな扉の前には既にティオをはじめとした使用人が並んで待っていた。ティオもいい年だし、そろそろブレンに交代をと思うのだけど、当のティオがもう少しだけと言って拒んでいる。はっきりとは言わないけれど、それは影の長の交代に関係していた。
影の長が交代してから三度、我が家に暗殺者が侵入して騒ぎになったわ。長年影の長を務めたヴィムからその役目を受け継いだゲルトはまだまだ先代に及ばず、細部まで目が届かなくなったことが一因だった。だけどそれはヴィムが新たな長の自覚と成長を促すためにあえて見逃していたからで、私たちに危険が及ばないように手を尽くしてあったから被害はなかったのだけど、責任感が強いティオは新しい長がもう少し成長して落ち着くまではと思っているらしい。その気持ちは嬉しくも心強いけれど無理はしないでほしいわ。
「おかえりなさいませ、旦那様、奥様」
ヴォルフ様の手を借りて馬車から降りると、ティオが声をかけてきた。いつもと変わらない調子は何も問題がなかった証。子と離れている間は不安が増すだけに、それだけで身体のこわばりがほぐれるわ。
「ただいまロッテ。子どもたちは?」
ティオのすぐ後ろに立つロッテに声をかけると表情が和らいだ。
「先ほど夕食を終えられました。今は湯浴みを」
「そう。じゃ、寝顔で我慢するしかないわね」
予想通りの答えが返ってきて一層心が軽くなるわ。湯あみが終われば子どもたちは寝る時間。会いに行ったら興奮して眠らなくなってしまうから今日は寝顔を見るだけにとどめるわ。
「あ、そういえば、アンゼル様が転んで膝にお怪我を」
「あら、また?」
「ええ。ですが、今日はお泣きにはならなかったそうですよ」
「まぁ、偉いわ。成長しているわね」
私が子どもたちのことを気にしているから、こんな日はそれとなく乳母たちからあの子たちの様子を聞いて待っていてくれる。四歳になったアンゼルは活発な性質で毎日庭を走り回っているわ。最近は乳母もついていくのがやっとで、転んで怪我をすることも増えた。護衛を付けたかったけれど、ヴォルフ様もヴィムも痛い目に遭わなければ自ら気を付けようとしないとの考えだったから、無茶をしないよう見守り、怪我をしたらすぐに手当をするにとどめている。心配だしつい手を出したくなるけれど、ヴォルフ様のように強くなってほしいから我慢しているわ。
湯あみを終えて髪を拭き終わった頃には外は暗闇が広がり、子どもたちはとっくに夢の中だった。それでも寝顔だけでも見たいと子どもたちの部屋へ向かった。
「奥様」
子どもたちの側で寝ずの番をしていた侍女が私に気付いて立ち上がったけれど、そのままでと制して子どもたちのベッドに近づき、愛おしい顔を覗き込んだ。アンゼルとエリーゼは仲が良くて今は一緒のベッドで眠っている。兄妹の仲が悪かった私はいつまでも仲良くいてほしいと一緒にいたがる時は離さないようにとお願いしている。どうせ六つを過ぎたら別々にするのだから今すぐ引き離す必要はないと思うのよね。ヴォルフ様は私の好きにさせてくださって何も仰らないし、使用人からも異論はない。
「ふふ、よく眠っているわね」
「はい、今日もご一緒に走り回っていましたわ」
「エリーゼも負けず嫌いね」
三つになったエリーゼは口数が少なくてあまり表情が変わらないから大人しく見えるけれど、負けん気が強くてアンゼルに置いていかれまいと走り回っている。最近はアンゼルが譲ることも増えているわ。同じ両親でも性格は違ってくるものね。ふふ、髪の色は正反対だけど、寝相がそっくりだわ。
「いいお兄ちゃんね、アンゼルは」
「はい。優しくお育ちですわ」
きっとヴォルフ様の気性を受け継いでいるのね。ヴォルフ様も元々はこの子のような性格だったのかしら。今更どうにかなることではないけれど、ついそんな風に考えてしまうわ。薄く口を開けて眠る子どもたち、いくら見ていても飽きないわ。
ふと、もう一つのベッドから弱々しい子猫のような鳴き声が上がった。
「あらあら、アリーゼが起きっちゃったかしら?」
すぐに隣の仮眠室から若い女性が飛んできた。三人目のためにヴォルフ様が探してくださった乳母だ。
「奥様、お帰りでしたか」
「ええ。寝顔だけでもと思ったの。ああ、お乳は私があげるからあなたは休んで」
「ですが……」
「いいのよ。昨夜もあまり眠れなかったのでしょう?」
そう言うと乳母が何とも言えない表情を浮かべた。肯定するのは憚られるけれど嘘も付けないって感じね。私より三つ下の彼女、裏表のない正直な性質が好ましいわ。
「ふふ、アリーゼは夜中に何度も泣いて起きると聞いているわ。ここは私がやるから休んで。だけどこの後はお願いね」
「は、はい」
寝ずの番の侍女も重ねて休むように言うと乳母は何度も頭を下げながら仮眠室へと戻っていった。アリーゼに真摯に向き合ってくれる真面目さは得難いわ。
「ふふ、半日ぶりね、アリーゼ」
抱き上げて乳を含ませると小さな口で吸いついてきた。くすぐったいわね。小さく生まれたけれど日に日に重さが増している。もう少しで首も座るかしら。
「ここにいたか」
大きな影が扉の前に立ち、廊下からの光を遮っていた。低くてよく通る声の持ち主は、夜着にガウンを羽織って首にタオルを乗せたままこちらに向かってきた。
「ええ、顔だけでも見たくて」
「そうだな」
腕に抱くアリーゼの顔を覗き込んだ後、ヴォルフ様が隣に腰を下ろした。ベッドが軋む音を立てたけれど眠りの国にいる二人は目覚めなかった。
「また泣いたか」
「ええ。エリーゼもよく泣いたけれど、アリーゼもですわ」
「泣くのも赤子の仕事だ」
「ふふ、そうですわね」
三月前に生まれた三人目は淡い金の髪と緑の瞳を持っていた。私とヴォルフ様の色を両方受け継いだ子。アンゼルもエリーゼも可愛いけれど、二人の色を持つ子が欲しかったから髪色を見て期待が増し、瞳の色を知った時は宝物を見つけたような気分になった。アンゼルの時は王家の色が出たことで戸惑いが、エリーゼの時は瞳が青であってほしいと期待したけれど外れてしまった。王家の色もヴォルフ様から受け継いだものだから二人の色だけど。
「あら、もう終わりかしら?」
胸の頂を口に含んだまま吸いが止まったわ。既に目も閉じている。そっと離すと口の形はそのままに頭が下がった。お腹がいっぱいになったのね。抱き上げて背を軽く叩いて吸い込んだ空気を逃す。エリーゼはよく吐いたけれどアリーゼは上手ね。そんなところにも個性が出るわ。
「眠ったか」
「ええ、お腹がいっぱいになったようですわ」
ヴォルフ様が慣れた手つきでアリーゼを抱き上げた。大きな手だから片手でも持てるけれど、常に両手を使うのはティオやスージーからの指導があったから。律儀な夫はその言いつけを違えない。そんなところが愛おしいわ。夜着を直している間も三児の父は末娘をじっと見つめていた。そのお心にはどんな思いが描かれているのかしら?
アリーゼをベッドに戻し、後を侍女に任せて共に部屋を出た。寝室までの短い距離でもエスコートしてくれる夫に心が弾む。寝室は燭台が灯り、テーブルの上には簡単な食事とお酒が並んでいた。舞踏会では暗殺を警戒して何も口にしないからお腹が空いたわね。ティオやロッテを退けて二人の時間を楽しむ。社交シーズンが始まったからまた忙しくなるわね。出産を控えていたから昨秋からずっと屋敷に籠っていたけれど、社交も再開しなきゃね。早速あちこちからお誘いをいただいたし。
「疲れただろう」
「ふふ、少し。でも、嬉しいこともありましたからあまり疲れは感じていませんわ」
兄様と再会出来たのは思いがけない幸運だったわ。いつまでこちらにいるのかしら。
「あの従兄のことか?」
「ええ、兄様が戻ってくるとは思わなくて。向こうが気に入ったと手紙にありましたし、一度も帰ってこなかったのです。もう向こうに骨を埋めるつもりかと思っていましたわ」
「そうか」
「実の兄よりも兄のような存在でした。懐かしいですわ」
顔を合わせれば嫌味しか言ってこない兄と比べるなんて申し訳ないくらいだわ。あんな無能な兄なんかよりも文官になって他国に共にと誘われた優秀な兄様がガウス家を継いだ方がよかったわ。今さら言ってもどうしようもないことだけど。って、ヴォルフ様、なんで近づいて……
「……ヴォ、ヴォルフ様?」
「医師の許可は出ただろう?」
「え? ええ、そ……」
その先はヴォルフ様の唇に塞がれて続けられなかったわ。ええっ? 待って? 今からするの?
影の長が交代してから三度、我が家に暗殺者が侵入して騒ぎになったわ。長年影の長を務めたヴィムからその役目を受け継いだゲルトはまだまだ先代に及ばず、細部まで目が届かなくなったことが一因だった。だけどそれはヴィムが新たな長の自覚と成長を促すためにあえて見逃していたからで、私たちに危険が及ばないように手を尽くしてあったから被害はなかったのだけど、責任感が強いティオは新しい長がもう少し成長して落ち着くまではと思っているらしい。その気持ちは嬉しくも心強いけれど無理はしないでほしいわ。
「おかえりなさいませ、旦那様、奥様」
ヴォルフ様の手を借りて馬車から降りると、ティオが声をかけてきた。いつもと変わらない調子は何も問題がなかった証。子と離れている間は不安が増すだけに、それだけで身体のこわばりがほぐれるわ。
「ただいまロッテ。子どもたちは?」
ティオのすぐ後ろに立つロッテに声をかけると表情が和らいだ。
「先ほど夕食を終えられました。今は湯浴みを」
「そう。じゃ、寝顔で我慢するしかないわね」
予想通りの答えが返ってきて一層心が軽くなるわ。湯あみが終われば子どもたちは寝る時間。会いに行ったら興奮して眠らなくなってしまうから今日は寝顔を見るだけにとどめるわ。
「あ、そういえば、アンゼル様が転んで膝にお怪我を」
「あら、また?」
「ええ。ですが、今日はお泣きにはならなかったそうですよ」
「まぁ、偉いわ。成長しているわね」
私が子どもたちのことを気にしているから、こんな日はそれとなく乳母たちからあの子たちの様子を聞いて待っていてくれる。四歳になったアンゼルは活発な性質で毎日庭を走り回っているわ。最近は乳母もついていくのがやっとで、転んで怪我をすることも増えた。護衛を付けたかったけれど、ヴォルフ様もヴィムも痛い目に遭わなければ自ら気を付けようとしないとの考えだったから、無茶をしないよう見守り、怪我をしたらすぐに手当をするにとどめている。心配だしつい手を出したくなるけれど、ヴォルフ様のように強くなってほしいから我慢しているわ。
湯あみを終えて髪を拭き終わった頃には外は暗闇が広がり、子どもたちはとっくに夢の中だった。それでも寝顔だけでも見たいと子どもたちの部屋へ向かった。
「奥様」
子どもたちの側で寝ずの番をしていた侍女が私に気付いて立ち上がったけれど、そのままでと制して子どもたちのベッドに近づき、愛おしい顔を覗き込んだ。アンゼルとエリーゼは仲が良くて今は一緒のベッドで眠っている。兄妹の仲が悪かった私はいつまでも仲良くいてほしいと一緒にいたがる時は離さないようにとお願いしている。どうせ六つを過ぎたら別々にするのだから今すぐ引き離す必要はないと思うのよね。ヴォルフ様は私の好きにさせてくださって何も仰らないし、使用人からも異論はない。
「ふふ、よく眠っているわね」
「はい、今日もご一緒に走り回っていましたわ」
「エリーゼも負けず嫌いね」
三つになったエリーゼは口数が少なくてあまり表情が変わらないから大人しく見えるけれど、負けん気が強くてアンゼルに置いていかれまいと走り回っている。最近はアンゼルが譲ることも増えているわ。同じ両親でも性格は違ってくるものね。ふふ、髪の色は正反対だけど、寝相がそっくりだわ。
「いいお兄ちゃんね、アンゼルは」
「はい。優しくお育ちですわ」
きっとヴォルフ様の気性を受け継いでいるのね。ヴォルフ様も元々はこの子のような性格だったのかしら。今更どうにかなることではないけれど、ついそんな風に考えてしまうわ。薄く口を開けて眠る子どもたち、いくら見ていても飽きないわ。
ふと、もう一つのベッドから弱々しい子猫のような鳴き声が上がった。
「あらあら、アリーゼが起きっちゃったかしら?」
すぐに隣の仮眠室から若い女性が飛んできた。三人目のためにヴォルフ様が探してくださった乳母だ。
「奥様、お帰りでしたか」
「ええ。寝顔だけでもと思ったの。ああ、お乳は私があげるからあなたは休んで」
「ですが……」
「いいのよ。昨夜もあまり眠れなかったのでしょう?」
そう言うと乳母が何とも言えない表情を浮かべた。肯定するのは憚られるけれど嘘も付けないって感じね。私より三つ下の彼女、裏表のない正直な性質が好ましいわ。
「ふふ、アリーゼは夜中に何度も泣いて起きると聞いているわ。ここは私がやるから休んで。だけどこの後はお願いね」
「は、はい」
寝ずの番の侍女も重ねて休むように言うと乳母は何度も頭を下げながら仮眠室へと戻っていった。アリーゼに真摯に向き合ってくれる真面目さは得難いわ。
「ふふ、半日ぶりね、アリーゼ」
抱き上げて乳を含ませると小さな口で吸いついてきた。くすぐったいわね。小さく生まれたけれど日に日に重さが増している。もう少しで首も座るかしら。
「ここにいたか」
大きな影が扉の前に立ち、廊下からの光を遮っていた。低くてよく通る声の持ち主は、夜着にガウンを羽織って首にタオルを乗せたままこちらに向かってきた。
「ええ、顔だけでも見たくて」
「そうだな」
腕に抱くアリーゼの顔を覗き込んだ後、ヴォルフ様が隣に腰を下ろした。ベッドが軋む音を立てたけれど眠りの国にいる二人は目覚めなかった。
「また泣いたか」
「ええ。エリーゼもよく泣いたけれど、アリーゼもですわ」
「泣くのも赤子の仕事だ」
「ふふ、そうですわね」
三月前に生まれた三人目は淡い金の髪と緑の瞳を持っていた。私とヴォルフ様の色を両方受け継いだ子。アンゼルもエリーゼも可愛いけれど、二人の色を持つ子が欲しかったから髪色を見て期待が増し、瞳の色を知った時は宝物を見つけたような気分になった。アンゼルの時は王家の色が出たことで戸惑いが、エリーゼの時は瞳が青であってほしいと期待したけれど外れてしまった。王家の色もヴォルフ様から受け継いだものだから二人の色だけど。
「あら、もう終わりかしら?」
胸の頂を口に含んだまま吸いが止まったわ。既に目も閉じている。そっと離すと口の形はそのままに頭が下がった。お腹がいっぱいになったのね。抱き上げて背を軽く叩いて吸い込んだ空気を逃す。エリーゼはよく吐いたけれどアリーゼは上手ね。そんなところにも個性が出るわ。
「眠ったか」
「ええ、お腹がいっぱいになったようですわ」
ヴォルフ様が慣れた手つきでアリーゼを抱き上げた。大きな手だから片手でも持てるけれど、常に両手を使うのはティオやスージーからの指導があったから。律儀な夫はその言いつけを違えない。そんなところが愛おしいわ。夜着を直している間も三児の父は末娘をじっと見つめていた。そのお心にはどんな思いが描かれているのかしら?
アリーゼをベッドに戻し、後を侍女に任せて共に部屋を出た。寝室までの短い距離でもエスコートしてくれる夫に心が弾む。寝室は燭台が灯り、テーブルの上には簡単な食事とお酒が並んでいた。舞踏会では暗殺を警戒して何も口にしないからお腹が空いたわね。ティオやロッテを退けて二人の時間を楽しむ。社交シーズンが始まったからまた忙しくなるわね。出産を控えていたから昨秋からずっと屋敷に籠っていたけれど、社交も再開しなきゃね。早速あちこちからお誘いをいただいたし。
「疲れただろう」
「ふふ、少し。でも、嬉しいこともありましたからあまり疲れは感じていませんわ」
兄様と再会出来たのは思いがけない幸運だったわ。いつまでこちらにいるのかしら。
「あの従兄のことか?」
「ええ、兄様が戻ってくるとは思わなくて。向こうが気に入ったと手紙にありましたし、一度も帰ってこなかったのです。もう向こうに骨を埋めるつもりかと思っていましたわ」
「そうか」
「実の兄よりも兄のような存在でした。懐かしいですわ」
顔を合わせれば嫌味しか言ってこない兄と比べるなんて申し訳ないくらいだわ。あんな無能な兄なんかよりも文官になって他国に共にと誘われた優秀な兄様がガウス家を継いだ方がよかったわ。今さら言ってもどうしようもないことだけど。って、ヴォルフ様、なんで近づいて……
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