263 / 331
第四部
夫の帰宅
大きな身体は難なく私を受け止めてくれた。その安定感に益々心が満ちていく。久しぶりの夫の匂いを胸いっぱいに吸い込み、逞しい胸に頬を寄せた。服の装飾が頬を軽く刺すけれど、私がこうするのが好きだとご存じのせいか、馬車を下りる前に角が立った大きな物は外してくださっている。そんな小さな気遣いにまた惚れ直してしまう。
「イルーゼ、使用人が見ている」
「……わかりました」
そう言われたら引き下がるしかないわ。これまでも何度か抱き付いた後で我に返って恥ずかしさに悶え、その時に人前だと思い出させてくださいとお願いしたのは私だもの。続きは部屋ってことね。後でもっと抱きしめてもらうわ。正装のヴォルフ様にエスコートされて部屋に向かう。ティオたちの何もなかったような態度がかえって恥ずかしさを増幅させるけれど、そ知らぬ顔をしてその場を後にした。
着替えを求めるヴォルフ様に、そのままの姿で話を聞かせてくださるようにお願いすると了承してくださった。嬉しいわ、今日は黒と紺の色だけどそれもよくお似合いだから。執務室のいつものソファに並んで座るとそれだけで心が踊る。やっと帰ってきてくださった……胸いっぱいに例えようもない安堵が広がる。ティオがお茶を淹れると芳しい香りが室内に満ちた。
「それで、何がありましたの? どうしてお帰りになれない事態に?」
帰宅までにこれほど時間がかかったのなら何かあったのよね。手紙では落とした時のことを案じて詳しいことは書かないから、何が起きているのかわからなくて余計に心配だったわ。
「一部の貴族が騒いで面倒なことになっていた」
「面倒とは、どのような?」
「俺が王子を襲ったのではないかと言い出す者が出てきた」
「ええっ? ヴォルフ様が、殿下を?」
思わず声が出てしまったけれどそれは許してほしい。そんなことをする理由がヴォルフ様にはないもの。あり得ないわ……
「どうして、そんな話に……」
「俺が王位を望んでいると思っている輩が一定数いるのは知っているな?」
「ええ、まぁ……」
多くはヴォルフ様を快く思わない者たちよね。ヴォルフ様に不正を見破られた者や、追従しようとして無下にされた者たちで逆恨みのようなものだけど、自分の思うようにならなかったことに憤って悪し様に言っている。ヴォルフ様が陛下の実兄だと知って何も言えなかったのに。陛下がご不在だから騒ぎ出したのかしら?
「王子の姿が見えないのも、怪我をしたか死んでいるからではないかと言い出した」
「そんなことが……」
我が家に身を隠しているのを知るのは五侯爵家の当主などの一握り。表向きは警護が万全を期すまで表に出るのを控えていることになっているわ。会いに行って断られれば騒ぎ出す者がいるだろうとは思っていたけれど、そこまで悪意を持って見られていたなんて。
「王子の側近候補も会えないからおかしいと騒ぎ出した」
「でも、それは警備のためだったのでしょう? 五侯爵家や騎士団長もご存じのはず」
「ああ、だが俺が五侯爵家や騎士団長に圧力をかけていると言っている」
「誰がそのようなことを……」
そりゃあヴォルフ様はゾルガーの力を取り戻しただけでなく、今や陛下ですら操っていると言われるほどの影響力をお持ちだわ。実際はそんなことなさらないし、陛下と馴れ合うおつもりもない。だけど陛下が何かと甘えては誤解を生むような言動をなさるから世間ではそんな風に見られている。
「イステルだ」
「イステル侯爵家ですか……」
先王様の恋人だと信じていたクラウディア様の実家よね。代々隣領のガーゲルンと仲が悪く、前ガーゲルン侯爵がご立派な方で先王様が重用されたのもあって王家に対しても思うところがおありの辺境侯爵家。クラウディア様が大いに勘違いなさって王宮への出入りが禁止になった際は謝罪しに王宮を訪れていたけれど……そのことを恨んで? だけどあれはクラウディア様をその気にさせた前のガーゲルン侯爵夫人がそう仕向けたからで、王家も我が家も無関係だけど。
「俺に反感を持つ貴族家も追従している。五侯爵家が異議を唱えないのも俺が圧力をかけているのではないかとな」
そんなの言いがかりだわ。ヴォルフ様は王位になど興味はないし、そもそも権力だってゾルガー家の当主として必要なだけでご本人が望んでいるわけじゃない。王家が暴走しないための権力なのだから。
「それで、どうされますの?」
「王子を一度王宮に戻す」
そうなるわよね。姿を見せないと納得しなさそうだもの。
「じゃ、ここでの生活は……」
もう終わりかしら? ここ数日はやる気になったのか鍛錬に参加するようになったから、ここで終えるのは少し残念かしら? 騎士たちは喜びそうだけど。
「一時だけだ。王子らの姿を見ないと安心出来ぬと言い張るからな」
「そうですか」
落胆と安堵を同時に感じ、同時に新たな懸念が生まれた。それが手っ取り早いけれど大丈夫かしら? あれからは真面目に鍛錬に参加しているようだけど、あの日の無調法の謝罪もないし、鍛錬中も反抗はしないけれどそれなりに悪態をついていると聞くわ。ここでの扱いに不満を抱いて虐待されていたと騒ぎ出さないかしら? 不安になってこれまでの彼らの態度や先日のお茶会であったことをお話しした。
「やはりな。性根はそう簡単には変わらないか」
腕を組んでヴォルフ様が小さく息を吐かれた。ヴォルフ様はご存じだったのね。そのうえで引き受けられたと。陛下に泣きつかれた……のでしょうね。そしてヴォルフ様もこれでは将来が不安だと感じられたのね。
「ご存じでしたのね」
「王から聞いていた」
やっぱり……陛下ったら、お子の躾までこちらに投げないでほしいわ。甘えるにもほどがあるわ。いえ、今の彼らを見ているとヴォルフ様に鍛え直してもらう以上の手はなさそうだけど。
「明日、朝の鍛錬の様子を見に行く」
「ヴォルフ様が?」
明日の朝、彼らの元に? 今のところ鍛錬には出ているようだけど。
「ああ。直接様子を見る。俺も王宮にいる間は身体を動かすことがなかったからな。ついでだ」
「では、ヴォルフ様も鍛錬を?」
「ああ」
「だったら私もご一緒しますわ」
ヴォルフ様も鍛錬をされるのなら私も一緒に行くわ。だって鍛錬するヴォルフ様はとてもかっこよくて素敵なのだから。
「お前が? まだ鍛錬は許可しないぞ」
「わかりました。それは諦めますわ。見学だけです」
「……わかった」
少し迷われたけれどお許しくださったわ。嬉しい、またあの雄姿が見られるのね。
「あ、だから今夜は手加減してくださいね」
そうお願いすると眉間に皺を刻まれたわ。やはりそのおつもりだったのね。私だってこういう時はこうなることくらいわかっているし、それは会えなかった時間を埋めてくれる。
でも、ヴォルフ様もずっと王宮でお疲れでしょうし、ちゃんと休んでいただきたいのよ。王宮の部屋は警備が甘いから気が抜けないと仰っていた。きっと本当の意味では休めなかったでしょうし。それに貴重な朝の鍛錬を見る機会なのよ。そんなの絶対に見逃せないわ。
それからヴォルフ様は溜まった仕事を片付けると仰るので私も手伝いながら家政の仕事を片付けていた。今夜は遅くなるかと思ったけれど、意外にも夜は早めにいらっしゃった。寝室にヴォルフ様がいらっしゃる、それだけのことだけど室温が上がった気がした。
「お前が手を打ってくれていたおかげで早く片付いた」
その言葉に胸が熱くなる。すべてを代行することは出来ないけれど、事前の調べ物は済ませて書類に付け、後は書面と資料を読めば署名をするだけでいいように準備しておいた。それだけでも負担はかなり減らせると思ったけど、それが功を成していたのならよかったわ。
「お役に立てたなら嬉しいです。でも、まだまだヴォルフ様には及びませんわ」
「お前はよくやっている」
たったそれだけの言葉なのに心の中に充足感が満ちていくわ。この方に認められたくて今まで必死にやってきたけれど、及第点をいただけると思っていいのかしら? 久しぶりにヴォルフ様の寝室で二人きり、それだけのことなのに心の隅まで満たされるなんて夢のようだわ。大きな手が頬を包む。私よりも少し高い体温にその存在を強く感じた。
「イルーゼ、使用人が見ている」
「……わかりました」
そう言われたら引き下がるしかないわ。これまでも何度か抱き付いた後で我に返って恥ずかしさに悶え、その時に人前だと思い出させてくださいとお願いしたのは私だもの。続きは部屋ってことね。後でもっと抱きしめてもらうわ。正装のヴォルフ様にエスコートされて部屋に向かう。ティオたちの何もなかったような態度がかえって恥ずかしさを増幅させるけれど、そ知らぬ顔をしてその場を後にした。
着替えを求めるヴォルフ様に、そのままの姿で話を聞かせてくださるようにお願いすると了承してくださった。嬉しいわ、今日は黒と紺の色だけどそれもよくお似合いだから。執務室のいつものソファに並んで座るとそれだけで心が踊る。やっと帰ってきてくださった……胸いっぱいに例えようもない安堵が広がる。ティオがお茶を淹れると芳しい香りが室内に満ちた。
「それで、何がありましたの? どうしてお帰りになれない事態に?」
帰宅までにこれほど時間がかかったのなら何かあったのよね。手紙では落とした時のことを案じて詳しいことは書かないから、何が起きているのかわからなくて余計に心配だったわ。
「一部の貴族が騒いで面倒なことになっていた」
「面倒とは、どのような?」
「俺が王子を襲ったのではないかと言い出す者が出てきた」
「ええっ? ヴォルフ様が、殿下を?」
思わず声が出てしまったけれどそれは許してほしい。そんなことをする理由がヴォルフ様にはないもの。あり得ないわ……
「どうして、そんな話に……」
「俺が王位を望んでいると思っている輩が一定数いるのは知っているな?」
「ええ、まぁ……」
多くはヴォルフ様を快く思わない者たちよね。ヴォルフ様に不正を見破られた者や、追従しようとして無下にされた者たちで逆恨みのようなものだけど、自分の思うようにならなかったことに憤って悪し様に言っている。ヴォルフ様が陛下の実兄だと知って何も言えなかったのに。陛下がご不在だから騒ぎ出したのかしら?
「王子の姿が見えないのも、怪我をしたか死んでいるからではないかと言い出した」
「そんなことが……」
我が家に身を隠しているのを知るのは五侯爵家の当主などの一握り。表向きは警護が万全を期すまで表に出るのを控えていることになっているわ。会いに行って断られれば騒ぎ出す者がいるだろうとは思っていたけれど、そこまで悪意を持って見られていたなんて。
「王子の側近候補も会えないからおかしいと騒ぎ出した」
「でも、それは警備のためだったのでしょう? 五侯爵家や騎士団長もご存じのはず」
「ああ、だが俺が五侯爵家や騎士団長に圧力をかけていると言っている」
「誰がそのようなことを……」
そりゃあヴォルフ様はゾルガーの力を取り戻しただけでなく、今や陛下ですら操っていると言われるほどの影響力をお持ちだわ。実際はそんなことなさらないし、陛下と馴れ合うおつもりもない。だけど陛下が何かと甘えては誤解を生むような言動をなさるから世間ではそんな風に見られている。
「イステルだ」
「イステル侯爵家ですか……」
先王様の恋人だと信じていたクラウディア様の実家よね。代々隣領のガーゲルンと仲が悪く、前ガーゲルン侯爵がご立派な方で先王様が重用されたのもあって王家に対しても思うところがおありの辺境侯爵家。クラウディア様が大いに勘違いなさって王宮への出入りが禁止になった際は謝罪しに王宮を訪れていたけれど……そのことを恨んで? だけどあれはクラウディア様をその気にさせた前のガーゲルン侯爵夫人がそう仕向けたからで、王家も我が家も無関係だけど。
「俺に反感を持つ貴族家も追従している。五侯爵家が異議を唱えないのも俺が圧力をかけているのではないかとな」
そんなの言いがかりだわ。ヴォルフ様は王位になど興味はないし、そもそも権力だってゾルガー家の当主として必要なだけでご本人が望んでいるわけじゃない。王家が暴走しないための権力なのだから。
「それで、どうされますの?」
「王子を一度王宮に戻す」
そうなるわよね。姿を見せないと納得しなさそうだもの。
「じゃ、ここでの生活は……」
もう終わりかしら? ここ数日はやる気になったのか鍛錬に参加するようになったから、ここで終えるのは少し残念かしら? 騎士たちは喜びそうだけど。
「一時だけだ。王子らの姿を見ないと安心出来ぬと言い張るからな」
「そうですか」
落胆と安堵を同時に感じ、同時に新たな懸念が生まれた。それが手っ取り早いけれど大丈夫かしら? あれからは真面目に鍛錬に参加しているようだけど、あの日の無調法の謝罪もないし、鍛錬中も反抗はしないけれどそれなりに悪態をついていると聞くわ。ここでの扱いに不満を抱いて虐待されていたと騒ぎ出さないかしら? 不安になってこれまでの彼らの態度や先日のお茶会であったことをお話しした。
「やはりな。性根はそう簡単には変わらないか」
腕を組んでヴォルフ様が小さく息を吐かれた。ヴォルフ様はご存じだったのね。そのうえで引き受けられたと。陛下に泣きつかれた……のでしょうね。そしてヴォルフ様もこれでは将来が不安だと感じられたのね。
「ご存じでしたのね」
「王から聞いていた」
やっぱり……陛下ったら、お子の躾までこちらに投げないでほしいわ。甘えるにもほどがあるわ。いえ、今の彼らを見ているとヴォルフ様に鍛え直してもらう以上の手はなさそうだけど。
「明日、朝の鍛錬の様子を見に行く」
「ヴォルフ様が?」
明日の朝、彼らの元に? 今のところ鍛錬には出ているようだけど。
「ああ。直接様子を見る。俺も王宮にいる間は身体を動かすことがなかったからな。ついでだ」
「では、ヴォルフ様も鍛錬を?」
「ああ」
「だったら私もご一緒しますわ」
ヴォルフ様も鍛錬をされるのなら私も一緒に行くわ。だって鍛錬するヴォルフ様はとてもかっこよくて素敵なのだから。
「お前が? まだ鍛錬は許可しないぞ」
「わかりました。それは諦めますわ。見学だけです」
「……わかった」
少し迷われたけれどお許しくださったわ。嬉しい、またあの雄姿が見られるのね。
「あ、だから今夜は手加減してくださいね」
そうお願いすると眉間に皺を刻まれたわ。やはりそのおつもりだったのね。私だってこういう時はこうなることくらいわかっているし、それは会えなかった時間を埋めてくれる。
でも、ヴォルフ様もずっと王宮でお疲れでしょうし、ちゃんと休んでいただきたいのよ。王宮の部屋は警備が甘いから気が抜けないと仰っていた。きっと本当の意味では休めなかったでしょうし。それに貴重な朝の鍛錬を見る機会なのよ。そんなの絶対に見逃せないわ。
それからヴォルフ様は溜まった仕事を片付けると仰るので私も手伝いながら家政の仕事を片付けていた。今夜は遅くなるかと思ったけれど、意外にも夜は早めにいらっしゃった。寝室にヴォルフ様がいらっしゃる、それだけのことだけど室温が上がった気がした。
「お前が手を打ってくれていたおかげで早く片付いた」
その言葉に胸が熱くなる。すべてを代行することは出来ないけれど、事前の調べ物は済ませて書類に付け、後は書面と資料を読めば署名をするだけでいいように準備しておいた。それだけでも負担はかなり減らせると思ったけど、それが功を成していたのならよかったわ。
「お役に立てたなら嬉しいです。でも、まだまだヴォルフ様には及びませんわ」
「お前はよくやっている」
たったそれだけの言葉なのに心の中に充足感が満ちていくわ。この方に認められたくて今まで必死にやってきたけれど、及第点をいただけると思っていいのかしら? 久しぶりにヴォルフ様の寝室で二人きり、それだけのことなのに心の隅まで満たされるなんて夢のようだわ。大きな手が頬を包む。私よりも少し高い体温にその存在を強く感じた。
あなたにおすすめの小説
夫の告白に衝撃「家を出て行け!」幼馴染と再婚するから子供も置いて出ていけと言われた。
佐藤 美奈
恋愛
伯爵家の長男レオナルド・フォックスと公爵令嬢の長女イリス・ミシュランは結婚した。
三人の子供に恵まれて平穏な生活を送っていた。
だがその日、夫のレオナルドの言葉で幸せな家庭は崩れてしまった。
レオナルドは幼馴染のエレナと再婚すると言い妻のイリスに家を出て行くように言う。
イリスは驚くべき告白に動揺したような表情になる。
「子供の親権も放棄しろ!」と言われてイリスは戸惑うことばかりで、どうすればいいのか分からなくて混乱した。
玉の輿を狙う妹から「邪魔しないで!」と言われているので学業に没頭していたら、王子から求婚されました
歌龍吟伶
恋愛
王立学園四年生のリーリャには、一学年下の妹アーシャがいる。
昔から王子様との結婚を夢見ていたアーシャは自分磨きに余念がない可愛いらしい娘で、六年生である第一王子リュカリウスを狙っているらしい。
入学当時から、「私が王子と結婚するんだからね!お姉ちゃんは邪魔しないで!」と言われていたリーリャは学業に専念していた。
その甲斐あってか学年首位となったある日。
「君のことが好きだから」…まさかの告白!
<完結>金貨5000枚で売られた王太子妃
ぜらちん黒糖
恋愛
「愛している。必ず迎えに行くから待っていてくれ」
甘い言葉を信じて、隣国へ「人質」となった王太子妃イザベラ。
旅立ちの前の晩、二人は愛し合い、イザベラのお腹には新しい命が宿った。すぐに夫に知らせた イザベラだったが、夫から届いた返信は、信じられない内容だった。
「それは本当に私の子供なのか?」
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
私を棄てて選んだその妹ですが、継母の私生児なので持参金ないんです。今更ぐだぐだ言われても、私、他人なので。
百谷シカ
恋愛
「やったわ! 私がお姉様に勝てるなんて奇跡よ!!」
妹のパンジーに悪気はない。この子は継母の連れ子。父親が誰かはわからない。
でも、父はそれでいいと思っていた。
母は早くに病死してしまったし、今ここに愛があれば、パンジーの出自は問わないと。
同等の教育、平等の愛。私たちは、血は繋がらずとも、まあ悪くない姉妹だった。
この日までは。
「すまないね、ラモーナ。僕はパンジーを愛してしまったんだ」
婚約者ジェフリーに棄てられた。
父はパンジーの結婚を許した。但し、心を凍らせて。
「どういう事だい!? なぜ持参金が出ないんだよ!!」
「その子はお父様の実子ではないと、あなたも承知の上でしょう?」
「なんて無礼なんだ! 君たち親子は破滅だ!!」
2ヶ月後、私は王立図書館でひとりの男性と出会った。
王様より科学の研究を任された侯爵令息シオドリック・ダッシュウッド博士。
「ラモーナ・スコールズ。私の妻になってほしい」
運命の恋だった。
=================================
(他エブリスタ様に投稿・エブリスタ様にて佳作受賞作品)
世継ぎは他の妃が産めばいい——子を産めない私ですが、帝の寵愛を独占して皇后になりました
由香
恋愛
後宮に入る女の価値は、ただ一つ。
——皇子を産めるかどうか。
けれど私は、産めない。
ならば——
「世継ぎは他の妃に任せます。私は、陛下に愛される女になります」
そう言い放ったその日から、すべてが狂い始めた。
毒を盛られても、捨てられず。
皇子が生まれても、選ばれたのは私だった。
「お前は、ここにいろ」
これは、子を産めない女が
ただ一つの武器“寵愛”だけで頂点に立つ物語。
そして——
その寵愛は、やがて狂気に変わる。
離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。
しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。
私たち夫婦には娘が1人。
愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。
だけど娘が選んだのは夫の方だった。
失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。
事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。
再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。
王太子妃は離婚したい
凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。
だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。
※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。
綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。
これまで応援いただき、本当にありがとうございました。
レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。
https://www.regina-books.com/extra/login