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第四部
朝の鍛錬
帰宅した夫は何かが欠けているような感覚に捕らわれていた心を満たしてくれた。それは私だけじゃなく、ティオやスージーたち使用人も同じで、ヴォルフ様に苦手意識があるロッテですら表情が柔らかくなったわ。この家はヴォルフ様によって支えられていると強く感じる。それは国王陛下にも動じない威厳や的確な事務処理能力、そして圧倒的な強さがもたらしていた。
そして私も……久しぶりの共寝は空虚さに占領されていた心を満たしてくれた。朝もよ。いつもは先に起きてしまわれるけれど、今朝は起こしてくださった。昨夜、鍛錬を一緒にと願ったのを忘れないでいてくれたことにまた心が温かくなった。
翌朝、ヴォルフ様と共に騎士棟に向かった。ゾルガー邸の北棟は騎士たちのために用意されたもので騎士棟と呼ばれている。三階建てで装飾など一切ない建物は頑強な石造りで、窓は他の棟に比べて小さく、有事には籠城も出来るようになっているとか。これまでにそんな事態が起きたことはないけれど、いつでも対処できるよう定期的な訓練が行われているのだとか。
ゾルガーの上官用の騎士服を纏ってヴォルフ様と並んで歩く。後ろには同じ騎士服のアベルとブレン、平騎士の服を来たロッテが続く。朝の鍛錬をしている庭に姿を現すと皆の動きが止まった。
「だ、旦那様!」
誰かがそう声を上げると、皆が一斉にヴォルフ様の下に馳せ参じて並ぶ。隙のない統制のとれたそれは日ごろの訓練の賜物ね。
「お戻りでしたか」
「ああ、世話をかけた。訓練を続けろ」
「はっ!」
素っ気なく返されたけれど誰の目も期待に輝いていた。その理由は多分私と同じね。ヴォルフ様が鍛錬するお姿を一目でもとこの場にいる者なら思うもの。多くの者はヴォルフ様の強さに惹かれてここにいるのだから。
彼らの様子を暫く眺めた後でヴォルフ様が向かったのは、見習い騎士たちがいる一角だった。そこにはかつらを被ったリカード様とハンス様がいて、既に走り込みを終えて筋肉を鍛えるための運動を繰り返していた。周囲の者たちがヴォルフ様の姿を見つけて視線をこちらに向けると、彼らも程なくしてこちらに気付いて目を丸くした。一瞬の後、リカード様は目をそらし、ハンス様は怯えるような視線を向けてきたわ。私には傍若無人に振舞っても、ヴォルフ様は怖いらしい。
「朝食を終えたら執務室に来い」
二人の前に立ったヴォルフ様はそれだけを告げると、お二人は少し間を置いてから「はい」と小声で答えた。周りの者たちが当主直々に声をかけられたことに驚いているし、当人たちは叱られると思ったのか顔色を失っているわ。
ヴォルフ様はそれだけを言い終えると、アベルとブレンを伴い鍛錬場を大きく囲むように走り込む騎士たちに混じって駆けだした。無表情で淀みなく走り続けるヴォルフ様。相変わらずお早いわね。早くもブレンが置いていかれている。アベルは必死に食らいついているのはさすがね。それでも周を重ねるごとにその差が開いていく。
体力が人並外れていらっしゃるわね。身体が大きいだけでなく頑丈で、その上で騎士見習いの頃からずっと鍛錬を欠かさなかったせいかしら。領邸では身を守るためにあらゆる武術を叩き込まれたと仰っていたからその恩恵もありそうね。アベルが半周ほど遅れた頃に走りを止めると、上着を脱ぎながらこちらへ歩いてこられた。
「持っていてくれ」
そういって上着を差し出された。ずしりとした重さを感じるわ。私と同じデザインだけど大きさが違うから重さも違う。シャツだけになったヴォルフ様。額にはうっすらと汗が浮かび、それが何とも言えない艶を醸し出している……嫌だわ、どうして昨夜のことを思い出してしまったのかしら……朝から不謹慎だと頭を振って頭に浮かんだそれを振り払った。うう、ロッテに不審がられていないかしら……
「旦那様、ぜひ手合わせを!」
「いいだろう」
不埒な自分を反省している間に、ヴォルフ様はアベルに剣の稽古をせがまれていた。ヴォルフ様が是と答えると周りにいた騎士からワッと歓声が上がった。皆ヴォルフ様の剣技を見たくて仕方がないのよね。私もその一人。だって流れるような剣捌きは剣舞のようでため息が出てしまうほど素敵なのだから。
アベルとヴォルフ様が向かい合って立つ。二人が手にしているのは真剣で、アベルが手にするそれは普通のものよりも長いもの。一方のヴォルフ様は逆に短い。長いと隙が出来るからだと仰っていたわ。アベルもそれを真似て一時は短めのものを使ったけれど、彼には合わなかったらしく今は逆に長いものを好んでいる。
ヴォルフ様は相変わらず剣を地に向けたまま佇んでいらっしゃる。対するアベルは胸の前で剣を両手で持ち、剣先を真っ直ぐヴォルフ様に向けている。アベルからは激しい闘気を感じる一方、ヴォルフ様はいつも通りの無表情のままだわ。
緊迫した空気を切り裂いて先に動いたのはアベルだった。真っ直ぐに剣先をヴォルフ様に向けて一気に突き進む。狙ったのはヴォルフ様の心臓の辺りかしら? それをヴォルフ様は身体をずらしで躱したけれど、そこにアベルの剣が再び襲い掛かった。剣がぶつかり滑る音が響く。ヴォルフ様は的確にアベルの剣先を避けている。私だったらとっくに串刺しかしら?
長いようであっという間の後、剣を手に立っていたのはヴォルフ様だった。アベルは利き手を摩りながらその場に立ち、彼の剣は左後方の地面に横たわっていた。
「しょ、勝者旦那様!」
立ち合い人の騎士が声を上げると歓声がそれに続いた。「さすがは旦那様!」「やはりお強い!」「アベルは何連敗目だ?」といった声があちこちから上がってくる。
「あ~あ、また負けました」
「前より見切りはよくなっている」
「あ、ありがとうございます!」
しおれていたアベルがヴォルフ様の一言でパッと顔を輝かせた。こういうところが忠犬と言われるのよね。それでも陰に籠らない彼の明るい気性は好ましいわ。
それからは次々と騎士がヴォルフ様との手合わせを願い、ヴォルフ様がそれに応えた。最近鍛錬をしていなかったとは思えないほど動きは機敏だし、何人を相手にしても息を切らしていない。もうさすがとしか言いようがないわ。
「……お凄いですね、旦那様は……」
「ええ、とっても雄々しくて素敵だわ」
勝ち続ける夫から目が離せない。額からは時折汗が流れて、それが何とも言えない色気を醸し出しているわ。薄いシャツが汗のせいか身体にくっついて筋肉がその存在を主張しているし。こんなの、夫人たちが見たら黄色い悲鳴を上げるわよね。嫌だわ、ヴォルフ様の人気が高まってしまう。この光景は絶対に他の人には見せられないわ。
その時だった。茶の髪をした少年が人の間から現れた。あれって……
「侯爵、私とも手合わせをお願いしたい」
少年の願いに騎士たちが怪訝な表情を浮かべた。周りの者が「おい、無礼だぞ」「お前にはまだ早い」と諫める。見習いがヴォルフ様と手合わせを願うなんてあり得ないから周囲の視線が冷たいわ。それでなくても彼らのこれまでの行いは広く知られ、ひんしゅくを買っているのだから。
「いいだろう」
「旦那様?」
ヴォルフ様が是と答えると、周囲の者が驚きを露にした。いつもなら相手になさらないわよね。いえ、その前にそんな申し出をしてくる身の程知らずはいないけれど。
「アベル、木刀を。あれにも同じものを」
「はっ」
これまでは真剣だったけれど、さすがにリカード様相手ではそういうわけにはいかないわよね。そう思ったのだけど……
「侯爵、私も真剣でお願いしたい」
「怪我をするぞ」
「構わない。これでも学園の大会では入賞しているんだ」
どうやらリカード様は引く気はないらしい。それに自信もおありのようね。でも、ヴォルフ様相手にどこまで通じるかしら。
「はじめ!」
アベルの合図でヴォルフ様とリカード様の試合が始まった。ヴォルフ様はいつも通り、リカード様は真っ直ぐに構えてヴォルフ様に剣先を向けている。真剣な表情は陛下に似ているかしら?
「侯爵、構えないのか?」
「不要だ」
「っ!」
馬鹿にされたと思ったのかリカード様の表情が歪んだ。学園では騎士科に混じって鍛錬をしていて、剣の腕はなかなかのものらしい。だけど、ヴォルフ様には及ばないわ。強さの次元が違うもの。
皆が見守る中、リカード様がヴォルフ様の頭上に真剣を振り下ろした。
そして私も……久しぶりの共寝は空虚さに占領されていた心を満たしてくれた。朝もよ。いつもは先に起きてしまわれるけれど、今朝は起こしてくださった。昨夜、鍛錬を一緒にと願ったのを忘れないでいてくれたことにまた心が温かくなった。
翌朝、ヴォルフ様と共に騎士棟に向かった。ゾルガー邸の北棟は騎士たちのために用意されたもので騎士棟と呼ばれている。三階建てで装飾など一切ない建物は頑強な石造りで、窓は他の棟に比べて小さく、有事には籠城も出来るようになっているとか。これまでにそんな事態が起きたことはないけれど、いつでも対処できるよう定期的な訓練が行われているのだとか。
ゾルガーの上官用の騎士服を纏ってヴォルフ様と並んで歩く。後ろには同じ騎士服のアベルとブレン、平騎士の服を来たロッテが続く。朝の鍛錬をしている庭に姿を現すと皆の動きが止まった。
「だ、旦那様!」
誰かがそう声を上げると、皆が一斉にヴォルフ様の下に馳せ参じて並ぶ。隙のない統制のとれたそれは日ごろの訓練の賜物ね。
「お戻りでしたか」
「ああ、世話をかけた。訓練を続けろ」
「はっ!」
素っ気なく返されたけれど誰の目も期待に輝いていた。その理由は多分私と同じね。ヴォルフ様が鍛錬するお姿を一目でもとこの場にいる者なら思うもの。多くの者はヴォルフ様の強さに惹かれてここにいるのだから。
彼らの様子を暫く眺めた後でヴォルフ様が向かったのは、見習い騎士たちがいる一角だった。そこにはかつらを被ったリカード様とハンス様がいて、既に走り込みを終えて筋肉を鍛えるための運動を繰り返していた。周囲の者たちがヴォルフ様の姿を見つけて視線をこちらに向けると、彼らも程なくしてこちらに気付いて目を丸くした。一瞬の後、リカード様は目をそらし、ハンス様は怯えるような視線を向けてきたわ。私には傍若無人に振舞っても、ヴォルフ様は怖いらしい。
「朝食を終えたら執務室に来い」
二人の前に立ったヴォルフ様はそれだけを告げると、お二人は少し間を置いてから「はい」と小声で答えた。周りの者たちが当主直々に声をかけられたことに驚いているし、当人たちは叱られると思ったのか顔色を失っているわ。
ヴォルフ様はそれだけを言い終えると、アベルとブレンを伴い鍛錬場を大きく囲むように走り込む騎士たちに混じって駆けだした。無表情で淀みなく走り続けるヴォルフ様。相変わらずお早いわね。早くもブレンが置いていかれている。アベルは必死に食らいついているのはさすがね。それでも周を重ねるごとにその差が開いていく。
体力が人並外れていらっしゃるわね。身体が大きいだけでなく頑丈で、その上で騎士見習いの頃からずっと鍛錬を欠かさなかったせいかしら。領邸では身を守るためにあらゆる武術を叩き込まれたと仰っていたからその恩恵もありそうね。アベルが半周ほど遅れた頃に走りを止めると、上着を脱ぎながらこちらへ歩いてこられた。
「持っていてくれ」
そういって上着を差し出された。ずしりとした重さを感じるわ。私と同じデザインだけど大きさが違うから重さも違う。シャツだけになったヴォルフ様。額にはうっすらと汗が浮かび、それが何とも言えない艶を醸し出している……嫌だわ、どうして昨夜のことを思い出してしまったのかしら……朝から不謹慎だと頭を振って頭に浮かんだそれを振り払った。うう、ロッテに不審がられていないかしら……
「旦那様、ぜひ手合わせを!」
「いいだろう」
不埒な自分を反省している間に、ヴォルフ様はアベルに剣の稽古をせがまれていた。ヴォルフ様が是と答えると周りにいた騎士からワッと歓声が上がった。皆ヴォルフ様の剣技を見たくて仕方がないのよね。私もその一人。だって流れるような剣捌きは剣舞のようでため息が出てしまうほど素敵なのだから。
アベルとヴォルフ様が向かい合って立つ。二人が手にしているのは真剣で、アベルが手にするそれは普通のものよりも長いもの。一方のヴォルフ様は逆に短い。長いと隙が出来るからだと仰っていたわ。アベルもそれを真似て一時は短めのものを使ったけれど、彼には合わなかったらしく今は逆に長いものを好んでいる。
ヴォルフ様は相変わらず剣を地に向けたまま佇んでいらっしゃる。対するアベルは胸の前で剣を両手で持ち、剣先を真っ直ぐヴォルフ様に向けている。アベルからは激しい闘気を感じる一方、ヴォルフ様はいつも通りの無表情のままだわ。
緊迫した空気を切り裂いて先に動いたのはアベルだった。真っ直ぐに剣先をヴォルフ様に向けて一気に突き進む。狙ったのはヴォルフ様の心臓の辺りかしら? それをヴォルフ様は身体をずらしで躱したけれど、そこにアベルの剣が再び襲い掛かった。剣がぶつかり滑る音が響く。ヴォルフ様は的確にアベルの剣先を避けている。私だったらとっくに串刺しかしら?
長いようであっという間の後、剣を手に立っていたのはヴォルフ様だった。アベルは利き手を摩りながらその場に立ち、彼の剣は左後方の地面に横たわっていた。
「しょ、勝者旦那様!」
立ち合い人の騎士が声を上げると歓声がそれに続いた。「さすがは旦那様!」「やはりお強い!」「アベルは何連敗目だ?」といった声があちこちから上がってくる。
「あ~あ、また負けました」
「前より見切りはよくなっている」
「あ、ありがとうございます!」
しおれていたアベルがヴォルフ様の一言でパッと顔を輝かせた。こういうところが忠犬と言われるのよね。それでも陰に籠らない彼の明るい気性は好ましいわ。
それからは次々と騎士がヴォルフ様との手合わせを願い、ヴォルフ様がそれに応えた。最近鍛錬をしていなかったとは思えないほど動きは機敏だし、何人を相手にしても息を切らしていない。もうさすがとしか言いようがないわ。
「……お凄いですね、旦那様は……」
「ええ、とっても雄々しくて素敵だわ」
勝ち続ける夫から目が離せない。額からは時折汗が流れて、それが何とも言えない色気を醸し出しているわ。薄いシャツが汗のせいか身体にくっついて筋肉がその存在を主張しているし。こんなの、夫人たちが見たら黄色い悲鳴を上げるわよね。嫌だわ、ヴォルフ様の人気が高まってしまう。この光景は絶対に他の人には見せられないわ。
その時だった。茶の髪をした少年が人の間から現れた。あれって……
「侯爵、私とも手合わせをお願いしたい」
少年の願いに騎士たちが怪訝な表情を浮かべた。周りの者が「おい、無礼だぞ」「お前にはまだ早い」と諫める。見習いがヴォルフ様と手合わせを願うなんてあり得ないから周囲の視線が冷たいわ。それでなくても彼らのこれまでの行いは広く知られ、ひんしゅくを買っているのだから。
「いいだろう」
「旦那様?」
ヴォルフ様が是と答えると、周囲の者が驚きを露にした。いつもなら相手になさらないわよね。いえ、その前にそんな申し出をしてくる身の程知らずはいないけれど。
「アベル、木刀を。あれにも同じものを」
「はっ」
これまでは真剣だったけれど、さすがにリカード様相手ではそういうわけにはいかないわよね。そう思ったのだけど……
「侯爵、私も真剣でお願いしたい」
「怪我をするぞ」
「構わない。これでも学園の大会では入賞しているんだ」
どうやらリカード様は引く気はないらしい。それに自信もおありのようね。でも、ヴォルフ様相手にどこまで通じるかしら。
「はじめ!」
アベルの合図でヴォルフ様とリカード様の試合が始まった。ヴォルフ様はいつも通り、リカード様は真っ直ぐに構えてヴォルフ様に剣先を向けている。真剣な表情は陛下に似ているかしら?
「侯爵、構えないのか?」
「不要だ」
「っ!」
馬鹿にされたと思ったのかリカード様の表情が歪んだ。学園では騎士科に混じって鍛錬をしていて、剣の腕はなかなかのものらしい。だけど、ヴォルフ様には及ばないわ。強さの次元が違うもの。
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