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第四部
逃げる?
兄様が不安そうに瞳を揺らした。きっと心から心配してくれているのでしょうね。だけど逃げる方が危険だわ。それに私は今この屋敷を任されているから逃げるなんて選択肢はない。ティオが何か言いたげにしているのを視線で制する。気持ちはわかるわ。だけど兄様からまだ得ていない情報があるかもしれない。
「ご心配なく、兄様。ゾルガーの騎士は強いわ」
既に騎士も使用人も持ち場に就いて襲撃に備えている。
「だけどイルーゼ、相手は実戦経験がある傭兵だぞ。確かにゾルガー家は国内有数の資産家だが、軍務が専門じゃないだろう? 実際先々王様との軋轢で力を失ったじゃないか」
「そうね、確かに先々王様の御代でかなりの力を失ったわ」
それに関しては否定しないわ。
「そうだろう? だから早くここを離れた方がいい。でないと君も子どもたちも……」
「いいえ、私はここを離れないわ」
「イルーゼ?」
「そもそも、どこに逃げるの? ここより安全だと?」
この国を長く離れていた兄様にそんな伝手があるとは思えないわ。
「ああ。場所は言えないがとある貴族の別邸だ。そこで嵐が去るまで身を隠す」
「別邸ですか。どなたの別邸? そこに騎士はいますの?」
「誰とは言えないが当主を務めた方が晩年療養に使っていたものだ。なんの縁もない君だから身を隠しても誰も気づかない」
それならゾルガーが持つ別邸で済むわ。王都にはいくつもそんな屋敷があるもの。だけど、ここには王宮に匹敵するほどの武器と精鋭の騎士が揃っているし、庭のあちこちには侵入者向けの罠が張り巡らされている。ここより安全とは思えないわ。
「だったらここで十分です」
「イルーゼ、君は現実を知らなさすぎる! このままじゃ君は……」
「現実を見ていないのは兄様の方ではありませんか? 兄様はゾルガーの何をご存じですの?」
兄様は知らないのね、ゾルガーの強さを。兄様が文官になった十二年前、ヴォルフ様は当主となられた。それから二年後に兄様は国を離れていたからゾルガー家が力を取り戻したことを知らなくても仕方がない。
「その慢心が危険だと言っているんだよ。イルーゼ、ここを離れるんだ。わざわざ危険だとわかっている場に残る必要はない」
「子どもたちは? あの子たちを置いては行けませんわ」
「それも何とかする」
その言い方だと子どもたちはついでのようね。だったら当てに出来ないわ。兄様に我が家に匹敵するほどの伝手があるようには思えないし、ここにいれば少なくとも子どもたちは守れる。屋敷が焼け落ちてもあの子たちを守る手立ては出来ているから。
「イルーゼ、急ごう。奴らは暗くなったら……」
「いいえ、参りませんわ」
「……え?」
兄様の話をこれ以上聞きたくなくて言葉を遮った。それはゾルガー侯爵夫人としての私を否定するものに聞こえたから。一人だけ逃げ出すなんて論外だけど、兄様は私が断ったのが信じられないのか、呆然と私を見ていた。どうして共に行くと思ったのかしら?
「イルーゼ、だけど!」
「兄様、私は私の責任を投げ出すつもりはありません」
「何を甘いことを!! こうしている間にも敵はやって来るんだぞ」
「ええ、わかっていますわ」
何も今回が初めてではないわ。これまでに何度もこの屋敷は襲われているもの。
「わかっていない! 君は守られているから現実を知らないんだ! 第一責任だなんて。君にこの家を動かす権限なんか……」
「ありますわ」
もういいわ、兄様は何も確かめずに想像で話しているだけなのね。
「夫と甥が不在の今、この屋敷を預かっているのは私です」
「ははっ、イルーゼ、何を言っているんだ。夫人にそんな権限は……」
「我が国は女性の爵位継承を認めていますわ。もっとも、それに関係なく夫は私を信じて任せてくださいます」
「イルーゼ、いい加減に……」
「失礼します!」
兄様が続けようとした言葉は、我が家の護衛騎士の声に遮られた。扉越しに投げられたその声は何かが起きたのだと察するには十分だった。ティオに向かって頷くと扉を開けた。現れたのは見知った顔だった。
「ルッツ、どうしたの?」
兄様が何か言いたそうにしているけれどそれを無視して尋ねた。彼がそばに来る間にお茶を口にする。ルッツは兄様に一礼するとそばまで来て跪いた。
「何者かが南門を突破しようと試みました」
「な!」
ティオもロッテも平然としている中、声を上げたのは兄様だった。
「そう。それで?」
「敵は十ほど。来客のため解放していた南門を狙われましたが退けました。負傷者はおりません。今は門を閉ざしております」
「そう」
私が戻ってからすべての門を閉じていた。兄様が来たから開けたけれど、そこを狙ったのね。だったら……
「ち、違う! 俺は何も知らない!」
兄様が慌てて首を振った。責任を感じているのなら兄様は襲撃犯の仲間ではないのかしら? オスヴィン様が逃がしてくれたと言っていたわ。それは門を開けるため? 利用されただけかしら?
「ルッツ、警戒を続けて。再び侵入を試みた者は生け捕りを。だけど無理そうなら切り捨てて構わないわ」
「かしこまりました」
ルッツが一礼すると部屋を出ていった。
「イルーゼ、信じてくれ。俺は何も……」
「わかっているわ、兄様。だけどこうなってはしばらくここに留まっていただくわ。ティオ、部屋を用意してくれる?」
「かしこまりました」
「待ってくれ、イルーゼ。俺は……」
「兄様、嫌なら帰ってくれて構わないわ。安全は保障出来ないけれど」
もしオスヴィン様が兄様を利用したのなら、ここを出たらどうなるかわからない。共にサザールに逃げるか、それとも……この屋敷に留まるのは兄様への恩があるから。実家で冷遇されていた私に優しくしてくれた人だから。
「……俺を、疑っているのか?」
兄様が力なく背を丸めてソファに沈んだ。
「申し訳ないけれど、この屋敷を預かる者として兄様を野放しに出来ないわ。監視を付けます」
そう告げると再び驚きを顔に載せた。ここに来た時よりも一層精彩を欠いているように見える。不思議ね、記憶の中の兄様はいつだって頼れる存在だったのに。
「……わかったよ。俺に、選択肢はないんだろう?」
「ここを出た後、実家に向かわれては困るわね」
「実家か……」
「もちろん、実家にも騎士を遣っているわ」
「抜かりはないんだな」
「ええ」
我が家の、私の弱みになるものはすべて把握して対策してあるわ。実家はその最たるもので、王家と我が家の騎士がそれとなくあの家を守っている。屋敷の中にはゾルガーの手の者が入り込んでいるし、お義姉様や父にも警戒するように伝えてある。家格が上の家と縁を繋げるのは家の発展になるけれど、一方で大きな危険も引き寄せるのだから。
「……変わったな、君は」
「ええ。昔の私はもういないわ。あのまま実家で見下されて生きるのはごめんだと、手を伸ばして自分で掴みに行ったの」
「そう、か……もう俺の手は必要なかったんだな」
兄様が両手で顔を覆って項垂れた。そうね、昔の私には何の力もなくて、両親と兄姉にいいように利用されていた。ハリマン様と婚姻しても姉との関係を続けると宣言されて見限ったわ。そしてヴォルフ様に自分を売り込んだ。懐かしいわね、あの時の勇気は無駄にならなかった。
「そうね」
「……これでよかったんだな。君がゾルガーに嫁いだのは、フィリーネが何か問題を起こしてその身代わりだと思っていたんだ。だからここで辛い思いをしているのかと……」
「まぁ、誰がそんなことを? お義姉様だったらそんな風に言ったりしないと思いますけれど」
お義姉様と話をしていたらこんな勘違いはしなかったでしょうね。だったら兄かしら? まぁ、兄様がお義姉様と二人で話をするなんてあり得ないわね。お義姉様は常識的な方だから男性と二人きりになんて絶対にならないでしょうから。
「ありがとう、兄様。私はもう大丈夫よ。今とても幸せなの」
自ずと笑みが浮かび、そんな私を見て兄様が僅かに驚きを見せた。心配してくれる兄様の気持ちは嬉しいけれど、私はもうあの頃の子供じゃないし、今は本当に幸せだから心配しないでほしい。
- - - - -
いつも読んでくださってありがとうございます。
これまでは土日祝も更新していましたが、ストックがなく、またストーリーを
考える時間が思うように取れないため、今後は基本的にお休みとします。
申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。
1/9 22:30追記:休むのは土日祝です。13日には帰ってきます。
「ご心配なく、兄様。ゾルガーの騎士は強いわ」
既に騎士も使用人も持ち場に就いて襲撃に備えている。
「だけどイルーゼ、相手は実戦経験がある傭兵だぞ。確かにゾルガー家は国内有数の資産家だが、軍務が専門じゃないだろう? 実際先々王様との軋轢で力を失ったじゃないか」
「そうね、確かに先々王様の御代でかなりの力を失ったわ」
それに関しては否定しないわ。
「そうだろう? だから早くここを離れた方がいい。でないと君も子どもたちも……」
「いいえ、私はここを離れないわ」
「イルーゼ?」
「そもそも、どこに逃げるの? ここより安全だと?」
この国を長く離れていた兄様にそんな伝手があるとは思えないわ。
「ああ。場所は言えないがとある貴族の別邸だ。そこで嵐が去るまで身を隠す」
「別邸ですか。どなたの別邸? そこに騎士はいますの?」
「誰とは言えないが当主を務めた方が晩年療養に使っていたものだ。なんの縁もない君だから身を隠しても誰も気づかない」
それならゾルガーが持つ別邸で済むわ。王都にはいくつもそんな屋敷があるもの。だけど、ここには王宮に匹敵するほどの武器と精鋭の騎士が揃っているし、庭のあちこちには侵入者向けの罠が張り巡らされている。ここより安全とは思えないわ。
「だったらここで十分です」
「イルーゼ、君は現実を知らなさすぎる! このままじゃ君は……」
「現実を見ていないのは兄様の方ではありませんか? 兄様はゾルガーの何をご存じですの?」
兄様は知らないのね、ゾルガーの強さを。兄様が文官になった十二年前、ヴォルフ様は当主となられた。それから二年後に兄様は国を離れていたからゾルガー家が力を取り戻したことを知らなくても仕方がない。
「その慢心が危険だと言っているんだよ。イルーゼ、ここを離れるんだ。わざわざ危険だとわかっている場に残る必要はない」
「子どもたちは? あの子たちを置いては行けませんわ」
「それも何とかする」
その言い方だと子どもたちはついでのようね。だったら当てに出来ないわ。兄様に我が家に匹敵するほどの伝手があるようには思えないし、ここにいれば少なくとも子どもたちは守れる。屋敷が焼け落ちてもあの子たちを守る手立ては出来ているから。
「イルーゼ、急ごう。奴らは暗くなったら……」
「いいえ、参りませんわ」
「……え?」
兄様の話をこれ以上聞きたくなくて言葉を遮った。それはゾルガー侯爵夫人としての私を否定するものに聞こえたから。一人だけ逃げ出すなんて論外だけど、兄様は私が断ったのが信じられないのか、呆然と私を見ていた。どうして共に行くと思ったのかしら?
「イルーゼ、だけど!」
「兄様、私は私の責任を投げ出すつもりはありません」
「何を甘いことを!! こうしている間にも敵はやって来るんだぞ」
「ええ、わかっていますわ」
何も今回が初めてではないわ。これまでに何度もこの屋敷は襲われているもの。
「わかっていない! 君は守られているから現実を知らないんだ! 第一責任だなんて。君にこの家を動かす権限なんか……」
「ありますわ」
もういいわ、兄様は何も確かめずに想像で話しているだけなのね。
「夫と甥が不在の今、この屋敷を預かっているのは私です」
「ははっ、イルーゼ、何を言っているんだ。夫人にそんな権限は……」
「我が国は女性の爵位継承を認めていますわ。もっとも、それに関係なく夫は私を信じて任せてくださいます」
「イルーゼ、いい加減に……」
「失礼します!」
兄様が続けようとした言葉は、我が家の護衛騎士の声に遮られた。扉越しに投げられたその声は何かが起きたのだと察するには十分だった。ティオに向かって頷くと扉を開けた。現れたのは見知った顔だった。
「ルッツ、どうしたの?」
兄様が何か言いたそうにしているけれどそれを無視して尋ねた。彼がそばに来る間にお茶を口にする。ルッツは兄様に一礼するとそばまで来て跪いた。
「何者かが南門を突破しようと試みました」
「な!」
ティオもロッテも平然としている中、声を上げたのは兄様だった。
「そう。それで?」
「敵は十ほど。来客のため解放していた南門を狙われましたが退けました。負傷者はおりません。今は門を閉ざしております」
「そう」
私が戻ってからすべての門を閉じていた。兄様が来たから開けたけれど、そこを狙ったのね。だったら……
「ち、違う! 俺は何も知らない!」
兄様が慌てて首を振った。責任を感じているのなら兄様は襲撃犯の仲間ではないのかしら? オスヴィン様が逃がしてくれたと言っていたわ。それは門を開けるため? 利用されただけかしら?
「ルッツ、警戒を続けて。再び侵入を試みた者は生け捕りを。だけど無理そうなら切り捨てて構わないわ」
「かしこまりました」
ルッツが一礼すると部屋を出ていった。
「イルーゼ、信じてくれ。俺は何も……」
「わかっているわ、兄様。だけどこうなってはしばらくここに留まっていただくわ。ティオ、部屋を用意してくれる?」
「かしこまりました」
「待ってくれ、イルーゼ。俺は……」
「兄様、嫌なら帰ってくれて構わないわ。安全は保障出来ないけれど」
もしオスヴィン様が兄様を利用したのなら、ここを出たらどうなるかわからない。共にサザールに逃げるか、それとも……この屋敷に留まるのは兄様への恩があるから。実家で冷遇されていた私に優しくしてくれた人だから。
「……俺を、疑っているのか?」
兄様が力なく背を丸めてソファに沈んだ。
「申し訳ないけれど、この屋敷を預かる者として兄様を野放しに出来ないわ。監視を付けます」
そう告げると再び驚きを顔に載せた。ここに来た時よりも一層精彩を欠いているように見える。不思議ね、記憶の中の兄様はいつだって頼れる存在だったのに。
「……わかったよ。俺に、選択肢はないんだろう?」
「ここを出た後、実家に向かわれては困るわね」
「実家か……」
「もちろん、実家にも騎士を遣っているわ」
「抜かりはないんだな」
「ええ」
我が家の、私の弱みになるものはすべて把握して対策してあるわ。実家はその最たるもので、王家と我が家の騎士がそれとなくあの家を守っている。屋敷の中にはゾルガーの手の者が入り込んでいるし、お義姉様や父にも警戒するように伝えてある。家格が上の家と縁を繋げるのは家の発展になるけれど、一方で大きな危険も引き寄せるのだから。
「……変わったな、君は」
「ええ。昔の私はもういないわ。あのまま実家で見下されて生きるのはごめんだと、手を伸ばして自分で掴みに行ったの」
「そう、か……もう俺の手は必要なかったんだな」
兄様が両手で顔を覆って項垂れた。そうね、昔の私には何の力もなくて、両親と兄姉にいいように利用されていた。ハリマン様と婚姻しても姉との関係を続けると宣言されて見限ったわ。そしてヴォルフ様に自分を売り込んだ。懐かしいわね、あの時の勇気は無駄にならなかった。
「そうね」
「……これでよかったんだな。君がゾルガーに嫁いだのは、フィリーネが何か問題を起こしてその身代わりだと思っていたんだ。だからここで辛い思いをしているのかと……」
「まぁ、誰がそんなことを? お義姉様だったらそんな風に言ったりしないと思いますけれど」
お義姉様と話をしていたらこんな勘違いはしなかったでしょうね。だったら兄かしら? まぁ、兄様がお義姉様と二人で話をするなんてあり得ないわね。お義姉様は常識的な方だから男性と二人きりになんて絶対にならないでしょうから。
「ありがとう、兄様。私はもう大丈夫よ。今とても幸せなの」
自ずと笑みが浮かび、そんな私を見て兄様が僅かに驚きを見せた。心配してくれる兄様の気持ちは嬉しいけれど、私はもうあの頃の子供じゃないし、今は本当に幸せだから心配しないでほしい。
- - - - -
いつも読んでくださってありがとうございます。
これまでは土日祝も更新していましたが、ストックがなく、またストーリーを
考える時間が思うように取れないため、今後は基本的にお休みとします。
申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。
1/9 22:30追記:休むのは土日祝です。13日には帰ってきます。
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