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はい?何ておっしゃいました?
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「レティシア=ラフォン。お前との婚約を破棄する!」
今日は学園の創立記念を祝うパーティー。そのおめでたい場を冒頭から個人的な事情で台無しにしたのは、この国の第三王子でもあるエルネスト様でした。彼はラフォン侯爵家の長女でもある私の婚約者でもあります。
案の定、祝いの場に相応しい熱気のこもった空気が、一気にブリザードが吹き荒れる厳冬へと逆戻りしました。それもそうでしょう。学園の創立記念日といえば、この学園にとっては卒業式と並ぶ一大イベント。この学園は貴族向けの学園の中でも最も難易度が高く、この日は在校生や卒業生、更にその家族が参加していて、ちょっとした舞踏会並みに盛大なのにそれを台無しにしたのです。学園の理事長は当然高位貴族で大変厳しい方と有名なだけに、貴族たちもあまりの暴挙に青ざめているように見えます。
「理由を伺っても?」
婚約破棄するのは大歓迎なのでこのまま了承してもいいのですが、ここは一応理由を聞かないといけないのでしょう。他の参加者も見ているし、相手は腐っても王族、無視するわけにもいきません。婚約者最後のお勤めですわね。
「お前は私の婚約者でありながら、笑顔一つも見せず、取り澄まして可愛げの欠片もない。私に歩み寄ろうとしないどころか、小難しい小言ばかり。しかもドレスのセンスも悪く、厚化粧で化粧臭い。だが、このアネットは愛らしく、常に私を立て、飾らない笑顔で私を癒してくれる。私は人形のようなお前との結婚など真っ平だ」
今の私の外見は縦ロールにした水色の髪と、氷のようだと言われる薄水色の瞳で、全体的に寒々しい色合いです。王子妃として感情を表に出すなと言われていますし、所作も厳しく指導されたおかげで王妃様以上と陰で言われています。そのお陰で、確かに年よりも大人びて可愛げがないのは私も認めるところですが…
この見た目は、大人っぽい女性が好みだという殿下のため、殿下を溺愛する王妃様が派遣した侍女達が作ったものです。そこには私の好みなんて欠片も反映されていません。殿下の理想に近づけるべく、年々メイクが濃くなるもの私のせいではないでしょう。
しかし…今の殿下を見ていると、殿下の好みはあのアネット様みたいな女性、みたいですわね。それって王妃様のリサーチが間違っていたのでは?そんな疑問が浮かびましたが、それも今となってはもうどうでもいいです。
歩み寄ろうにも日中は学園に通い、殿下と一緒に過ごせる時間は放課後か休みの日だけです。その時間も王子妃教育や何やで王宮に呼ばれ、殿下との交流する暇なんかなかったのですけど…小言だって、殿下がいい年して王子としてどうかと思われる言動を繰り返すからで、私だって言いたくて言ったわけではありません。半分は王妃様からも注意しろと言われたから言っていただけです。
それに、殿下だって婚約者がいるというのに、腕にぶら下がっている女性、アネット=メルレ男爵令嬢と懇意になられました。私との約束を無視して彼女と過ごしていたのは、貴族社会でも周知の事実です。学園では殿下とアネット様は真実の愛で結ばれていて、私は二人の間を引き裂く悪役令嬢だと言われています。浮気された方が悪役だなんて、理解に苦しむのは私だけでしょうか…
アネット様は私の一つ上で殿下と同じ十八歳。男爵家の二女で、髪も目もピンクという、水色で揃った私とは正反対の色彩の持ち主です。つぶらな瞳と庇護欲をそそる顔立ち、真っすぐで艶々な髪、そしてさすがにその年でそれは子供っぽいのでは?と思いたくなる、幼女のような所作。王都一の美少女とも言われているアネット様はまた、数多の婚約を壊した婚約クラッシャーとしても有名です。
「アネットこそが私の真実の愛の相手だ。私はアネットと婚約する!お前の家のごり押しで成された婚約などこの場で破棄する!」
今日は学園の創立記念を祝うパーティー。そのおめでたい場を冒頭から個人的な事情で台無しにしたのは、この国の第三王子でもあるエルネスト様でした。彼はラフォン侯爵家の長女でもある私の婚約者でもあります。
案の定、祝いの場に相応しい熱気のこもった空気が、一気にブリザードが吹き荒れる厳冬へと逆戻りしました。それもそうでしょう。学園の創立記念日といえば、この学園にとっては卒業式と並ぶ一大イベント。この学園は貴族向けの学園の中でも最も難易度が高く、この日は在校生や卒業生、更にその家族が参加していて、ちょっとした舞踏会並みに盛大なのにそれを台無しにしたのです。学園の理事長は当然高位貴族で大変厳しい方と有名なだけに、貴族たちもあまりの暴挙に青ざめているように見えます。
「理由を伺っても?」
婚約破棄するのは大歓迎なのでこのまま了承してもいいのですが、ここは一応理由を聞かないといけないのでしょう。他の参加者も見ているし、相手は腐っても王族、無視するわけにもいきません。婚約者最後のお勤めですわね。
「お前は私の婚約者でありながら、笑顔一つも見せず、取り澄まして可愛げの欠片もない。私に歩み寄ろうとしないどころか、小難しい小言ばかり。しかもドレスのセンスも悪く、厚化粧で化粧臭い。だが、このアネットは愛らしく、常に私を立て、飾らない笑顔で私を癒してくれる。私は人形のようなお前との結婚など真っ平だ」
今の私の外見は縦ロールにした水色の髪と、氷のようだと言われる薄水色の瞳で、全体的に寒々しい色合いです。王子妃として感情を表に出すなと言われていますし、所作も厳しく指導されたおかげで王妃様以上と陰で言われています。そのお陰で、確かに年よりも大人びて可愛げがないのは私も認めるところですが…
この見た目は、大人っぽい女性が好みだという殿下のため、殿下を溺愛する王妃様が派遣した侍女達が作ったものです。そこには私の好みなんて欠片も反映されていません。殿下の理想に近づけるべく、年々メイクが濃くなるもの私のせいではないでしょう。
しかし…今の殿下を見ていると、殿下の好みはあのアネット様みたいな女性、みたいですわね。それって王妃様のリサーチが間違っていたのでは?そんな疑問が浮かびましたが、それも今となってはもうどうでもいいです。
歩み寄ろうにも日中は学園に通い、殿下と一緒に過ごせる時間は放課後か休みの日だけです。その時間も王子妃教育や何やで王宮に呼ばれ、殿下との交流する暇なんかなかったのですけど…小言だって、殿下がいい年して王子としてどうかと思われる言動を繰り返すからで、私だって言いたくて言ったわけではありません。半分は王妃様からも注意しろと言われたから言っていただけです。
それに、殿下だって婚約者がいるというのに、腕にぶら下がっている女性、アネット=メルレ男爵令嬢と懇意になられました。私との約束を無視して彼女と過ごしていたのは、貴族社会でも周知の事実です。学園では殿下とアネット様は真実の愛で結ばれていて、私は二人の間を引き裂く悪役令嬢だと言われています。浮気された方が悪役だなんて、理解に苦しむのは私だけでしょうか…
アネット様は私の一つ上で殿下と同じ十八歳。男爵家の二女で、髪も目もピンクという、水色で揃った私とは正反対の色彩の持ち主です。つぶらな瞳と庇護欲をそそる顔立ち、真っすぐで艶々な髪、そしてさすがにその年でそれは子供っぽいのでは?と思いたくなる、幼女のような所作。王都一の美少女とも言われているアネット様はまた、数多の婚約を壊した婚約クラッシャーとしても有名です。
「アネットこそが私の真実の愛の相手だ。私はアネットと婚約する!お前の家のごり押しで成された婚約などこの場で破棄する!」
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