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私が正真正銘のレティシアです
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「ええっ?!!」
「まぁ…」
マルロー子爵家の皆様は、正に驚愕!と言わんばかりに私を繁々と見つめられました。人に見られるのは慣れていますが…リシャール様にこうも見つめられると、私は心臓が口から出るのではないかと思うほどにドキドキしてしまいました。マズいです、このまま心臓が止まってしまいそうですわ…
「レ、レティシア様?でも、あの方はもっと…」
「え、ええ…確かお嬢様は縦ロールがトレードマークで…」
「髪も瞳のお色も、確かに噂にお聞きしているお色でいらっしゃいますが…」
やはり私のあまりの変わり様に、皆様、直ぐに私だとは思えないのですね。でも、それも仕方ありませんわね。今時縦ロールの令嬢など私くらいしかいませんでしたし、あの衣装やメイクでは残念度合いが十割増しでは済みませんもの…
「ええ、今までのレティシアは王妃様が遣わした侍女達によって、王妃様のご意向に沿った服装とメイクをしていたのですよ」
「王妃様が…」
「そうですの。なんでもエルネスト殿下のお好みに沿った物だとか」
「それでは、あの縦ロールも…」
「ええ、エルネスト様好みの大人っぽい雰囲気にするためにしておりましたの」
お母様が子爵の質問に答えましたが、その声色は段々険を帯びてきました。あの悪趣味な衣装もメイクも、お母様はずっと腹立たしく思っていたのですよね。手にしていた扇がギリギリと音を立てていますが…
(お母様…こんな場で扇を折ったりしないでくださいね。リシャール様に怖がられてしまいますから…)
私はひやひやしながらお母様の扇をチラチラと確認しました。
「さ、左様でございましたか…それでは、今のお姿が、本来のレティシア様のお姿だと?」
「ええ、そうですわ。親の私が言うのもなんですが、こんなに可愛いのにあんなにも悪趣味な姿にされて…ずっと口惜しく思っておりましたの」
「そうですか…いえ、ですが確かに仰る通りでございますね。こんなにお可愛らしいのに、勿体ない…」
どうやら子爵家の皆様は、私が本物のレティシアだと分かって頂けたようです。この姿を家族以外に見せるのは初めてなので凄く緊張していましたが、どうやらいい意味で驚かれたようです。前の方がよかったなどと言われなくて本当に良かったですわ。
「し、しかし…我が家はしがない子爵家、しかもリシャールは三男で継ぐ爵位もございません。さすがにお嬢様のお相手としては物足りないかと…」
「それは承知の上です」
「左様ですか。ではどうして息子なのでしょうか?他にもお嬢様に相応しいお相手はいくらでもいるでしょう。婚約も殿下有責と伺っております。でしたらお嬢様の傷にもならないでしょうに」
婚約が解消されたのは昨日だというのに、子爵はもう殿下有責で破棄したとご存じなのですね。さすがは大商人、情報が早くていらっしゃいますわ。でも、その婚約破棄騒動に巻き込まれたのはマルロー家も同じですから、そこからお調べになったのでしょうね。
「今回の話は、娘のたっての希望なのです。是非リシャール殿を婿に、と」
「な…?」
お、お父様!そこで私の希望だなんて言ったら、恥ずかしいじゃありませんか!驚きの表情を露わにしたリシャール様の視線に、私は顔に熱が集まるのを感じて、恥ずかしさにふっと顔を逸らしてしまいました。
「まぁ…」
マルロー子爵家の皆様は、正に驚愕!と言わんばかりに私を繁々と見つめられました。人に見られるのは慣れていますが…リシャール様にこうも見つめられると、私は心臓が口から出るのではないかと思うほどにドキドキしてしまいました。マズいです、このまま心臓が止まってしまいそうですわ…
「レ、レティシア様?でも、あの方はもっと…」
「え、ええ…確かお嬢様は縦ロールがトレードマークで…」
「髪も瞳のお色も、確かに噂にお聞きしているお色でいらっしゃいますが…」
やはり私のあまりの変わり様に、皆様、直ぐに私だとは思えないのですね。でも、それも仕方ありませんわね。今時縦ロールの令嬢など私くらいしかいませんでしたし、あの衣装やメイクでは残念度合いが十割増しでは済みませんもの…
「ええ、今までのレティシアは王妃様が遣わした侍女達によって、王妃様のご意向に沿った服装とメイクをしていたのですよ」
「王妃様が…」
「そうですの。なんでもエルネスト殿下のお好みに沿った物だとか」
「それでは、あの縦ロールも…」
「ええ、エルネスト様好みの大人っぽい雰囲気にするためにしておりましたの」
お母様が子爵の質問に答えましたが、その声色は段々険を帯びてきました。あの悪趣味な衣装もメイクも、お母様はずっと腹立たしく思っていたのですよね。手にしていた扇がギリギリと音を立てていますが…
(お母様…こんな場で扇を折ったりしないでくださいね。リシャール様に怖がられてしまいますから…)
私はひやひやしながらお母様の扇をチラチラと確認しました。
「さ、左様でございましたか…それでは、今のお姿が、本来のレティシア様のお姿だと?」
「ええ、そうですわ。親の私が言うのもなんですが、こんなに可愛いのにあんなにも悪趣味な姿にされて…ずっと口惜しく思っておりましたの」
「そうですか…いえ、ですが確かに仰る通りでございますね。こんなにお可愛らしいのに、勿体ない…」
どうやら子爵家の皆様は、私が本物のレティシアだと分かって頂けたようです。この姿を家族以外に見せるのは初めてなので凄く緊張していましたが、どうやらいい意味で驚かれたようです。前の方がよかったなどと言われなくて本当に良かったですわ。
「し、しかし…我が家はしがない子爵家、しかもリシャールは三男で継ぐ爵位もございません。さすがにお嬢様のお相手としては物足りないかと…」
「それは承知の上です」
「左様ですか。ではどうして息子なのでしょうか?他にもお嬢様に相応しいお相手はいくらでもいるでしょう。婚約も殿下有責と伺っております。でしたらお嬢様の傷にもならないでしょうに」
婚約が解消されたのは昨日だというのに、子爵はもう殿下有責で破棄したとご存じなのですね。さすがは大商人、情報が早くていらっしゃいますわ。でも、その婚約破棄騒動に巻き込まれたのはマルロー家も同じですから、そこからお調べになったのでしょうね。
「今回の話は、娘のたっての希望なのです。是非リシャール殿を婿に、と」
「な…?」
お、お父様!そこで私の希望だなんて言ったら、恥ずかしいじゃありませんか!驚きの表情を露わにしたリシャール様の視線に、私は顔に熱が集まるのを感じて、恥ずかしさにふっと顔を逸らしてしまいました。
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