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…何を話せばいいのでしょう?
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「素晴らしいお庭ですね」
「…そう言って頂けると…嬉しいです」
私は今、リシャール様と二人で、我が家の庭を散策していました。あの後話し合いが続きましたが、一段落したところで、リシャール様を庭に案内して差し上げなさい、とお母様に言われて追い出されてしまったのですよね。
お母様は庭で過ごすのが大好きなので、お父様は庭の手入れには殊の外力を入れているし、そんな両親の影響で私もこの庭で過ごすのが好きなのだけど…
(な、何を話せばいいのよ―――!!!)
私の心の中は、絶賛大嵐です。元よりエルネスト様の婚約者になってからは、お父様とお兄様、エルネスト様と教師の方々以外の男性と話をする機会など殆どなかったのです。なのにいきなり二人きりで…こんな時、どんな会話を振るのが適切なのでしょうか…
チラ、と盗むように隣を歩くリシャール様を見ると、背が高くて細身に見えますが身体つきは殿下よりもずっとしっかりしていて、大人の男性なのだと実感してしまいます。それに、着ている服もお洒落で質もいいですし、何でしょうか、とてもいい匂いがします。
(いい匂いって…な、何考えているのよ、私…)
自分で自分の思考に戸惑うばかりですし、何よりも恥ずかしくて居たたまれません。そうしている間に、私のお気に入りの四阿まで来たので、そこでお茶を頂く事にしました。
コレットがお茶を淹れてくれて、私達から少し離れた場所まで下がりましたが、私は何と声をかけていいのかわからずに戸惑っていました。ち、沈黙で息が苦しいのですが…何と声をかけていいのかさっぱりわかりません。
(うう、どうしたらいいのよ…コレット助けて…)
そう思ってコレットに視線を向けたけれど、彼女は離れたところで、笑いをこらえきれないような表情で立っています。うう、絶対に私の様子を面白がっているわね…
「あの、ラフォン侯爵令嬢」
「は、はいっ!」
どうしようかと心の中で七転八倒中の私は、急に声をかけられて、思わず大きな声が出てしまいました。こんな時に大きな声を出してしてしまうなんて…は、恥ずかしすぎます…チラ、とリシャール様の様子を伺うと、あちらも戸惑いを隠しきれないご様子です。麗しいお顔を直視しようと思うのですが、心臓がドキドキしてとても耐えられそうにありません。
「その、ラフォン侯爵令嬢はどうして私を?これまでにお会いした覚えはありませんが…」
リシャール様が穏やかな声でそう尋ねられました。うう、やはりそう来ますわよね。誰だって面識もないのに急に婚約を望まれたらそう思うでしょう。しかも私達は家格の差があり過ぎるうえ、接点はないに等しいのですから。
「…そう言って頂けると…嬉しいです」
私は今、リシャール様と二人で、我が家の庭を散策していました。あの後話し合いが続きましたが、一段落したところで、リシャール様を庭に案内して差し上げなさい、とお母様に言われて追い出されてしまったのですよね。
お母様は庭で過ごすのが大好きなので、お父様は庭の手入れには殊の外力を入れているし、そんな両親の影響で私もこの庭で過ごすのが好きなのだけど…
(な、何を話せばいいのよ―――!!!)
私の心の中は、絶賛大嵐です。元よりエルネスト様の婚約者になってからは、お父様とお兄様、エルネスト様と教師の方々以外の男性と話をする機会など殆どなかったのです。なのにいきなり二人きりで…こんな時、どんな会話を振るのが適切なのでしょうか…
チラ、と盗むように隣を歩くリシャール様を見ると、背が高くて細身に見えますが身体つきは殿下よりもずっとしっかりしていて、大人の男性なのだと実感してしまいます。それに、着ている服もお洒落で質もいいですし、何でしょうか、とてもいい匂いがします。
(いい匂いって…な、何考えているのよ、私…)
自分で自分の思考に戸惑うばかりですし、何よりも恥ずかしくて居たたまれません。そうしている間に、私のお気に入りの四阿まで来たので、そこでお茶を頂く事にしました。
コレットがお茶を淹れてくれて、私達から少し離れた場所まで下がりましたが、私は何と声をかけていいのかわからずに戸惑っていました。ち、沈黙で息が苦しいのですが…何と声をかけていいのかさっぱりわかりません。
(うう、どうしたらいいのよ…コレット助けて…)
そう思ってコレットに視線を向けたけれど、彼女は離れたところで、笑いをこらえきれないような表情で立っています。うう、絶対に私の様子を面白がっているわね…
「あの、ラフォン侯爵令嬢」
「は、はいっ!」
どうしようかと心の中で七転八倒中の私は、急に声をかけられて、思わず大きな声が出てしまいました。こんな時に大きな声を出してしてしまうなんて…は、恥ずかしすぎます…チラ、とリシャール様の様子を伺うと、あちらも戸惑いを隠しきれないご様子です。麗しいお顔を直視しようと思うのですが、心臓がドキドキしてとても耐えられそうにありません。
「その、ラフォン侯爵令嬢はどうして私を?これまでにお会いした覚えはありませんが…」
リシャール様が穏やかな声でそう尋ねられました。うう、やはりそう来ますわよね。誰だって面識もないのに急に婚約を望まれたらそう思うでしょう。しかも私達は家格の差があり過ぎるうえ、接点はないに等しいのですから。
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