【完結】悪役令嬢だって真実の愛を手に入れたい~本来の私に戻って初恋の君を射止めます!

灰銀猫

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マルロー子爵の訪問

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 それから二日後、マルロー子爵から近々訪問したいとの連絡がありました。いったん持ち帰った婚約のお返事の事でしょう。あれから十日近く経ちましたが、普通このような話は受ける際は返事が早く、断る場合は遅いのが常です。そうして暗に断ると匂わしてワンクッション置いてから断りの返事を入れるのが王道なのです。

(五日経った時点で覚悟はしていたけれど…)

 いい返事が頂けないのを予感して、私は気持ちが沈むのを止められませんでした。




 それから三日後の休日、マルロー子爵一家がお見えになりました。お父様もお母様も答えを予測しているのでしょう、表情はいつも通りですが、いつもよりも口数が少なく感じます。私も沈む気持ちを抑えるのが精一杯で、気が付けばため息ばかりついていました。

「もう、お嬢様!辛気臭いですわ!」
「コレット…」
「一度や二度断られたって諦めない!と仰っていたのはうそですか!」
「そんな訳じゃ…」
「だったら!シャキッとして下さい、シャキッと!マルロー様が他の女性と懇ろになってもいいんですか?」
「嫌よそんなの!いいわけないわ!」
「だったら、最初から負けてどうするんですか?」
「そう、ね」

 そうでした。私の事を何も知らないのに断られるなんて納得出来ませんわね。それでなくても私に関しては、根も葉もない噂が広がっているのです。お父様やお母様が火消しをして下さっていますが、未だに根拠のない噂を信じたがる人は多いのです。

「さ、お嬢様。まずは戦闘服に着替えますわよ!」
「戦闘服?」
「勝負服とも言いますわね。女性にとって衣装は戦いのための衣装ですのよ」

 そう言ってコレットが着替えさせてくれました。今日は明るめの淡い緑色のシンプルで上質な生地のワンピースです。ここはあまりゴテゴテしたものよりも品がよく見えるものの方がよさそうです。髪はサイドを編み込んで後ろで一つに結び、ワンピースと同じリボンで結びました。これまでの噂を払拭するように清潔感を重視したコーディネートになりました。さすがコレットですわ。




 マルロー子爵とリシャール様は、時間よりも少し早めに到着されました。馬車が止まる音がしてからは、私の心臓はドキドキしっぱなしで、答えが予想出来るせいでしょうか、緊張感から胃が痛くなりそうです。
 今日のリシャール様は深みのある濃緑と薄いグレーのご衣裳です。品のあるデザインはリシャール様の麗しいご容貌を素敵に引き立てていました。衣装と色を合わせたカフスリングなどの小物選びもセンスの良さがうかがえます。さすがは人気の服飾店のオーナー、こんな時だというのにうっとりしてしまいますわ。

 お父様とお母様の間に腰かけた私は、もう心臓が飛び出しそうな程にドキドキしています。一度や二度断られたくらいでは諦めない!とコレットに宣言しましたが…こうしてリシャール様を目の前にすると、その意気が早くも崩れてしまいそうです。
 お断りの返事になんか負けない!と心に決めていましたが…早くも泣きそうになる自分を私は必死に叱咤しました。


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