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迷惑な客
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私の親友だと叫ぶ女性の声に、私は思わずベルティーユ様と顔を見合わせてしまいましたが、その後も甲高い女性の声が聞こえてきます。リシャール様のお店で私の名を出して騒ぐなんて冗談ではありません。リシャール様も戻ってこないし、ベルティーユ様は興味津々でお店に戻ってしまい、一瞬迷いましたが後をついていきました。
そっと中を伺うと、店の真ん中で女性がセリアさんに向かって怒鳴り散らしているのが見えました。セリアさんは恐縮するばかりで、必死に女性を宥めようとしています。
怒鳴る女性は横顔しか見えませんが、ハニーブラウンの髪を持つまだ若い女性です。口調と言い立ち姿と言い、上位貴族ではない様に見えますわね。そもそも真っ当な貴族の女性なら店で大声を出すなんてありえませんが…
店内にはカップルが一組と、女性客が三組見えました。さすがに女性の剣幕に驚いたのか、距離を取って様子を見ています。
(他のお客様がいるというのに、何て事をしてくれるのよ!)
腹立たしいとはこういう事を言うのでしょう。リシャール様の大切なお店でこんな騒ぎを起こすなんて…
「なぁに、あれ。随分と品のない方ね」
「…ええ」
ベルティーユ様が隠すことなく不快感をあらわにしました。それもそうでしょう、せっかくいい買い物が出来たと喜んでいたところにこの騒ぎです。
「あなたの親友だと言っていたようだけど?」
「知らない方ですわ」
これまでにお会いした方の記憶を探りましたが、どなたもピンとくる方はいませんでした。横顔だけだからかもしれませんが、声も記憶にないのですよね。顔はお化粧でいかにも変わりますが、声はそうはいかないので、大抵の方は声を聴けばわかるのですが…
「失礼、どうなさいましたか?」
騒ぎ立てる女性の元にやってきたのは、リシャール様でした。先ほど奥に行かれたのですが、騒ぎを聞いて戻ってこられたようです。
「あ、あなたは…!」
「私はこの店のオーナーです。うちの者が何か失礼な事を致しましたでしょうか?」
「…え?あ、あの…」
リシャール様が柔らかい笑顔でそう尋ねると、女性はたちまち顔を赤らめて言い淀みました。うう、リシャール様のご尊顔に見とれていますが…先ほどまでそのリシャール様の店を貶めていたくせに腹立たしいですわ。
「あ、ああ、そう、この女性店員が、私に無礼な事を言ったのよ!」
「無礼とは?」
「しっ、支払いの事よ!今日はあいにく手持ちのお金がないから次回払うと言ったのに、ダメだというのよ。これまではそんな事言わなかったのに」
ああ、この方があのグラネ伯爵家の若夫人でしょうか。顔を見るのは初めてですわね。伯爵家の夫人にしては随分と品がないと申しますか、常識がないようですが。
「全く、客を馬鹿にするにもほどがあるわ!」
「そのようなつもりは微塵もございませんが、ご不快にさせた事は心よりお詫び申し上げます。ただ、当店は現金取引でお願いしております。他のお客様も皆様、快くそうして下さっております」
「な…!わ、私はグラネ伯爵家の者でラフォン侯爵令嬢の親友ですのよ?私がその気になればこんな店、直ぐにでも潰す事も造作ないのですからね!」
リシャール様が毅然と、でも優雅にそうお伝えしているのに、その女性は納得出来なかったようです。セリアさんが甘い対応をしたせいで、それが当然と思われてしまったようですわね。多少は仕方がない事かもしれませんが…
(リシャール様のお店を潰すですって!そんなの許さないわ!)
そっと中を伺うと、店の真ん中で女性がセリアさんに向かって怒鳴り散らしているのが見えました。セリアさんは恐縮するばかりで、必死に女性を宥めようとしています。
怒鳴る女性は横顔しか見えませんが、ハニーブラウンの髪を持つまだ若い女性です。口調と言い立ち姿と言い、上位貴族ではない様に見えますわね。そもそも真っ当な貴族の女性なら店で大声を出すなんてありえませんが…
店内にはカップルが一組と、女性客が三組見えました。さすがに女性の剣幕に驚いたのか、距離を取って様子を見ています。
(他のお客様がいるというのに、何て事をしてくれるのよ!)
腹立たしいとはこういう事を言うのでしょう。リシャール様の大切なお店でこんな騒ぎを起こすなんて…
「なぁに、あれ。随分と品のない方ね」
「…ええ」
ベルティーユ様が隠すことなく不快感をあらわにしました。それもそうでしょう、せっかくいい買い物が出来たと喜んでいたところにこの騒ぎです。
「あなたの親友だと言っていたようだけど?」
「知らない方ですわ」
これまでにお会いした方の記憶を探りましたが、どなたもピンとくる方はいませんでした。横顔だけだからかもしれませんが、声も記憶にないのですよね。顔はお化粧でいかにも変わりますが、声はそうはいかないので、大抵の方は声を聴けばわかるのですが…
「失礼、どうなさいましたか?」
騒ぎ立てる女性の元にやってきたのは、リシャール様でした。先ほど奥に行かれたのですが、騒ぎを聞いて戻ってこられたようです。
「あ、あなたは…!」
「私はこの店のオーナーです。うちの者が何か失礼な事を致しましたでしょうか?」
「…え?あ、あの…」
リシャール様が柔らかい笑顔でそう尋ねると、女性はたちまち顔を赤らめて言い淀みました。うう、リシャール様のご尊顔に見とれていますが…先ほどまでそのリシャール様の店を貶めていたくせに腹立たしいですわ。
「あ、ああ、そう、この女性店員が、私に無礼な事を言ったのよ!」
「無礼とは?」
「しっ、支払いの事よ!今日はあいにく手持ちのお金がないから次回払うと言ったのに、ダメだというのよ。これまではそんな事言わなかったのに」
ああ、この方があのグラネ伯爵家の若夫人でしょうか。顔を見るのは初めてですわね。伯爵家の夫人にしては随分と品がないと申しますか、常識がないようですが。
「全く、客を馬鹿にするにもほどがあるわ!」
「そのようなつもりは微塵もございませんが、ご不快にさせた事は心よりお詫び申し上げます。ただ、当店は現金取引でお願いしております。他のお客様も皆様、快くそうして下さっております」
「な…!わ、私はグラネ伯爵家の者でラフォン侯爵令嬢の親友ですのよ?私がその気になればこんな店、直ぐにでも潰す事も造作ないのですからね!」
リシャール様が毅然と、でも優雅にそうお伝えしているのに、その女性は納得出来なかったようです。セリアさんが甘い対応をしたせいで、それが当然と思われてしまったようですわね。多少は仕方がない事かもしれませんが…
(リシャール様のお店を潰すですって!そんなの許さないわ!)
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